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連載第22回『発明事業列伝』ギエモンこと田中久重・幕末維新「久留米編」激烈な時代の中で発明考案の歩みを続ける/ 中村奇輔の実験事故/息子と孫の斬殺/上海密航/久留米藩難事件

🌟末尾に冒頭3ページ無料掲載中📖🌟

【はじめに】

 前回(連載第21回)にて、ギエモンたちが、蘭医佐賀藩士の佐野常民に導かれ、京都から、名君佐賀藩主の鍋島直正の治める佐賀(肥前)へ移住し、活躍する話を「佐賀編」として現地取材も交えて、お伝えしました。
 今号は、前回の「佐賀編」の終わりの時期に重複してスタートする「久留米編」であり、連載第19回久留米取材も併せて参考にして頂ければと思います。
 佐賀藩にて、彼らは科学技術に懸ける熱い思いで結ばれていて、名君・直正の下で、艱難辛苦に耐えて、国家の危機に対して多大な技術的貢献を成し遂げたことは、お伝えした通りです。しかし、この裏には、辛く悲しい
エピソード
もあります。
 今回は、それを避けては、人間社会や人類の歴史の愚かな面を学ばず、発明事業における逆境をも理解できませんし、そうした激烈な時代の流れにあっても、ギエモンは変わらず、いつも通り仲間を助け仲間に助けられ、世のためひとのため発明考案をし続け、歩みを止めずに前に進み続けていきます。
 著者の大変尊敬するギエモンの歩みを、深く感じとることに繋がっていきます。重苦しい回となりますが、ご承知おき下さい。

📚タイトルです
ギエモンこと田中久重・幕末維新「久留米編」激烈な時代の中で発明考案の歩みを続ける

・中村奇輔の実験事故
・息子と孫の斬殺
・上海密航
・久留米藩難事件

📖今号のダイジェスト 幕末・維新「久留米編」📖


 ギエモンの生まれ故郷である久留米藩では、ギエモンの佐賀藩での活躍を聞きつけ、ギエモンの呼び戻しにかかります。
 その結果、66歳のギエモンは、しばらく佐賀藩と久留米藩を兼務することになり、ギエモンは久留米藩でも大活躍します。しかし仲間の中村奇輔が実験事故で重傷を負うこと、さらにはギエモンの息子 二代目ギエモンと孫が長崎で斬殺されるという悲劇が起きることをお伝えします。
 その苦難に耐え、鍋島直正、佐野常民らと「凌風丸」を完成させ、時代の要請に応えた佐賀藩での仕事が一段落すると、ギエモン一家は30年ぶりに久留米藩に帰郷します。
 しかし、明治元年になると、久留米藩内で起きた、攘夷派による暗殺クーデターに続く一連の恐怖政治により、久留米藩内では時代が逆戻りし、開明派の洋学者や技術官僚は死に追いやられ、ギエモンの久留米での後ろ盾である、佐賀藩改革の旗手 今井栄は切腹に追い込まれます。鍋島直正も病死し、久留米でも佐賀でも攘夷派による反乱が起き続け、新政府により鎮圧され、一連の抗争荒廃でギエモンの活躍していた佐賀や久留米では、官需も民需も途絶え、ギエモンの命も危うく、前途は閉ざされて行きます。
 この危機に及び、既に新政府の要人となり東京で活躍していた佐野常民を筆頭に、かつての佐賀藩での仲間達は、ギエモンの身を案じて東京入りを促します。
 今回は、次回予定している「東京編」に至るまでの、「久留米編」をお伝えするものです。

むすびに変えて

 文久の末から始まった開明派の名臣・今井栄を中心とした久留米藩での改革により、久留米藩は佐賀藩に次ぐ雄藩に発展していき、2藩の発展の功労に、ギエモンの尽力がありました。
 ギエモンは久留米で多くの優秀なエンジニアを育て、彼らがのちの日本において科学技術立国に貢献していきます。
 しかし、慶応4年1月26日の尊攘派のクーデターにより、久留米藩での近代化は頓挫し、それとともに民間産業へ波及しつつあった近代化による産業振興も途絶え、今までと一転し、工場は閉鎖し、ギエモンの周囲は時間が止まったかのような状況になりました。
 片腕だった息子と孫、上海にお供しギエモンを重用してくれた今井栄、そして大恩を感じていた鍋島直正がこの世を去りますが、ギエモンは実験事故に遭った中村奇輔の次男 林太郎と、久留米製鉄所で出会った孫と同年代の、見どころのある職工 大吉を養子に迎えます。
 時が止まってしまった久留米から、鍋島直正の元で技術革新に共に励んだ、佐野常民を始めとする仲間達、そしてエンジニアとして育てた養子や弟子の彼らが、電気という新時代の科学技術を必要としている東京へ、ギエ
モンを後押しします。
 次回、75歳のギエモンは養子の大吉たちを連れ、一家で東京への移住を決断します。ギエモンの波瀾万丈の発明人生は、これからが本番といわんがばかりの活躍を続けていきます。どうぞ次回をお楽しみに。

📖以下は今号の見出しです📖

1.発明仲間・中村奇輔の実験事故
2.ギエモン、久留米藩に呼び戻され、佐賀藩と兼務に
3.久留米藩で、名臣・今井栄の下で力を尽くす
4.久留米藩製造所(現在の久留米市御井町)
5.ギエモン一家の悲劇 二代目ギエモンと孫の死
6.二代目ギエモンの墓
7.大砲の完成、試射の大成功
8.ギエモン一家、久留米に帰郷す
9.ギエモンと今井栄 上海密航西洋文明を見る
10.久留米藩製鉄所の拡張と移転(南薫町)
11.久留米藩の政変 藩難事件
12.慶応4年1月26日の政変
13.今井栄の墓
14.久留米製鉄所閉鎖 ギエモン自宅で発明を続ける
15.久留米時代の考案

むすびに変えて

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「世紀の発明事業列伝」大樹七海,知財ぷりずむ,2024年12月号
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続きは「知財ぷりずむ」2024年12月号にて、お読み頂ければと思います。


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