デ・ニーロ変幻自在
そりゃもう大好き。ロバート・デ・ニーロってすごいよね。
最初の出会いはご多分に漏れず「タクシードライバー」だった。同級生の間で、あのモヒカンは本物なのかどうかって論争になったくらいインパクトが強かった。後にヅラだって知った時にはちょっとガッカリしたものだった。だって、あれだけ役作りをするのだから当然“自前”だろうと思っていたからね。
その後、「ディア・ハンター」で渋いなあとか思わされて、「レイジング・ブル」では体型の変化に驚かされる(もっとも個人的にはこの映画は好きじゃなかった)。
「未来世紀ブラジル」で変な役だったなあと思いつつ「エンゼルハート」の奇怪な役で、なんか妙にゆで卵が気になって仕方なかった。私と同じようにあの変態演技が好きな皆さんはいるだろう。
「アンタッチャブル」でのバットのシーンは印象的だったし、あの時の頭はどうだったんだという論争の種にもなった(笑)。
今は亡き名優ロビン・ウィリアムスとがっぷり四つに組んだ「レナードの朝」は名作だと思うし、あのボールのシーンは素早さといい、視線を向けないところといい、すごいなと思った。
なんかすごく好い人っぽい印象の彼が「ケープ・フィアー」や「ザ・ファン」で見せたストーカーっぽい偏執的で変態な演技はこれまたすっげえ、やっべえ、と思ったし、一部同じように偏執的な「フランケシュタイン」は、最後が物悲しくもあった。デ・ニーロではないが、「ウェストワールド」のユル・ブリンナーみたいなどこまで追いかけてくるし、やられないしつこさがあった。
「バックドラフト」とか「ザ・ダイバー」のようにちょい役でも存在感を漂わせるのはさすがだと思ったし、ついつい何かを期待してしまう。
「恋におちて」とか「恋に落ちたら」のような恋愛ものはなんか似合わない(笑)。
「アナライズ」シリーズと「ミート」シリーズは強面のままでコメディをやるから、そのギャップがおかしくて大好きなシリーズだ。ふだんのシリアスinシリアスな演技からの振り幅の大きさといったら!(笑)
「ミッドナイト・ラン」とか「俺たちは天使じゃない」みたいなロードムービーはおもしろいけど、ついつい相方に目が行ってしまうので、魅力が半減するけど、それもまた魅力なのかもしれない。
さてここで、上で挙げている作品からわかると思うが、2004年以降のものは観てないので書きようがないのだ。その上で、私がいちばん好きな作品は「ミッション」なのだ。不死身のデ・ニーロだから、きっと生き延びていると信じている。なんか、まさに体を張った迫力のある役だった。落ちるデ・ニーロ、走るデ・ニーロ、叫ぶデ・ニーロとデ・ニーロづくし。
ところで、私が思う【名優の法則】というのがあるんだが、それは、もうひとつの好きな映画「告白」でも、上記「俺たちは天使じゃない」でも出てきたが、法衣を着ているというものだ。そして、悪魔の役もすること。これは「エンゼルハート」で済ませているね。このふたつの要素をこなしているのが名優の条件なのだ(笑)。
悪魔的な変態変質者のシリアスコメディアン、それがロバート・デ・ニーロといえるだろう。
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