赤ちゃんとともに
生後1週間が経ち、母子共に退院。
母乳育児を推進する産院のため、入院中から1日8回一定時間の授乳の習慣を徹底的に叩き込まれt……いや、叩き込んでいただいた。
時間は1時、4時、7時、10時、13時、16時、19時、22時と3時間おき。
マッサージをして直母乳、不足分はブドウ糖や搾乳で補う。
そんなこんなで一回の授乳には1時間かかる。
こんなに授乳が大変なものだとは思わなかった。
教わったことを家でも実践しているわけだが、
まあうまくはいかない。
息子の場合、哺乳瓶なら飲むのだが、直接おっぱいからだと素直に飲んでくれないことが多い。
定まらない乳頭の形が原因だと思われる…。
そしてギャン泣きされる。
強引にでも咥えさせるように助産師さんからは言われたけれど、
もはや普通の泣き声(「おぎゃあ、おぎゃあ」)を超えて「金切り声(「キャアアアアア!!!」「ヒアアアアアアアア!!!」)」に近い声をあげる息子に、どうしても強く出ることができない。
ついに昨日、泣いている息子を前にして、私も泣いてしまった。
ポロポロと溢れてきた。
ついにというか、まだ1週間しか経っていないのに。泣くの早すぎ。弱い自分も嫌になる。
胸から乳を出し、目からは涙を流し、股からは悪露が流れ出る。
体のあらゆる部位から流れ出る液体。
白い液体、透明な液体、赤い液体。
これらは全て同じ成分なのだと思うと不思議な気持ちになる。
ダラダラとそこらじゅうから液体を垂れ流して。
なんて情け無いのだ。
と、思った。
赤子ひとり泣き止ませることができない、
お乳を飲ませることができない。
でも、私が決意して生んだ子。
母乳という意味では、私以外の誰にも育てられない子。
やると決めたのだから、泣いてる場合じゃないのに。
ものすごい情けなさに支配された。
そうやって泣きながら、こんな母親でごめんね……という気持ちで、ふと息子の顔を見た。
すると彼は、初めて(まだ1週間しか経ってないが)見る表情で私をじっと見つめた。
「えっ?」
という顔。
「なんで、この人が泣いてるの?」
という顔。
気づけば泣くのを止め、大きな二重の目を見開きながら、私のぐしゃぐしゃになった顔をじっと見つめていた。
そして、泣きの興奮もおさまり、もう一度直母乳に挑戦。
驚くことに、今度は成功した。
彼には伝わったのだろうか。
彼は、母の気持ちを受け止めてくれる優しい子なのではないか。
だとしたらこんな小さな命に気を遣わせて、申し訳ない。情け無い。
でも、ここで息子のまだ見ぬ性格の片鱗を垣間見ることができたのかもしれない。
物言わぬ赤子だから、ほんとは何を思っていたのか…それは分からない。
でも、あの表情のあとからの直母乳成功には、感激した。
息子よ。ありがとう。
愛して愛して愛しぬこう。