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それぞれのカタチ「事業承継」

取材で感じた事業承継のメリット

エスイノベーションで事業承継インタビューを担当している大杉りさです。「地域から始める事業承継」では、これまでに10名の経営者にインタビューを行いました。内訳は、親族承継が4件、第三者承継(M&A)が4件、親族承継を見据えた社内起業が1件、どちらにも該当するハイブリッド型が1件です。このように、事業承継には、三者三様のストーリーがあります。

さらに「事業承継=敵対的買収」のようなマイナスイメージは過去の事。事業承継は売り手・買い手、双方にメリットがあり、さらに起業を目指す若い世代のキャリアパス手段としても注目されています。今日は、これまでの取材を振り返り、私が感じた事業承継のメリットを振り返ります。

初期投資を抑えるなら!事業承継

新しい事業をゼロから始めようとすると、店舗、設備、免許、初期投資に、かなりの金額を費やすことになりますが、事業承継の場合は、既存の経営資源を生かしながらビジネスを軌道に乗せる事ができます。インタビューした「天領盃」「津南醸造」は事業承継によって、醸造設備はもちろん、酒造りに欠かせない「種類醸造免許」を取得しています。現在、地酒の酒造免許の新規取得は認められておらず、酒造業への新規参入を目指すなら事業承継は最大の近道となります。


時代にあった仕掛けで売上アップ!親族承継

これまでの経営資源を、時代にあった仕掛けで、新ビジネスに繋げた事例に「田中清助商店」があります。事業を承継する前までは、物置として使われていた「蔵」をカフェとしてリノベーション。明治時代の「蔵」で楽しめる日本茶とスイーツは、たちまち人気となり、度々メディアにも取り上げられています。先代の社長にとってはマイナス資産だった「蔵」が、新社長の感性とアイディアで、日本茶の良さを広い世代に伝える場と変わりました。


わたご酒店」は、さらにイノベーションのフィールドを広げ、地域に街の素晴らしさを再認識させてくれました。わたご酒店がファーマーズマーケットを仕掛けた場所は、地元の亀田公園。週末には、キッチンカーやワークショップなどカラフルなテントが並び、亀田地域の食と農を楽しみに、多くのファンが集まります。遠出なんてしなくていい!いつもの公園でご飯を食べる楽しさを教えてくれました。「わたご酒店の孫が帰ってきたら亀田が楽しくなった!」会社の為、地域の為に奮闘する次世代の活躍。親族承継は街の強さと豊かさになります!最強!


早めの準備で顧客も安心!事業承継

最後に、事業承継には5年〜10年の時間が必要と言われています。70歳で引退予定であれば、準備は60歳からとなります。

65歳までに事業承継を終える!という先代の目標を叶えたのは「ユー・ハウス工業」。事業を承継したのは先代の娘婿の山本さん(代表)と、先代の事業を建築士として支えていた五十嵐さん(取締役)。まさに親族承継と第三者承継のハイブリット型です。山本代表は、公務員から建築業への転身となり、先代の社長の元で、4年の修行を積みました。先代の社長が、具体的な承継の年齢を共有していた事も、事業承継を計画的に進めることができたポイントでした。先代の社長は現在66歳!今はアドバイザーという形で、業務に伴奏しています。先代の社長と共に、顧客、取引先を丁寧に引き継ぎ、承継でお客様に与える不安感を払拭しました。


このように大企業同士のM&Aだけではなく、私たちの身近なところで、中小企業の事業承継が進んでいます。補助金制度や税制などのサポート!起業を目指す若者と、後継者不在の起業をマッチングさせる取り組みもあります。視点を変えたら、その経営資源、新たな可能性を秘めているかもしれません。事業承継をきっかけに地域にイノベーションを!私たちがお手伝いします。(エスイノベーション:大杉りさ)

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