プロポーズ/烏龍水
伝えたいことができた。
俗に言うプロポーズというものだが、困ったことがある。君の指輪のサイズではない。それは寝ている間に測っておいた。
どこで、プロポーズすればいいのだろうか。
夜景の綺麗なレストランで?
いや、無難すぎないか?ドラマあるあるみたいな?一生に一度のものだから、特別感がもっと欲しい。
観覧車のなか?
ごめん、自分、閉所恐怖症でした。震えてプロポーズどころじゃないし、別の意味で君から離れられなくなる。
じゃあ、富士山の頂上かな。
いや、登山の素人が行ってはいい山ではないし、君に辛い思いはして欲しくない。高山病とかね。
三年間一緒にいて、君の好きなキャラクターも集めたし、嫌いなトマトは僕の担当だって暗黙のルールになった。そんな毎日を重ねて、なんでこの人と結婚するのにしてないのだろうって思ったんだ。思ってしまったんだ。やるしかないだろう?プロポーズ。
自信がないわけじゃないんだ。ただ、君が君の生涯を振り返った時に、輝いてみえる思い出の一つにしたいだけなんだ。うん、僕のエゴなんだろうけれど。
「なんか、隠してるでしょう。」
確信もった君の声に逃げ場がないのを悟った。
そう思ってたから、なんだか悔しかった。だって六畳一間の、明日出すゴミ袋が置かれた僕の部屋でこんな大事なこと言いたくなかったんだ。でも、その神妙な顔されたら、僕は今日を記念日にするって決めたんだ。
だから、今、指輪を取りにいくらからちょっと待って欲しい。