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鉄道が運ぶもの

新幹線の待ち時間に東京駅で興味深い展示をのぞいてみた

明治5年、日本初の鉄道が新橋〜横浜間で開通。奇しくもその年に「美術」という語が書画に変わって初めて使われ始めた。

鉄道と美術はともに日本の近代化の流れの中で寄り添い、時には刺激しあってきた。

全国40箇所から集められた鉄道美術の名作の中で、「なんだ坂、こんな坂」とタイトルのついた絵には、暮れゆく街道の坂道を駆け上がる鉄道(新しい輸送)と人力で苦労して登る古い輸送の対比が描かれていた。

この絵のように開化と因循の狭間で進んできた150年だったのではないか。

鉄道は、やがて兵士を運ぶ手段となり、アジアを侵略しては鉄道を敷き、駅は兵士の出征、そして凱旋の場所となった。戦後は集団就職を担い、満員列車はビジネス社会の象徴ともなる。

色々と考えさせられる展示だった。帰路は列車に身を任せ、思索する時間となる。最後のホームに降り立った時、一つのことに気づいた。

特急にコートを忘れてしまったのだ。鉄道は運ばなくてもいいものを運び、はるか新宮まで行ってしまった( ̄▽ ̄)

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