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命と、あと何回かの「おめでとう」

最近、先輩が亡くなった。親しいという訳ではなく、このコロナ禍にあってはもう1年以上会っていなかったけれど、仕事でお世話になった人だったから訃報にはとても驚いたし残念だった。まだ60代で、病気で亡くなったらしい。

僕は30代半ばを過ぎて、家庭と仕事に忙しく、だけどどこか「なんとなく」生きている。いろんなことに憤ったり、イライラして笑えないこともよくある。

仮に、自分が65歳で命が尽きるとしたらあと30年もないのか、と思う。20回ちょっとくらいしか「あけましておめでとう」だったり「誕生日おめでとう」って家族に言えないのか、でも子供たちはもっと早く別々の暮らしになるんだろうな、あと何回みんなで旅行に行ったりできるかな、なんてことも考える。30回も無いって…すごく少ないじゃんと驚いた。

そう考えると、人生はあっという間なのだろうし、もしかしたら事故にあったりして突然明日にでも、なんなら今夜にでも命を落とす可能性はゼロじゃない。

正直、昔から死ぬことは怖くない。死にたいわけではないし、家族ができた今では簡単にいなくなることはできないと思ってはいるけれど、無に還ることへの恐怖心はいまだに全然ない。

だけど、自分の歳とあと何回言えるかわからない「おめでとう」のことを考えたら、毎日をもっと楽しく幸せに生きないと損だと思えてきた。

行きたいところに行って、きれいなものをたくさん見て、美味しいものをたくさん食べて、大事な人を愛して、おめでとうやありがとうをたくさん言っていきたい。

決意なんて大層なものではないし、やっぱり「なんとなく」過ぎてしまう時間もきっとあるだろうし、その時々で嫌でも優先しなければならないこともあるだろう。ただ、幸せに生きるための努力が今までよりもできそうな気がしている。

あぁ、歳をとるってこういうことなのかもな。