鍋で美味しいご飯を炊く方法

我が家ではもう12年くらい電気炊飯器を使っていない。ある時、急に目覚めて鍋で米を炊き始めたからだ。

試行錯誤しながらたどり着いたノウハウ(笑)をここで記しておきたいと思う。私のような素人でも安定して美味しいご飯が炊けるのだから知っていて損はないと思う。

【鍋で米を炊く】ことで重要なのは、大きく2つのポイントがあると思う。

(1)米の研ぎ方と浸水時間

(2)炊く時の火加減

以下、これらについて詳述していきたい。

(1)米の研ぎ方

末尾に参考リンクを付けているが、私のやり方はそれとはちょっとだけ違っている。

むかーし、小さい頃に祖母がやっていたのを観たら、電気釜の内釜に米と水を入れて掌底でゴシゴシとこねるような感じでやっていたのを思い出すが、それは間違いだったようだ。

まずは最初の段階。

精米技術が進んだ今、藁や石が混入することはほぼ皆無になっており、この行為自体が形骸化しているのだが、最初にやることは水でさっと洗うことだ。

下記参考リンクでは非推奨になっているが、私はこの時に金ザルを使っている。まず米を計量カップで(容積を)計って金ザルに入れる。次にボウルなり鍋なりに水を張っておきそこにザルごと一気に浸して軽く指先でかき回してすぐに引き上げる。この時、ザルに入れた米全体が完全に浸るくらいの水があることが大事。一気に入れて一気に出す。

次に研ぎ始めるわけだが、私は先程の水から引き上げたザルの中で軽く指先でかき回す程度で終わらせている。研ぐ行為というのは米粒の表面に付いたぬかを落とすことに主眼があるのだが、そもそもそれほどのぬかがついてはいないので、軽くこする程度で充分だという気がする。ぬかが多いと思う人は念入りにやるのがいいだろうが、力を入れるのは米粒が壊れるので注意。掌底でゴシゴシなどもってのほかということになる。

この時、注意すべきことは、水の中でやると米がぬかごと吸水してしまい、ぬか臭いご飯になってしまうから、水の無い状態でやるのが望ましいということだが、そこまで気にすることはないかもしれない。米は水に浸すとすぐに吸水が始まることを念頭に置いておくことが大切。炊きあがってぬか臭さが気になった場合、次からは、この研ぐ段階での浸水を避けるためにザルなどで水切りしてからの方が好いだろう。

こうして、米を研いだら、またザルごと水に浸してぬか成分を洗い流す。水に入れたら軽くかき回す程度でザルをすぐに引き上げ、また研いで洗い流すのを繰り返す。完全に水が透明になるまでやるのはあまり意味がないしそれこそ何十回にもなってしまうので水が無駄になる。まあ3回か4回くらいで充分だろう。

気をつけるのは、米が吸水を始めているので、洗い流さないぬかをいっしょに吸収していることをふまえ、とにかく手際よく濁り水を捨てて繰り返すこと。

ちなみに、この時使う水は、私の場合、水道の蛇口に付けた浄水器の水を使っている。そのままの水道水だと塩素臭いと思う人もいるかもしれない。

そして、研ぎを終えた米に浸水をさせる時間だ。

よく水加減を間違えてびちょびちょの米になるとかカチカチのご飯になるという話を耳にするが、次のやり方でやればまったくそんな問題は起きなくなる。ルールは簡単。

【きっちり時間と量を計ること】

米に吸われる水は量が決まっているが、季節によってその満水になるまでの時間は変わってくる。地域によって違いがあるかもしれないが、夏なら1時間、冬なら2時間程度でいっぱいになるから、それくらい浸しておけば充分ということになる。

米を炊くという行為は、米の中に含まれた水分を利用するということだから、これをきっちりやらないと駄目なのである。浸水時間が短いと、米の中の水分が少なくなるからね。ただ、上記時間以上浸してもそれ以上は吸水されないから無駄になる。

さて、ここがいちばん重要なポイントなのだが、米を炊く前の最後の準備。それは水加減である。

上述の通り、米粒の中の水分量は満タンになった。あとは火をかける前の準備だが、よくこの段階で新米がどうのとか古米がどうのという話や、水加減を失敗したという話を聞く。それは、浸水前の時点で米の量の1.2倍とか1.4倍とかいった水を入れて浸水をさせるから起こる現象だ。

実はさきほどの浸水時間を守ればきっちりと準備はできるのだ。それは、

【米の重量と同じ量の水を入れること】

これでびちゃびちゃもカチカチもまったく無くなる。

浸水させたザルを引き上げて水を切り、吸水が完了した米だけの重量を計る。これが200グラムであったなら200ccの水を入れれば好いだけのこと。新米だろうが古古米だろうが、吸水が終わった段階の重ささえわかれば、それと同じ分量の水を入れるだけ。簡単であろう。それさえ間違わなければ水加減は完璧である。

以上で準備段階は終わり。次はいよいよ炊く段階である。

(2)さてさて米を炊こう

よく、土鍋で炊いたご飯は美味しいという。私も異論はない。ただ、初心者がいきなり土鍋を使うのはいささかハードルが高い気もする。なぜなら、火加減を失敗した時に鍋の底に米が張り付いてしまい、その片付けが大変になる可能性があるから。

それよりは、ふつうのアルミ鍋の方がまだ失敗は少ない。

私は専用の炊飯鍋を利用しているが、それは内部がアルマイト加工された厚手のアルミ鍋で、重いフタがついているものだ。

火加減に失敗しても鍋底に米が張り付きにくく、アルミは熱吸収が早く、厚手の鍋は全体に熱が伝わりやすく、重いフタは鍋の中の圧力を保持しやすく吹きこぼれしにくいという利点がある。

失敗しないためには、アルマイト加工されたアルミ鍋でフタがあるものがベターな選択だと思う。

火加減に慣れればどんな鍋でも米は炊けるようになる。

これは自慢だが(笑)、慣れてくればアウトドアでよく使うチタン製シェラカップでもご飯は炊けるようになる。

さて、鍋の準備はできたとしよう。米と同じ分量の水も入れた。この時入れる水は市販の飲料水にするひともいる。浄水器を通した水道水でもかまわない。ただ、硬水だとすこし違うかもしれないのでご注意を。

火加減について重要なことは、

【加熱時間20分、蒸らし10分に調整する】

ということ。特に加熱は5分から10分かけて沸騰させ、その状態を15分または10分キープするということだ。

私の場合、具体的には最初が中火で7、8分。その後弱火またはとろ火にして合計で20分加熱することになる。

この時、10分過ぎても沸騰しないのは火加減が弱すぎたのであり、5分もしないのに沸騰するのは強すぎたからだ。何度か試して適切な火加減をマスターして欲しい。こればかりは使う器具の組み合わせで違うので慣れるしかない。

中火とか弱火の概念については下記リンク先を参照にして欲しい。よく間違えるのは火力全開にして強くしすぎること。

土鍋で失敗するのは沸騰した後も強い火力をキープして焦がすことだ。上述の通り、沸騰したら火を弱める。きっちりしたフタが必要なのはこの時に鍋の中の高温高圧力をキープするため。別に圧力鍋の必要はないが、吹きこぼれない重いフタは重要だ。

水があるうちは焦げたりしないが、強火で加熱し続けると早く水が無くなるので結果として土鍋の底で米が焦げ付いてしまうのだ。火を弱めることでこれを避けられる。

ちなみに、チタン製シェラカップで炊く場合、同じくチタン製のフタをするのだが、その上に水を入れたシェラカップをのせて重しにしている。上のカップのはそのうちお湯になるのでインスタント味噌汁などに使えるから一石二鳥だ。

加熱が終わったら、10分程度の蒸らしの時間が必要だ。鍋の中で蒸発した水蒸気が米の上に落ちて全体に浸透し、ベチャベチャ感がなくなり、ふっくらとした粒の立った状態のものができあがる。落ち着いた状態のご飯が完成する。

加熱時間もこのように計ることが大事なのだが、米を炊く環境によって程度の差はあるので、炊きあがった結果を観て、加熱時間は短くしたり長くしたりの調整はして欲しい。上記、シェラの場合、5分で沸騰させ10分キープで炊きあがるが、蒸らしは15分くらいかける。

あとは、フタを開け、カニの巣穴にニッコリしたら、ご飯を十字に切ったり混ぜ返したりして一律にしたあと、食器によそって召し上がれ。

いただきます。


【参考サイト】

ご飯の炊き方について

米のとぎかたについて

火加減について


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武蔵の国のオオカミ
ここまで御注視いただき、ありがとうございます。まだ対価をいただくほどの作品を挙げていないのですが、ご好意はありがたくいただきます。