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太田初夏
2022年11月16日 17:33
芥子色の帽子を目元まで隠すように深くかぶった女性が、神社の石積みの階段を上ってくるのが見えた。僕のいるところから百段ぐらい下だろうか。はあはあという息遣いが聞こえてくる。脇に据えられた手すりを握って上がって来ている。歳は僕と同じ二十代前半のようにも見えるし、もっと年上のようにも見えた。手足のすらりと長い細身で、それは病的なものを感じさせる細さだった。 僕は神社の長い石段の中段の踊り場の脇にある