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41人目
【41人目】Kさん、20代 歳下(Dine)
ある日、だれかが書いたDineの体験談をネットで読んだ。
もしかしたら広告だったのかもしれない。
存在は知っていたけどやるつもりはまったくなかった。でもその記事を読んでやってみたくなってしまった。それほど魅力のある出会いがそこには書かれていたのだ。
実際には、マッチしてもこの人実在するのか?ってくらいご飯には繋がらなかった。
今夜行きましょう、みたいな機能でマッチしても結局音沙汰なく終わることもあった気がする。
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唯一Dineで会うことができたのがKさんだった。
ほかのアプリのようなやりとりはないものの、当日の待ち合わせなどではとても丁寧に対応してくれて、それだけで知性を感じ取った。
というのは、彼は某有名国立大学出身の超大手総合広告会社に勤めているとても優秀な人。
年齢は私よりも下ではあったけれど、堂々たる雰囲気を醸し出していた。
この日は私服での仕事だったらしく、個性的な柄物のシャツを着ていたところも他の人と何かが違く見えたのだった。
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彼は就職したばかりで、今の仕事にいきなり大抜擢されたらしい。
「心臓に毛が生えてるって言われたんですよ!」
と嬉しそうに話していたのが印象に残っている。名刺もくれた。
私の仕事に対しても興味を持ち、色々と業界について質問されたけれど、自分の仕事と重ねてはマウント取りのようになっていった。
どことなく36人目のRさんと似ている。
プライドが高めで自分に誇りを持って生きてる感じ。
RさんとKさんは同じ大学の卒業であるという共通点があった。やはりいい大学を卒業することはひとつのステータスになるのだろう。
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意外にも私たちは音楽の趣味が似ていたので、少し音楽の話で盛り上がった。が、すぐに話題が尽きた。
相性が合わなかったのだと思う。
一応LINEの交換はしたのだけれど、ビジネスライクな雰囲気を感じ取りそこから2回目に繋がることはなかった。
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Kさんのことをすっかり忘れた頃、音楽フェスで見覚えのある顔を見かけた。彼だった。
こんなにも人に溢れたイベントで鉢合わせるなんて、そうそうないと思った。
覚えてはいないだろうと思ったけど、そそくさと彼に見つからないように人混みに紛れたのだった。