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ゆめみのまち②灯台へ

 昼前にようやく出雲市駅へ着く。小雨が上がったため灯台へ向かうことにする。車内販売がなく朝食をとり損ねていたが、1時間に一本の路線バスを逃すわけにいかず、待ち時間にずいぶんレトロなご当地パンを食べて補給する。

バラパン
花びらの間になつかしいかんじの
ミルククリームが塗ってある

 観光用ではなく市民の生活のためのバスなので病院だの団地だのにこまかく停まりながらのろのろ進む。買っておいた岬への旅行記を開いてみたが、直射日光で車内が茹だるように暑く、隣の人との距離も近すぎ、本の方も第一章から海難事故の遺体回収の話だったので、せめても具合が悪くならないよう目を閉じる。
 やっとのことで大渋滞の出雲大社を過ぎると山道に入る。暑さとうんざりするカーブの連続に耐えていると、やがてバスは海の上を走り出す。

 日御碕(ひのみさき)灯台は明治から現在まで120年現役の白亜の灯台だ。晴れていれば青い海と空に白く輝いて美しいというが、私が見たかったのはちょうどこんな灯台だ。灯台の良さはその寂しさにあるのだから。

 灯台の一番上の光源のところまで登れるというので、登ってみる。

どこまでも
頂上は吹き飛ばされそうな強風
灯台の心臓 
第一等フレネル式レンズ

 新宿の目みたいな不思議なレンズの中にあるのは家庭用のような小さな電球ひとつ。この小さな光が21海里(39km)先の闇を照らすというのは本当に信じ難い。夜の点灯時に公開をしていることもあるらしいのでいつか機会があれば訪れたい。いつか……?

120年風雨に耐え続ける美しく健気な塔だった



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