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河内から愛知県へ

河内の小学校の校歌は、今でも冒頭だけならソラで歌える。
一年生のときの担任はいざさ先生という、いつも優しく朗らかで、ふっくらとした印象を持った方だった。
多分、僕の初恋の相手はいざさ先生だったと思う。

愛知県に転校してきて、最初にやらなければならなかったことはドラゴンズのファンになることだった。
そうしなければ友だちにはなれないと、毎日野球練習をしていた西谷くんに言われ、必死になってドラゴンズの選手と背番号を覚えたものだ。
ちなみに西谷くんはその後愛知高校に入り、甲子園で代打として出場している。

しかし学校に行けばあいも変わらず河内の感覚で相手を値踏み、偉そうなやつとか子分を引き連れたやつにケンカを挑む機会を絶えずうかがっていた。
いざやってみると、どいつにもこいつにもあっけなく圧勝して拍子抜けした。

新しい学校でも悪いことをした。
二階の校舎の窓からどれだけ身を乗り出せるか、競っていた。
先生にあっけなくばれて、一人づつ強烈なビンタを食らった。数日は手形が頬に残るほどだったから、相当、強烈なビンタではあった。
ビンタという言葉をよく覚えることになった。

僕がケンカの世界から離れていったのは、一つには同級生にテキなしになったことと、近くの警察署で柔道を習い始めたこと、そして野良犬シロとの出会いだったように思う。

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