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大根の煮物
付き合っていた頃、実習で寝れない日以外は料理をしていた。
晩御飯の出来上がり時間を、元彼が仕事から帰ってくる時間に合わせて逆算して計算していた。
料理は得意じゃないけど、誰かのためにご飯を作るというのは嫌いじゃなかった。
まあ、
帰ってくる時間を連絡してくれない日が多かったし、
食事中もスマホを見るかゲームをしながら食べるから、
一人で食べてる感覚に陥ることが多かったけど。
それでも
「今日のご飯は美味しいね」とか
「ちょっと味薄いかもね」とか
「次はこれ食べたいね」とか。
食事を通して些細なやり取りが生まれること、
美味しいや美味しくないを共有する相手がいることが幸せだったのだと思う。
思い返すと、元彼と別れてからまともなご飯を作っていない。
母が作り置きのものを差し入れしてくれたことや、
食費を交際費に当てたかったことも大きいが、
一人で料理を作り、一人で食べるという孤独に耐えられないからだ。
誰のためでもなく自分だけのために手間をかけること、
美味しい時も美味しくない時も共有する相手がいないこと、
このどちらもが苦痛なのだ。
しかし母は私に電子圧力鍋を買ってくれた。
レパートリーを増やしてほしいという思いがあるらしい。
心配をかけてしまうから、もう3ヶ月も自炊してないなんて言えずに、ありがたく受け取った。
そんなこんなで、今日は大根の煮物を作ることにした。
桂剥きって難しいよね。
3cmほどの厚さに切って、隠し包丁なんていれてみたりして、調味料適当にいれて、水をいれて、電子圧力鍋で15分煮込むだけ。
たったそれだけ。
待ってる間に
適当に豚バラ肉とネギをフライパンで炒め、
適当にもやしを電子レンジで加熱してナムルを作った。
煮物があるにもかかわらず、30分もかからずに晩御飯が完成した。
電子圧力鍋はコンロを使わないで済むので、同時に火を使う作業ができるのは効率がいい。
大根は味がしみしみで、舌で潰せるほど柔らかくなっていた。
適当に目分量で調味料を入れたが味もちょうどいい。
大成功だ。嬉しい嬉しい。
これから料理頑張ってみようかな。
でも虚しさを感じてしまう。
一人分の料理なんて久しぶりすぎて、
やっぱり多く作りすぎてしまったし。
一人で生活するってしんどいなあ。
明日も大根の煮物だ。まあ美味しいからいいんだ。
もしくは顔も見たことないお隣さんにお裾分けしようかな。