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休職日記⑥ 自信

すごく自意識過剰な、変なことを書こうとしている。

変なことを書こうとしていることは自分でも気づいているので、こいつ変だなと思っても気にしないでほしい。
まあ…これは他の日記にも言えることだが。今回は特に。




私は就職したての頃から、同僚やお客様に自分の「字」をほめられることが何度かあった。

「字、きれいだね」

「私さんの字、好きです」

といっても、さすがにお手本の字とまではいかないし、字癖が強い自覚もある。

だが、一応複数の人からそう言われてきたし、実際に仕事の中で、郵送物の宛名書きなど字をきれいに書く仕事を個別に任されることもあったので、それなりには自信をもっていいのかな…と、今までは思っていた。



しかし、ここ最近、
ちょうど仕事に限界を感じ始めたのと同じころから、
この褒め言葉を本当に鵜呑みにしてよいのか…という不安が生じ始めた。


自分は本当に字がきれいと言えるのか?
若い20代の私を、周りの大人が甘やかしていただけではないのか?
本当は字なんかちっともきれいじゃないんじゃないか?
他に褒めるところがないから、気休めで言ってるだけだったんじゃないか?


事実、今年度から配属された新しい職場では、ある程度経験を積んだ私にそんな生易しい言葉をかける人物などいなかった。
前の職場でいつも頼まれてきた郵送物の宛名書きの仕事を、この職場で任されることもなかった。

正直、悔しかった。

たかが字だけど、これまでの持て囃しがあっただけに、自分の技術が認められないことに失望した。

やっぱり私の字がきれいだというのは、若かった私に対する単なる甘やかしだったのだろうか。
「若いのに」字が綺麗だね、と。

過信である。


若さを通り過ぎたらその言葉の効果は切れるのに、

ちやほやされて、ちょっとした褒め言葉にうぬぼれてきた。

私も結局、周りに踊らされていただけだったのか。


あーあ。

ばかだなあ。ちっとも大したことないのに、過信しちゃって。

この程度の字、この年になったら書けて当然なんだよな。

若いとは言えない年になって、周りからちやほやされなくなって初めて、自分の無能さに気づくんだ。

なんて恥ずかしいんだろうな。これだから自分は……。


……。


そんな風に思っていた矢先のことだった。

つい先程のことだ。

最近私の心の支えになっている大好きなお笑い芸人さんの、Youtubeの生放送が始まった。

自分に届いたファンレターを、その場で開けて読むという内容だった。


私は先月、その方のお誕生日に合わせて、ファンレターを書いて送っていた。

私のものは読まれるかな?と思っていたら、

2枚めに、私の手紙が読まれた。


すると、ふとその芸人さんが、

「みんな字、きれいやなあ」

と、私の手紙を読みながらおっしゃった。

もちろん私の字のことだけを言っているのではないが、タイミング的にも、多少は、私の字のことも含まれていると思われた。

私の仕事のことも、年齢も、人となりも、状況も、何も知らないお方が。
それも、私がここ最近随一の心の支えにしている人が、
単に私の字だけを見て、評価してくださった言葉。

手紙が読まれたことも嬉しかったが、
自分の字について、こうも思い悩んでいた中でのこの言葉は、
何よりも、救いの言葉になった。


仕事を休んでいる間に、やることが決まった。

今度は誰にも有無を言わせず字が綺麗だと言われるようになるために、行動してみようと思う。

そして、こんなバカな私を何度も何度も救ってくれているこの芸人さんのことを、

これからも心から応援していこうと思った。



…自分がここまで自分の字について執着心をもっていることに本当に引くのですが、芸人さんが触れてくれたことがあまりにも嬉しかったので、いてもたってもいられず文章にしました。

お目汚し失礼いたしました。


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