匂い立つ日

今日は蒸し暑くて、まるで梅雨明けの日みたいだった。生温い湿った空気がまとわりつき、髪は梳いてもちりちり広がり、リュックサックと背中の間が汗ばむ。たまたま出張でゆりかもめに乗ったのだけど、今日ばかりは暗い水を湛えた東京湾が鬱陶しかった。帰りに自転車に乗り、街路樹のハナミズキの前を通ったとき、なんだか良い匂いがすることに気づく。次に、例年同じ紫の花の鉢ばかり執念深く並べることでおなじみの家の前を通ると、今度は濃密に甘くて青い匂いがした。花は湿度が高いと匂い立つのかな、などと思っていると、どこかの家の窓から焼きそばの匂いがしてきた(この焼きそばにはウインナーが入っていると確信)。焼きそば、いいね、今日は暑いしね、なんて思って通り過ぎると、玄関の半分開いた古い家からおばあちゃんちの匂いがする。
花に限らず、雨の降らない湿った日には街が匂い立つのだと24年生きていて初めて気づく。今も部屋の窓を開けて寝転びながらこれを書いているんだけど、隣の後輩の部屋から聞こえる男女の笑い声、焼肉の匂い。。。

2019.04.25

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