第56号 2024年7月
くろうとは八十一画というものを将棋として、
八十一画のバランス調和を考える。
アマチュアはその一角だけを見る。
歩を金にする方法
将棋棋士
升田 幸三
■最近はまっている読書テーマは将棋
何気なく読んだ将棋棋士が書いた本が面白くて、それから何冊か続けて棋士の本を読んでいます。棋士の本といっても、将棋の技術や対局の詳細ではなく、彼らの人生観や勝負に対する考察が主な内容です。一つのことを突き詰めた人の考え方や価値観は非常に興味深く、参考になることが多いです。勝負の世界で培われた独自の視点や哲学には感銘を受け、多くの示唆を得ました。
■ 卓越した勝負師の裏側は…
どの本を読んでも共通していたのは、「運」を大事にしている点。「運」と「流れ」と「勢い」によって勝負の明暗が分かれると考え、それぞれが流れを引き寄せるための思考を持っているのが面白いです。
特に異色だったのは「勝負師の妻」という本。これは囲碁棋士の藤沢秀行の奥様が書いたものです。藤沢秀行は天才棋士と呼ばれた人物ですが、その素行や人間性が昭和初期のドラマに出てくるような親父を彷彿とさせるキャラクターで、これがまた凄まじい。
アル中、女性問題、出奔、ギャンブル中毒とやりたい放題。借金、競売、二度のガン闘病と波乱万丈の人生でしたが、囲碁の天才的な集中力は誰も寄せ付けないほど鬼気迫るものだったそうです。「天才棋士」として見ると「凄かった人」ですが、その裏側を知ると「凄まじかった人」になります。
何かを突き詰めるタイプの人は、一般的に大事な事や常識的な事が抜け落ちるのかもしれません。令和の時代では生きていけそうにない昭和な世界の勝負師が書いた本は、私のマーケティングとの向き合い方にも影響を与えることになりそうです。全体のバランス調和を考え、大局観を持った広報活動を展開して行きたいものです。