何からはじめる?事業承継
エスイノベーションの大杉です。地域からはじめる事業承継、今回は特別編!事業再生支援のプロ「みらい国際法務会計グループ」の平野洋人代表に、具体的な準備や、M&Aの見極めポイント、承継メリットについて伺いました。後継者に事業を承継したい!事業を多角化したい!でも「M&A」って何から始めたら良いの?という経営者の皆さまへお届けします!
事業承継・中小企業の動向は?
ここ最近は、IT関連や製造業に加え、運送業、飲食サービス、卸売業からの相談が増えています。2024年問題を背景に、物流業界が抱える課題が事業承継にも反映されているように感じます。
ー 新潟県特有の動きはありますか?
相談は、関東圏のトレンドと同等です。飲食業は、コロナ融資の本格返済が始まり、銀行との猶予交渉が認められない会社も見受けられます。地域特有と感じるのは、燕三条エリアの経営者からの相談ですね。特に高齢の経営者は、業績悪化や、後継者不在の問題を、顕在的に話せる環境を持たず。結果、事業承継を後回しにしてしまう傾向にあります。
2024年問題と事業承継
物流業界の事業承継の背景には2024年問題が大きく関わっています。雇用面が厳しくなる予測から、早めに大手の運送業に譲渡したり、物流業から他の業種に切り替えようという動きです。大手に乗りたいという経営者は譲渡へ、反対に別事業を買受け、運送業は切り捨てようという経営者も増えています。
専門家のサポートとは
事業承継に関連する、税務・法務に一貫してサポート致します。基本的な企業評価はもちろん。第三者承継のマッチングサポート。法務的な部分では合意書、契約書作成のサポート。許認可事業(人材紹介事業、建設業、運送業、飲食業など)に対する許認可申請や手続きのサポートがあります。株式譲渡で会社ごと取得した場合は、許認可が引き継げますが、事業譲渡(例:会社の中の一つの事業のみ切り出す)では、買受け側が許認可を取り直さなければなりません。許認可は、あくまでも会社に付帯するものなので、事業の一部を買受けた場合は許認可が外れてします。
他にも、買収監査(DD)は、得意としているサポートです。買受け側へは、着実な事業計画作成を行い、銀行との融資調達支援をお手伝いします。また、補助金や、税制優遇などの支援制度が適用されるかの判断も致します。
「譲渡側」の承継準備
まずは、5年・10年先を見据えた長期間の事業承継計画を考えます。実は、これがとても大事で、事業承継計画を立てずして、良いお相手には巡り会えません!そして、事業承継計画を立てるには、準備期間として最低でも3年が必要です。まずは、自社の価値を知る事!早めの準備は、良い会社との出会いに繋がります。
ー 経営者様の意識はいかがですか?
日々の業務に追われ、事業承継計画が後回しになっていたり。自分の会社を譲渡するリアル感がない方が大半です。でも、会社経営は、いつ何が起こるかわかりません!スムーズな承継の為には、早めの準備が欠かせません。
「第三者承継・親族承継」の承継準備
「第三者承継(M&A)」を成功させるには、自社の企業価値をどれだけ高められるかが求められますが、「親族承継や従業員承継」の場合は株価を引き継ぎやすい状態にしておく事がポイントです。当然、株価が高くなれば、親族や従業員が引き継ぎにくくなりますので株価対策は必須です。
ー 具体的な株価対策を教えてください
例えば、負債が大きくなれば株価は下がります。不動産を購入し株価評価を下げたり。息子さんに一定額を歴年贈与するという選択肢もあります。いづれも中・長期的な視野で計画的に進める事が大切です。
買い手から見た企業の見極めポイント
多くの事業承継をサポートし実感しているのが「承継後のシナジー効果」と「エリア(距離)」です。M&Aの成立までは、お互いテンションも高く、移動距離はさほど気にならないのですが。成立後にエリアが課題になる事が暫しあります。承継後はオペレーションがうまく回らない事も想定されますので、負担にならない移動距離を見極める事も大切です。
あとは、企業が「自走」できているか。部長や工場長のように、企業を動かす実権者がいれば、M&A後も自走できますが、実権者が不在の場合、M&A後オペレーションが揺らいでしまうので注意が必要です。実は「自走」に関しては表裏一体な部分もあり、買い手側が人材を派遣させられない場合「自走」は必須となりますが、買い手側が実権者となる人材を確保しているならば、大きな問題とはなりません。
買い手側の不安事例と解消法
買い手側は、やはり統合後の経営に不安を感じます。そこで、PMI(統合後のフォローアップ)に注力してサポートしています。具体的には、会計システム、給与計算のフォローやDX化、保険関係やリースなどの引き継ぎ。統合後の細かいフォローアップに関しては、地域の専門家がとても頼りになります。
ー 買収監査(DD)で心がけていることは?
M&Aの前後で、事業資産の内容に食い違いがないよう、買収監査を行なっています。また最近では、M&Aの規模が大きくなるほど「M&A保険」に加入されるお客様が増えています。例えば、M&A後に簿外債務が見つかった場合、買い手側が大きなリスクを背負う事になります。ですが、表明保証違反が、故意とは限らない場合もあります。「M&A保険」を適応する際は、買収監査報告書がもとになりますので、譲渡側へのヒアリングは書面上に残しながら作成を行なっています。
譲渡を成功させるには
事業承継計画を中長期で立てる事が基本となりますが、親族内承継では、事業承継税制が活用できます。猶予制度を認識をしていただいた上でサポートをしています。このようは補助金や助成制度を、最大限有効に活用する事もポイントです。
地域から見た事業承継
地域の中小企業が、全国規模の企業と手を組む事も、マッチング例として成功ですが。その地域特有の技術が放出される事に危機感を感じています。そこで、地域の技術を守り伝承していく為に、同じエリア内でのマッチングを重要視しています。マクロ的な視点で考えると、地域に企業が存続する事で、雇用が維持され、税収入に繋がり、エコシステムの構築がもたらされます。今は、新潟県内で多くの中小企業が集まる「ものづくりの街・燕三条エリア」の行政と共に事業承継を進めています!
事業承継を検討している方へ
ー 売り手の方へ
会社の譲渡に抵抗がある社長さんも多いと思うのですが、成長戦略型のM&Aという形で、大手の資本に乗ることで、連帯保証が解除され、譲渡後も、子会社の社長や顧問など実権者として会社に残り、これまでと同じように報酬が貰えるスキームも流行っています。会社の譲渡も色々な体系があります。
ー 買い手の方へ
リーマンショック、新型コロナウィルスの流行、2024年問題…。事業形態を一本に絞るリスクを強く感じる社長さんが多くなっています。事業多角化の観点で、企業を買い受け、事業の核を2本にする。リスク分散型の事業経営で、事業を再構築してみてはいかがでしょうか?
まずは気楽に、そして一緒に!事業承継を考えましょう!ご相談お待ちしています。