忘れない夕焼け
先日、おばあちゃんが逝った。101歳の生涯だった。
見事な大往生の姿だった。百年前と言えば、「大正デモクラシー」の頃。激動の時代を生き抜いたおばあちゃんに心から「お疲れ様でした」と何度も手を合わせた。
共働きの両親に代わって、保育園の送り迎え、家での食事、留守番など、いつもおばあちゃんと一緒だった。高校を卒業して、家を離れても、いつも気にかけてくれていた。
整理していると、一冊のノートが出てきた。字を書くのが苦手だったので驚きだった。皆でページをめくった。
「◯◯(私の名前)、2万二千円、渡す」。 “おいおい、いつの間にもらっていたんや” 皆から突っ込まれる。次に
「◯◯(父の名前)、パチンコ2千円、渡す」。三日後、「◯◯(父の名前)、パチンコ2千円、渡す」 “いくなんでももらいすぎやで” 父も突っ込まれる
「◯◯(母の名前)、三千万円、渡す」。“桁が間違えてるやん” 皆で大爆笑。
おばあちゃん、楽しかったな。
今でも、家の片隅から歩いてきそうな気がする。心の中にいるから自然なことなのかな。この日の夕焼けはすごく綺麗だった。生涯、忘れない光景かも知れない。
合掌。
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