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<知財業界での夢と希望>2021年「弁理士の日」企画寄稿:大樹七海

1.「弁理士の日」企画について 

 毎年、ドクガクさんこと内田浩輔弁理士により、7月1日の「弁理士の日」を記念してテーマが発表され、知財関係者が、各々のブログ等の媒体上でそのテーマに沿い寄稿されるのが常となっています。

2.これまでの寄稿リスト(2016~2020年) 

 ドクガクさんのお誘いを受けて、今年で参加5年目になります。改めて過去の寄稿リストを以下にまとめてみました。
 2020年はSF知財漫画(コロナ終息後の知財業界)、2019年は特許の鉄人(知財業界での初体験)、2018年は弁理士VS便利屋漫画および特許制度VS
アンチパテント論漫画
(知財業界のライバル)、2016年はAI知財漫画(知財業界でホットなもの又は新しいもの)です。

 例年は発表後にはドクガクさん主催の飲み会がありました。寄稿された個性豊かな面々が集まるという流れで、いかにもドクガクさんらしい、知財を愛している方々による輪を作られています。ドクガクさんの熱狂的な知財愛に支えられている事が尊いと感じられる所以かと思われます。Twitter上で新しい参加者の方が増えておられるので、ドクガクさんのことを語ってみたくなりました。 

3.「知財業界での夢と希望」について

 さて、前置きが長くなりましたが、今年選ばれたテーマは「知財業界での夢と希望」です。

 「夢と希望」がある業界、どの業界を見ても、一長一短があることは確かです。しかし、長の方を生かす、つまり、夢と希望を見た人が、たとえ困難な時においても、生き抜き、次の時代へ繋げるべく切り拓いてきたことは歴史が証明しています。

①「常に、夢と希望を持ち続ける」ということ

 「夢=理想」を持ち、「現実」と「理想」の間の距離を図り、その縮め方を考え、行動に移して、結果を待ち、その結果を検証し、また次の行動に続けていく、という作業を地道に繰り返し続けることが、「常に、夢と希望を持ち続ける」姿勢だと私は捉えています。理想と現実の間はなかなか簡単には埋まりません。しかし、その簡単ではないことに挑み、どうしたらできるのかと考えることこそが、最も面白く、「創造性(クリエイティビティ)」という、人間の持つ力が試され発揮される部分となります。苦しいけれども楽しいと感じる、それは、理想に繋がる未来の道の建設に携わっていることを理解している事が大きいと思います。

②「理想とはなにか?」知的財産権制度の夢

 私は「人の進歩に資すること」が理想です。知的財産とは、人間の創造的活動により生み出されるものであり、この知的財産に大きな可能性を見出しています。人の進歩に資するためには、人類が繁栄して行く事に繋がり、競争をフェアに導くことが求められます。例えば、人類の叡智が、知的財産権のデータベースによって体系化類型化され活用できる事の驚異的な凄さを感じています。
(下:WIPOが提供する無料データベースPATENTSCOPEの例。「新型コロナウイルスと世界及び日本企業の取組~知財の側面から」(大樹七海「標準化と品質管理」2020年7月号より)

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 また、法律や条約、審査の公正・透明性等により、できるだけフェアに働く様に、世界中で長年に渡り努力が重ね続けられ、人種も国籍も性別も関係なく、個人が知財による交渉力を身に着けられるシステム自体があることは素晴らしい、とも感じています。勿論、フェアな競争というのは、知的財産権制度だけで解決できる事ではありません。しかし、知的財産権制度を人類が発明し、現在ほぼ全世界において使われている以上、これを最大限生かさない手はありません。(「WIPO」という世界各国が知的財産権に関する共通の課題を解決するための知的財産権保護促進のための国際的フォーラムがありますが、その加盟国は193カ国 。世界の国の数は196カ国であり、国連加盟国は193カ国 であるので、ほぼ全世界を網羅しています。)

4.『弁理士への道』で描いた「夢と希望」

 2014年から連載で、「弁理士になりたいという夢」を抱いた仲間のために、「弁理士への道」という、弁理士資格を得るための登竜門である「弁理士試験」のノウハウを詰め込んだ、多くの方々の実体験に基づくシミュレーション体験マンガを描きました。「夢と希望」については第1話、第2話、第13話、第14話で語っています

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(画「弁理士への道」大樹七海著 三者三様の立場の主人公が弁理士を目指す)
 同漫画でも触れていますが、リアルな方でも、弁理士になって叶えられた夢については、後述する「弁理士にお任せあれ」における出版記念講演会のパネルディスカッション(以下サイト参照)において、様々なバッググラウンドを持った6人の弁理士のリアルな人生経験談を交えて紹介させて頂きました。

5.『ストーリー漫画でわかるビジネスツールとしての知的財産』で描いた「夢と希望」

 2018年に、『ストーリー漫画でわかるビジネスツールとしての知的財産』を創りました(2021年重版)。


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本書では、「知財はビジネスツール」であることを一般ビジネス界に認知してもらうことで、知財の市場をより広げ、知財に関わる人々の活躍の場が増えるように、という夢と希望を託して描きました。

6.『弁理士にお任せあれ 特許・商標・意匠 早道解決』で叶えたい「夢と希望」

 2020年に「弁理士にお任せあれ」を出版しました。
 先のマンガでは、弁理士を主人公として夢を託しましたが、しかし、そもそも一般社会において、「弁理士が知られていない」、また知財に馴染みのない方に「弁理士を説明しづらい」、という長年の弁理士界における悩みの声への解決策として、美しい特許庁のイラスト表紙に真正面からタイトルに「弁理士」と銘打ち表と「一目でイメージが沸くわかりやすいイラスト」を豊富に用いた、一般ビジネス界向けの「弁理士の本」を創りました。


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(画:「弁理士にお任せあれ 特許・商標・意匠 早道解決」より)

 「弁理士になった方々が、その職能や個性を理解された上で、相性の合ったクライアント同士、夢を実現できる場が広がる」という夢を叶えたい、そのためには「弁理士を知らない人には、弁理士に依頼をしたいというニーズは未だない段階ですが、ないと思われているニーズの所には、実はまだ顕在化していないニーズが確実にあり、それを捉えてリスト化やイメージ化をして見せることで、ニーズ自体から創出する、そして新たな知財の市場を拡げる」という意気込みで書きました。


 なぜ「知的財産権が必要なのか」、なぜ「弁理士が必要なのか」、では「弁理士の価値」とは何か?という根幹を説き、弁理士を「他士業比較」「語源」「歴史」「最新情報」などの切り口によるコラムも入れ、興味深くその性質を浮かび上がらせました。そして、具体的な「弁理士の探し方・会い方」からはじまって、「弁理士のバラエティ」を紹介し、「弁理士の仕事をリスト化」し紹介し、総じて「知的財産権業務のほぼ全て」を紹介する、知財初心者のための「スターターキットかつオールインワン」な作りの本、となっています。特に、弁理士の業務は、伝統的な「権利化に関する業務」に加えて、希望を込めて、「拡がる業務」についても、積極的に書きました。他業界の身近な例では、ドラッグストアや家電量販店で食品が売られるようになり、Amazonが書籍からスパコンまで全領域に事業を拡大する等、顧客のニーズに応えて、自身のコア領域からどんどん拡げていく経営は時代の流れです。
 そして、もうすぐ新たに出版される書籍は、技術x法律x芸術を融合させるものであり、知財の世界観を拡げ、知財業界に携わる方々の更なる飛躍に資することを願うものです。

「知財業界での夢と希望」をテーマに、自らの歩みを振り返ってみました。同時代を共に生きる皆さまと共に、「夢と希望」を創り上げていける事を、誇りに、楽しみにしております。

大樹七海 拝

7.おまけマンガ「弁理士ウェイの世界」

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手元にあった封筒の裏に、一気に落書きしてみました☺

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