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傘寿の義父と5歳の息子の信頼関係
10月20日は義父の誕生日。
しかも、80歳というプレミアな日。
いつもお世話になっているから一緒にお祝いしたいと思い、夫に提案して義父母宅にお邪魔することにしました。
時刻は午後1時すぎ。
義父母宅の近所のケーキ屋さんでお祝いのケーキを購入。
それぞれに選べるようにと、夫がさまざまケーキをバラで選んできてくれました。
ケーキ屋から祖父母宅までは、目と鼻の先。
大通りから路地裏に入り、馴染みのある家に沿って自家用車を停車させました。
子どもたちは車からダッシュでおりると、インターホンを競って押し合います。玄関の扉が開くと、義父母の笑顔がそこにありました。
午後3時前。
お祝いが始まります。
義兄と義弟も揃い、義父のケーキと子どもたち2人のケーキにろうそくを1本ずつ刺します。
黄色、ピンク、緑。
原色のろうそくがケーキに馴染むことなく、目立って見えます。
そして、点火。
でんきをけして!
スイッチのある箇所を指さしながら、息子が伝えます。電気を消すと昼間なのに薄暗く、やけにろうそくの火が明るく見えます。
すると、突然
おじいちゃん、おたんじょうびおめでとう!だいすき!
と、息子がおじいちゃんに抱きつきました。
その瞬間、時が止まったように静まり返り、わっと歓声がわきました。なんともいえぬ幸福感が広がり、興奮をのままにそれぞれが感想を言い合います。
その場にいた全員が、息子の純粋でストレートな言葉に、みんなが感動していました。もちろん、母である私も同じく息子に圧倒されていました。
そして感じたのが、今まで義父母宅を何度も訪れてよかったということ。
義父母は私の仕事にいつでも寛容で、協力的です。おかげさまで、私は土日の仕事も全力で取り組めています。
活動範囲を広げられているのは、周りの協力があるからです。義父母宅が近いこの場所に、引っ越してきてよかったと何度思ったことか。
そう思う反面、実は罪悪感も抱えていたのです。
自分の仕事を発展拡大させるために、義父母に無理させていないか?
自分の欲望のために、人を巻き込んでいるのではないか?
そんな不安が次々とわいていたのです。
しかし、その考えは違ったとはっきり自覚しました。
家とは異なる環境で、子どもたちは人間関係を構築していたのです。
家族以外にも大切な居場所をつくれていたんです。
そして、義父母も同様でした。
夫が単身赴任しているときは、宇都宮に住んでいたため義父母との関係は疎遠でした。
しかし、東京に引っ越してからは行き来が密に変化。その間に、子どもたちと強い信頼関係を結んでいたのです。
その関係が強固になると、毎年ゴールデンウィークに義理の家族と義父母の実家の三重へ旅行するようになりました。三重への滞在中はお墓参りしたり、親戚に会ったりと、自分たちの基盤を固めをしています。
何より、口数の少ない夫も喜びをあらわにしているのが嬉しい。
80歳の高齢になり、義父の行動範囲も年々狭まっています。
そんな義父に何ができるのか?
特別なことではなく日常を過ごしたり、おしゃべりしたりすることが、親孝行なんだと腹落ちしました。
夫というご縁を通して繋がった義父母。
自分の両親と同じように、ますます恩返しをしていきたいと誓いました。
素直に表現してくれた息子に、大きな賛辞を送ります!
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