常田大希を考察する-序論として、『紅白』から感じた藤井風
年末年始は自分のinsideに入り込んでしまい、そうなるとひたすら身も心も意識も委ねて、いつ終わるとも、どこに辿り着くともしれない虚空にひたすら浸るよりありませんでした
それでも『レコ大』と『紅白』だけは観ようと思って予定していたものの、『レコ大』は無理だと告げられ、紅白も鼓膜や聴神経系が許す微かなボリュームの中で聴くよりないとも断じられてしまい、偏頭痛が続いている中あまり好みではないあいみょんさんの出番が来たところで、iPhoneに入れてある『らじるらじる』のアプリと共に自分の全てをシャットダウンするように途中で寝入ってしまいました…
それでもこれはくだらないよな…とか、この企画はいただけない…とかとはやはり感じ取られるものでもあり、逆にこれは素晴らしい言うよりないと感じるものもありましたよ
Vaundyさんの『踊り子』の巧妙なアレンジによって、数年前に流行っていた頃にはわからなかったこの曲の魅力や彼の才能に気づかされたり、復帰した氷川きよしさんが開き直ったかのように面白いほどコロコロ回すこぶしも、休養前はどこか人口的であざとく作為が成すとしか感じないものだったのが、逆によい方に出て心地よい印象を強く残してくれました
多分というよりないけれど、氷川きよしさんの場合は、本当は一人一人微妙に異なるはずのパーソナルでデリケートな「性自認」(sexuality或いはsexualité)を、寛大なファンの方々に暖かく受け止めてもらったことでより強い「自己肯定」を確信を持って得られたとも、ファンの方々との間に根差すコミュニティ(原語はラテン語のcommunicatio)によって支えられ強められた「責任感」みたいなものなんだろうなとか、そんなことも頭に思い浮かんできます
そして、中継するアナウンサーさんが言葉で伝えているだけでもすごいものになっているから後でYouTubeででも確認しておこうと思って数日後のお正月の間に視たのが、この生中継一発撮りの映像でした
(1月7日以降は視ららなくなってしまったようで、とても残念です🥲(代わりにオフィシャルのMVに変更しましたが、こちらもやはり素晴らしい…
力みがなくサラッと歌っているのが、歌詞の深みをより届けてくれるような感じがいたします
January 9th 2025に差し替えておきました)
一言で言えば、『ワッツゴーインオン』"What's Going On”で自己プロデュースの権利を獲得してからのマーヴィン・ゲイに匹敵する日本人が今出てきたんだなぁと言うよりないパフォーマンスです
(ちょっと付け加えると、2003年から始まった🇺🇸のRolling Stone誌が認定する「史上最高のアルバム」で、2020年に創設来長らくトップに君臨したビートルズの『サージェント・ペパーズ』を陥落させて新たなトップとなったのはマーヴィン・ゲイの『ワッツゴーインオン』で、藤井さんはそのレベルまで行ったということなんです)
マーヴィン・ゲイの1976年のこのライブ映像でも はもう余裕綽々という感じですが、彼はいつでも軽々と、
演っているのは変わらない一方で、
藤井さんは自らの渾身の力とお金をふんだんに使った(全然悪いことじゃないはずです)余念のない準備を備えて、という違いは並べてみると感じますが…、それでもここまで到達した日本人はこれまでいなかったよなぁ…と放心するよりないように何度も視返しておりました…
去年のニッサン・スタジアムでのライブを、長らくの期間全編無料で視聴するようなアティテュードにも感じることだったんですけど、微かに気づいたようなものがあり、検索してみると案の定でクリスチャンの人たちが藤井風という人のつくる音楽を絶賛しておられ、そういうレベルのスケール感のある方なんだなと改めて思うところとなりました
彼がクリスチャンかどうかということとは一切関係ないものとして
ただ、藤井さんが初めてニューヨークを訪ねた際に、教会のピアノで自作の曲を弾いたというエピソードは少し前に知りましたが、教会というのはあくまでも「信仰」を持って集う各人が自らの「信仰」を確認してそれに従うことを証すための場所でしかないものなので、「楽しげなパフォーマンスならなんでも受け入れるよ」というところでは決してないのです
いきなり彼が訪れて自作の曲を弾き語り、更にはそのパフォーマンスが教会のコミュニティに受け入れられたというのも「わかるなぁ…」と言うよりない感じで、その音楽には「信仰」を持つ者にも響く何かがあるのは間違いなく、そのすぐ後に視た米津玄師さんと比べても全然異なるところにいる人だとわかりました
米津さんに対してどうこうという話では決してないものの、藤井さんの突き抜け方が、特にパフォーマンスと一体化した歌詞や歌声に、これはとんでもないものだというよりなくて
それも生の一発撮りであのレベルに到達したということでもあるのですから、凝縮された静かな緊張感のみなぎる五分ほどで全てを出し切ったことに対しては惜しみのない絶賛を送るよりありませんでした😌
氷川きよしさんは映像がない方がわかりやすいかもしれませんね