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アイザック選手の怖すぎる足関節技を、やさしく学んできた。

アイザック選手の足関節技…といえば

Isaac Doederleinといえばボトムからの強烈なフットロックで知られている選手です。World Championship 2022では決勝でSamuel Nagai選手を極めて優勝、黒尾フェザー級の世界王者になっています。
2022/12月に続いてカルペディエムBJJ三田所属の石黒翔也選手主催のアイザック選手の3デイズ・セミナーが開催され、フットロックがテーマの2日目を受講してきました。
以下は自分の備忘録として書いた、参加者の方向けのマニアックなメモになります。


フットロックエントリー

ダブルプルから→「バタフライ・アシ」

まずは足関節のエントリー。ダブルプルの状態から70/30経由で「バタフライ・アシ」を作りに行く形
股関節の内側をフックしている「足の小指」と「膝」を締めることで相手の足を高い状態フックして持ち上げる。足が低いと相手が踏む力が強くなってしまう。自分の右足の膝で、相手の膝裏を下側から上に押し上げる。このコンビネーションで膝をコントロールするというのが大事。
足先ではなく、膝をいかにコントロールできるかがフットロックの重要なポイント。

右足は足をクロスして相手の右腰骨の位置に当てる。あまり深く差し込みすぎない。差し込みすぎるとレッグドラッグのような形で相手に立たれてしまう。腰骨をカカトで踏むような形で、相手のことを押すことも引くこともできるような位置に置いておく。

左手は相手の足を抱えるようにして巻き取る。カンヌキのように自分の襟を掴んでキープする。この時あまり高い位置でなくても良い(高すぎると極める時の身体を反る幅が少なくなる)簡単に抜かれないのが重要

右手は相手のスネの前前十字靭帯あたりを持つ。極める時まで同じ

これがアイザック式の「バタフライ・アシ」のセットアップ

ブーツ足→平らな足首へ


エントリーの段階では相手の足首は90度に曲がったブーツ型になっている。この足をまっすぐに伸ばさせる必要がある。

つま先の伸ばさせ方


カンヌキを取っている左手、時計を見るような方向に傾け、左脇を開いて上に上げ、自分の背中を反らせるのではなく、猫背に「丸める」ように後ろに引っ張り足の指を伸ばす。

極め方A ストレート

相手の足を伸ばすことができたら脇を締める。自分から引き込んで背中をマットにつけにいく。自分の頭頂部をマットに付るように伸び、腰を上げると極めることができる。この極め方の場合は足首の上側の腱が極まる

極め方B 足首外側の靭帯

膝が外側に流れて開いてしまった場合。横倒しになって極めるが、自分の「肘」をつきにいくのではなく、「肩」をつけるようにして倒れ込んでいく。右足は腰を踏む場合もある。
自分の体重を相手の足首の上にかけるようにして押さえ、身体を反らせて決める。この場合に右足が完全に蓋をしている必要はなく、左足のフックが完全になっていて、足首がまっすぐに伸びていれば決めることができる。

ex.ベリーダウンは使う?使わない?

アイザックは「ベリーダウンは使わない」と言っていた。横向きになって、相手の体重相手のかかとに体重がかかるような状態の方が決まりやすい、自分は試合でベリーダウンで決めたことほぼないと言っていた。(本当かな?どうかな…と思ったがマンスール戦でもサイドで極めきっている)

極め方C ドーダー・ロック

アイザックの名前を冠する1番強烈な極り方。
足首の内側の靭帯にアタックする。

足首を伸ばしに行く(2)のセットアップ。時計を見るような角度にして、後ろにスライドさせようと身体を引くと、相手は嫌がって足を引いて抜こうとしてくる。相手がかかとが脇腹の肋骨に当たったのを感じたら、すぐに脇を閉めてキャッチする。脇の下で相手のことを捕まえたら、そのまま左側に倒れ、「極め方B」の要領で背中を貼るようにして決める。

この時に完全にカカトが抜けた状態で極めに行くと「アオキロック」になってしまう。ドーダーロックの場合にはあくまで抜けない状態で脇を絞ってキャッチして左に倒れる。足首の内側の靭帯が極まる。
Samuel Nagai選手を極めた時の極め方がコレだそうです

Samuel Nagai / World Championship 2022
https://youtu.be/KPlN48jiPg8?t=361

この極めも直前に抜こうとしているマンスール選手に対してキャッチしています
https://youtu.be/aWQHxkMnhck

以上がベーシックな極め方3種類


Kガードのエントリーからのフットロック

前日はK ガードとベリンボロの連携セミナーだったので、連続で出ている人向けに、Kガードからのフットロックエントリーを。(3日でセミナーでの組み立てを考えているのは流石…)

Kガードエントリー

右手で対角の襟をパームアップでつかむ。
右膝と右手コネクトさせ右足は相手の左脇をフックするように、左手は相手の股下に差し込んでいく。耳の後ろを押して上半身をアンバランスにさせる。そうすると足が軽くなるので左手で深く差し込め、左膝をマットにつけるようにしてKガードに入る。

そのまま相手の膝が内側に絞るようにコントロールできていたらマトリックスからバックテイクを狙っていく。

Kガード→足関節への移行

足関節を狙うのは、Kガードからマトリクスなどでバックテイクを狙おうとしたが、相手が膝を外側に開いていた時、この時はフットロックに移行する。

右足を腰に当てて足をスクープするようにして、体は右側を向いて横向きになっている状態。先程のフットロックの姿勢を右斜めに倒したような体制を取る。

左足フック、右足は蓋をするような形。相手がフットロックしようとしている足をつけないように裾を持ったりフックで浮かせてコントロールする。(相手が足をついてしまって、膝は内側になってしまうと、かなり状況は悪くなる)
右手は相手の膝を「下から」サポートする。つま先を伸ばさせるためには、先ほどと同じように足をまっすぐな状態から後ろにスライドさせ、膝を右手で押す。そのアジャストができたら膝を絞り、自分が膝に対してまっすぐスクエアになるような状態に移動する。

下からの足関節の極め方

今回は、相手のお尻がついていない片足を「浮かせた」状態になったところから。

(極め方A)上を向き、頭をマットにつけるようにしてそり上がって決める。相手が足を抜こうとしてきたときには、肘をついて決める。

相手が足関節を嫌がって膝を外側につけに来たときには、そのままフォローしてついていって、先ほどと同じように肩で相手の足首に乗っかって決める

この極め方には相手の逆足のパンツを掴んでバランスを崩させてから極める、などいくつかの方法がある。



…という感じでアイザック選手の「恐ろしい」足関節技は、細やかなディテールの積み重ねや意識で出来上がっていた事がわかりました。特にワンレッグやXガード、70/30などのポジションと連携しながら「バタフライ・アシ」を作り「極められる」理想のポジションを持っているというのは強いな…と感じたセミナーでした。この入りのバリエーションと最後の目指す形が明確な事はフットロックのキーになると感じました。

通訳大事!クレイグ選手ありがとう!
今回の通訳をしてくれたのが柔術黒帯で現役競技者のクレイグ・ハッチソン選手でした。本当に素晴らしかった。英語と日本語で2回理解が深まるようなセミナーだった。
過去には安くはない金額のセミナーで、通訳の方が自分の解釈や理解に引き寄せて意訳してしまい、その選手が話している単語や理解のキーになるセンテンスを正しく訳さない事があった。そうなると技術の理解が通訳の方の理解レベルに限定されてしまうので残念だな…と思っていたので、本当にありがたかった。クレイグさんありがとう!

質疑応答
自分の質問は「足関節の練習をする時に、どうしても「極めシロ」が少ないので相手に怪我をさせたりスパーで壊してしまうのが怖いのだが、アイザック選手は普段の練習で心がけている事はありますか?」というのを聞いてみた。(だからフットロックは苦手なのです)
アイザック選手の答えは
「自分のフットロックは、確実に極めようとして形に入ったら、相手はタップする。もし我慢したら壊れてしまうかもしれないが通常相手はそこまで練習で我慢しない。タップしなかった場合には自分の入り方にどこかミスがある場合だ。なのでそこはドリルで繰り返し確認するよ。自分は練習でパートナーを壊したことは無いですよ」
…との事でした。なので自分も「極める」のではなく、自分の理想とする完全なバタフライ足の入り方、までをまず意識して練習していこうと思った(実際にスパーで試した時、相手のリアクションは大抵タップだった)

企画をしてくれた石黒翔也選手、そして丁寧に質問に答えてくださたアイザック選手ありがとうございました。

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