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#12 東京工業大学大岡山キャンパス計画 (昔の景観編)

こんにちは🌱おおお知るまちプロジェクトとしては気付けば12回目の投稿ですが、実は大岡山の記事を書くのが初めてな執筆者でドキドキしております…!

早速ですが、東工大の大岡山キャンパスに何やら囲いがされて、工事が進んでいるのを皆さんご存知でしょうか?

本記事では我らが東京工業大学の大岡山キャンパス計画について、「景観」という観点からお話ししていこうと思います🏫

大岡山キャンパスの景観に関するまちの声

東工大のキャンパスについては、このnoteでも幾度か登場しているまちづくりアンケートにて多くの回答が寄せられています。

景色が綺麗で毎日写真を撮ってしまいます。子供が安心して遊べる、小さい頃から学術的な空間に足を気軽に運べる環境が羨ましいなと思います。

(女性/20代/大岡山地区在勤・在学/-)

時計台前で咲き乱れる見事な桜、秋の黄色に色づいた銀杏並木などなど、静かで広い構内は住民にとっても安らぎの大切な空間になっています。

(男性/70代/その他/20~29年)

このように、キャンパスの広々とゆったりした雰囲気や、緑溢れる学び舎の様相などに愛着を持っている方が多くいらっしゃるようです☺️

しかし、一方で東工大に対する課題意識として寄せられた意見もあります。中でも多いのが、キャンパス計画がもたらす景観への影響に関しての回答です。

建物をたてる時は、景観を損なわないよう考えてほしい。

(男性・女性/80代/北千束1/30年以上)

東工大の高層化で周辺景観が悪化。 富士山も見えなくなった。もっと地域へ開放してほしい。

(男性/60代/北千束2/30年以上)

#03の記事でも、東工大キャンパスの高層化によって富士山が見える場所が少なくなってしまったことを嘆く声を取り上げましたが、東工大キャンパスは大岡山の景観への配慮をせずに次々と建てられてしまったのでしょうか…💦

いえいえ、どうやらそんなことばかりでもないようです…❗️大学キャンパス計画の歴史を探ってみると、過去には何やら面白そうな計画が立てられていたことが分かりました👀
今回は、そんなキャンパスの景観計画を今の写真と比較しながら紹介します✨大学の見え方が少しでも楽しくなる新しい発見があると嬉しいなと思います💡

キャンパスの昔の景観計画を発見❗️

私が昔のキャンパス計画に興味を持つきっかけになったのは、大学の図書館にある『東京工業大学の将来計画』(1989年、東京工業大学将来計画に関する懇談会)という本を見つけたことです📕

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冊子『東京工業大学の将来計画』の表紙

この本の第一章では、大岡山地区の設備整備について様々な観点から計画されていますが、今回私が注目するのは「大岡山緑化計画」です🌳

まずはこちらの地図をご覧ください…!

図1:当時の施設計画全体配置図(上記冊子201ページより)

これは当時の大岡山キャンパスが長期的に目指す施設計画の配置図だそうです。番号やアルファベット記号が至る所に記されています…🤔どうやら、それぞれの軸やゾーンでの景観に対するたくさんのこだわりが詰まっていたようです✨

そしてこちらが、計画が出た当時の実際の配置図になります。上の計画図との違いを見るのも興味深いですね…😁

図2:当時の施設配置図(1988年東工大入学アルバムより)

それでは、本に記された計画の内容を詳しく見ていきましょう!

目玉の景観計画👀

大岡山キャンパスの景観特性創出の骨格となる要素は大きく分けて2つあるとされ、それぞれに施策が提案されています。先程の地図や当時の写真を見ながらどのような景観だったのか、確かめてみましょう✨

①キャンパス内から出入り口方面・本館前の眺め

ここでは、歩行者エントランス軸(V1軸)と時計塔ー新講堂軸(V2軸)を設定(図1に示されています)し、2軸に沿った眺めを印象付けるような施設計画が検討されています❗️

V1軸とV2軸がわかるパノラマ画像(2022年4月撮影)

このエリアに関する検討事項はいくつかあり、中でも気になるものを順番に見ていきます👀

(↓以下グレー枠、原文抜粋)           

V1軸延長上O位置周辺に建設する高層棟に対して、キャンパス入り口から見て印象深いアイ・ストップとなるようデザインすることが望まれる 

O位置周辺には2021年まで大学食堂やサークル棟が建設されていました(現在は解体工事中です)

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V1軸にてO位置方向を向いた時の景観(2022年4月撮影)

しかし、現在は図書館が建っているので、O位置はキャンパス入り口からは見えなくなっています。とはいえ、こちらの図書館が印象深いアイ・ストップの代わりになっているようですね…❗️

次の計画を見ていきます!

V1軸上でキャンパス入り口を内側から振り返ったときの眺めを現在よりも落ち着いたものにするため、門外A位置に常緑高木を植栽し、銀行その他の建築に雑然たる眺めを被覆することが望ましい

ここで、振り返った時の眺望をリアルで体感できるように、こんな画像を用意してみました🤳

上のリンクは、V1・V2軸の交点から360°カメラで撮影した様子になります(クリックして円矢印マークを押すとカーソルに合わせて画像が動きます)

この画像で正門側を見てもわかるように、門内ではありますが高木があります🌳
この計画を意識して植栽されたものかもしれませんね🤔

続いての計画はどうでしょうか…!

V2軸上にあるロータリー現植栽(D)は、この際廃止し、Mの眺めを強調するような方式に転換することが望ましい

ここで記されている、ロータリー現植栽(D)とは…!?それがこちらです!!

東京工業大学卒業アルバム1965年より 当時の本館前カラー写真
(提供:東京工業大学博物館)

昔から大岡山キャンパスに馴染みのある方はご存知かもしれませんが、実は本館前のエリアは車が通れる芝生のロータリーとなっていました🌿しかし、2006年にはこの施策通りロータリーの植栽が実際に廃止され、現在のようにウッドデッキとなっています。

現在の本館前写真(2022年5月撮影)

写真を比較してみると、景観の違いがわかりやすくて面白いですね!
ちなみに、こちらのウッドデッキはコロナの影響で長らく立ち入り禁止でしたが、5月初旬から禁止が解除されました✨
この道を歩くのを楽しみにされていた皆さん、ぜひお立ち寄りください🚶‍♂️

②キャンパス内から外へのランドマークの眺め

この計画では、ランドマークとして富士山を選定し、現在の主要な眺望点(図1に記されているG、N)からの眺めを良好に保存することが検討されています🗻

Gから富士の見える範囲内(富士山頂への視点に対し左右5°ずつ視角の余裕をみる)には、高層棟を建設しないことが望ましい。それぞれが立地する地面とG点(標高33メートル)との高差を超えるような場合は、富士の見える範囲外にずらして建設するように検討する

この計画はかなり特殊な内容ですが、現在のキャンパス配置では配慮されているのでしょうか…?こちらの写真をご覧ください❗️

東工大本館前
G位置から富士山方向を見た景観
(提供:川島さん)

中央にうっすらと浮かび上がって見えるのは、なんと富士山です✨当時の計画の通り、Gから富士山の見える範囲内に建つ建物(西1号館と体育館)は周囲の建物に比べて高さがかなり低くなっています。この計画を知った上でみると、今なお富士山の見える風景が守られている凄さを実感できますね☺️

終わりに

いかがでしたでしょうか?今回は、まちづくりアンケートでも注目が寄せられていたキャンパス計画に関しての特集でした🌱平成初期の計画からわかる景観に対するこだわりや、今なお残る配慮を知って、大岡山キャンパスの景観がより興味深く感じられたら幸いです◎

今の景観計画は…?

ここまで昔の景観計画についてご紹介してきましたが、現在工事が進んでいる新たなキャンパス計画やその実態はどうなっているのでしょうか…❓こちらに関してはまたいつかの記事でご紹介できたらと思います…!

次回記事は、大岡山の「水」に関する記事です💧お楽しみに👋

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