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美術のこと

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アルヴァ・アアルト展

依然として寒いけれど、空気の成分に春が極微量混入してきているのを感じる。2019年の3月上旬、東京駅ではアルヴァ・アアルトという不思議な名前の建築家の展覧会をやっていて、私は若さと退屈を無意味に持て余している。
耳慣れない名前の響きが気に入ったのと、ポスターに映っている窓辺の空間が美しかったのでふらりと覗いてみる。

展示室には建築の写真、模型、デザインした家具などが展示されていた。アアルトはフ

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四谷にて

四谷にて

今日は四谷三丁目で初めて降りて、指折りの好きな画家の展覧会へ行った。アンドリュー・ワイエス(1917-2009) というアメリカの画家で、とにかく寂しい絵を描く。ワイエスの絵はこのブログのトップ画面の背景に設定しているくらい好きだけど、実際に観たのは初めてだった。
展示は40点と少なく、彼がよく描いた主題である、オルソン家の風景画が殆どだった。オルソン家には下半身麻痺のクリスティーナと、その弟が二

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2019/04/16の日記

今日は何だか、夏の夜に露天風呂で星空を仰いでいるような変に壮大な気持ちがして、ソワソワしてしまい、集中できなかった。とりあえず広い空の見える露天風呂に入りたくなったので、一緒に岩盤浴施設に行こうと(訳:車を出せ)同期を誘ったけど、今日は部署の飲み会だと断られてしまった。
なんで今日はこんな気分になるのだろう、としばらく考えて、ふと黄砂のせいかもと思い至る。中国黄土の広大な砂漠の成分が体内に入りこん

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東南アジアのお面

東南アジアのお面

東南アジアのお面が嫌いで好きだ。
なんというか、まったく話が通じなさそう。
目が合うと、「こりゃだめだ」と思考が強制的に停止して、本能的に逃げ出したくなる。長時間対峙しようものなら、気が狂いそうになる。そこにあるだけの造形物が、イメージの力で暴力的に生きている人間を圧倒してくる。

ある文化で神として作られたものが、異文化に生きる人間の精神をも揺さぶる。造形物として、形になったイメージとして、至

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儀式

三流芸術家は死を扱いたがるという
「はあ、そうですね」
と適当に答える

凡夫なので
離れる瞬間を
何度も何度も想像する
シャッターが降りるように
遮断されてあまりうまくいかないのは
そのようにプログラミングされているからなのだろう

アッ

製造に何らかの意思が働いている証左みたいじゃないか

空おそろしくて
口を閉ざし 目をつぶることしかできない

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水野しず

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