子どもの個性が分からない母親の焦り
長男が4歳になるころまで、わたしにはちょっとした悩みがありました。子どもの好きなことや性格がよくが分からないという悩みです。
幼稚園に提出する調査票に、子どもの性格を書かなければいけません。毎年困っていました。(長男については、今年は『愉快な人』と書きました…)
どうして「うちの子は〇〇で…」と言えるの?
子どもの好きなことを見つけてあげたい、得意を伸ばしてあげたい、性格を理解してあげたいと思いながら、長男が何を好きで、どんな性格かよく分かりませんでした。
児童館に行くと、ママさんたちのこんなセリフが聞こえてきます。
「この子は絵を描くのが好きで…」
「〇〇に興味があるみたいで…」
わたしは、こういう言葉を聞くたびに、「なんで自分の子どもが好きなことが分かるんだろう…」と不思議に思うと同時に、焦りを感じたり、自分がダメな母親のように感じていました。
わたしは子どものことをよく見ていないのではないか?という不安に駆られたのです。
一般的な反応なのか、この子だけの反応なのか
長男は車のおもちゃが好きでしたし、ボールも好きだったと思います。でも、その年齢の子どもであれば、たいていの子どもが好きなことです。長男だけの『好き』、つまり個性と言えるものではないように感じました。
『好きではないこと』は分かりやすく反応しました。公園で滑り台をしようといっても、階段にのぼって滑らずに階段で降りてきます。ブランコに誘っても、乗らずにどこかに行ってしまいます。どちらも怖いのか絶対にやりませんでした。
砂場遊びは好きなようでした。でもこれは、たぶん子どもなら誰でも好きだと思う範囲で、特に好きという印象はありません。
比較対象ができて初めて分かることもある
長男の『好き』が見えてきたのは、次男が2歳に近づてきてからです。次男が自分の意思を主張できるようになるのとともに、長男と次男の違いが見えてきました。
たとえば幼稚園の園庭での遊び方について、明らかに好みがちがいました。
長男:
ひたすら三輪車の高速で乗り回します。足が届かない2歳の時から好きで、またがったったまま、つま先立ちで三輪車を進めていました。3歳になっても4歳になってもひたすら三輪車を乗り回していました。
次男:
滑り台。ひたすら滑り台。1歳にして怖がらずに上り、雄たけびを上げ、ガンガン滑っていました。(次男は何かと叫びがち)
子どもについて、長男一人しか知らない状況では、個性について気付きようがありませんでした。次男という比較対象が現れることで、初めて長男と次男の個性が見えてきました。
比較という言葉は、子育てにおいて否定的に捉えられることが多いように思います。「人と比べてはいけない」という考え方です。
もちろん、「あの子に比べてうちの子は…」という使い方は良くありません。でも比較対象があることで、より子どものを事を知ることができました。
成長と共に個性が見えてくる
次男と比較することで、長男の個性も見えてくるようになりましたが、もし一人っ子だったらどうだったのでしょうか。
結論から言うと、比較対象がなくても、成長とともに個性が見えてくるようになったと思います。
長男の場合、4歳を過ぎてから『これは個性だな!』と確信できるような行動が出てきました。
【1】ある行動を繰り返す
ショッピングモールのフロアガイド、住んでいる街の地図、駅構内の案内図。見かけると、長男が決まって駆け寄るようになりました。
どうやら地図が好きみたいです。次男がいなかったとしても、これにはさすがに気付いたと思います。
あと私も夫も気になってしょうがない行動が、人差し指を下唇にあてて、ちょこっと首をかしげる、というものです。いつどこで覚えたのか、小さいときからよくやっています。
何か気付いてほしいときに「ほらこれ、なんか違うでしょ?」という雰囲気のポーズを取っています。決して言葉で「みて!」とは言いません。これもまた長男の個性のようです。夫と共に『女子力高め男子』だと思っています。
【2】自分で伝えてくる
当たり前のことなのですが、成長と共に言葉で何でも伝えられるようになります。
4歳を過ぎた今では、YouTubeを見ては、「これが好きやねん!」「これ欲しいねん!」「これは嫌やねん!」「この色はいまいちやねん!」など、好きなように言っています。
当然のことなのですが、幼児は年々言葉が上達して、自分の気持ちを伝えられるようになります。
本当に不思議なことですが、長男が2歳・3歳の頃には、こんなに言葉が話せるようになるなんてイマイチ想像ができませんでした。
長男は年中になってから体操教室に通っています。いくつかの教室を見学したところ、長男は自分で「ここにまた来たい」と伝えてくれました。
焦らなくて大丈夫だった
今では、なんであんなに悩んだんだろうと感じます。まだたった2歳3歳なのに、個性が出来上がっていると思うなんて…。
もちろん、子どもの中にはその頃から際立つものを持っている子もいると思います。でもみんながみんな、そうではないんですよね。
成長と共に、ちゃんと自分で好きなことを見つけられるみたいです。予想外な個性も育っていくこともあります。
親に見えるようになる時期が、いつになるか分からなくても。