なんか心配「おもいつきSDGs」活動
SDGsに取り組んでいます!という個人や団体が日本国内でも増えてきている昨今、とても良いことだと感じています。
思えば、2005年に岡山に転勤したことがきっかけで、関係するようになったESD推進から始まった私のSustainableに関する活動。ESD→MDGs→SDGsとなんだかんだ言いながら続いています。
それらの事もあって、SDGsに関する質問をいただくのですが、そのなかで「もやもや」を感じることが増えています。SDGsを学ぶこと、イベントを開催したりして多くの方へSDGsを知ってもらい、活動するのは素晴らしいことですが、どこか「もやもや」するんです。
SDGs活動でもらう質問で感じる「もやもや」
どうやら「SDGs活動したいのですが・・」との質問で時々感じる「もやもや」の原因は
SDGsの17のゴール達成という「そもそもの目標」に「どれだけ貢献(しようとしてるのか)するのか」が見えないからだと気づきました。
(また私もコミュニケーションが下手のではっきり「おもいつきなの?」とか言ってしまうのは反省です)
SDGs活動するぞイベントするぞ!は良いことですが
運営側のやりたい事ばかりが前面に出てる相談が多いのが気になります。
・参加者でワークショップや対話をして意識を高めたい
・フィールドでエコ活動(例:清掃活動や植林)したい
・多くの参加者を募りたい
うーん。したいのは分かります。いいと思います。
と同時に「何を生み出そうとしているの?」「目指す成果目標は何なの?」「わざわざSDGsって言わなくてもよいのでは?」いい活動なんだし・・って思っちゃいます。
もし、これを読まれている方が何らかのSDGsイベントや活動をするならば、きっとそのイベントや活動には関連するSDGs17のゴールを標榜してるでしょう。
もやもやの原因は「おもいつきSDGs」?
私のもやもやはそれらSDGs(と標榜している)イベントで関連付けられたゴールに対して
・どんな成果を出すことを目標としているのか?
・成果の測定方法は?
この2点が明確になっていないものに対して発生するという事に気づきました。
それらの特徴は行き当たりばったり。とても短期間で成否を判断する(もしくは成否判断をしない)SDGs「風」活動に見えます。
SDGs「風」活動を、おもいつきSDGs活動と表現します。
誤解なきよう・・決して、単発のエコ活動や草の根で目標を立てず自由に活動するがダメって言ってるのではないのです。
しかし
「おもいつきSDGs」が草の根活動であったとしてもSDGsを掲げている以上、SDGsに関して間違ったイメージが広がってしまう事は賛成できません。
今こそスタンダードなSDGsのおさらいが必要
SDGsは2015年のUNニューヨーク本部で開かれた国連持続可能な開発サミットにおいて、その成果文書として
Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development
(和訳:我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ)
が採択されたものです。
スタートが2015年、ゴールは2030年。今は2021年・・・
15年計画です、あと9年しかないのです。
こんな状況で、ばらばらに活動したのでは到底ゴールの達成は難しいと考えます。だからこそ、スタンダードなSDGsを知って実行することが重要です。
・SDGsの重要性の把握は適正でしょうか?
・(国内開催の場合)日本が未達成のゴールとイベントの関連は?
・SDGsのパンデミック以降アップデートはされているか?
これらの事がもし、間違って広がってしまうのならばあえてSDGsという言葉を外したほうがよいかもしれません。
参考:2015年以前からSDGsにつながる活動をしている組織では、UNのSDGsを超える基準を独自にを策定し実行している例もある。(トヨタ)
(17のゴールに加えて、「わくドキ(感動)」を入れている。)
小うるさいことを言うようですが、捕まらないからルールを破っていいというものではありません。SDGsは世界の国々が協議して国連で決議した明確なルールがあります。
ルール知らんし、というのであればルールを知ることから始めましょう
世界で、日本でSDGsがなぜ必要で、どのくらいシリアスなのか。
そしてなぜSustainable(持続可能)が明記されているのか。
上記した「おもいつきSDGs」に感じるもやもやをまとめると
「SDGsのS(Sustainable)へのコミット表明がない(薄い)」
と感じるからです。
SDGs活動する上でのSustinableへのコミットって?
SDGsは目指すべき17のゴールがあります。
そしてゴールを達成するための169のターゲットがあります。
そんなこと知っとるよ!という声が聞こえてきそうですが、ここで言いたいのはなぜターゲットが示されているか?という事です。
別にターゲットを無視してゴールを目指してもいいじゃないかという声が聞こえてきそうですが、ターゲットを無視するとSustinableという観点で非常に苦労すると思います。
SDGsに取り組むという事は2030年のゴールに向かって活動する事です。
そしてその活動の進捗は定期的に確認し、カイゼンすることが求められます。(一般的にはKGI-KPIやOKR設定などが参考になると考えます)
KGI : Key Goal Indicator /重要目標達成指標
KPI:Key Performance Indicator /重要業績評価指標
OKR:Objective and Key Result /目標と主な結果
参考 https://bizhint.jp/keyword/25498
簡単に言えば、自分たちが標榜するSDGsゴールに対して
自分たちがどのような目標を立てて、どれだけ行動し、目標にどれだけ近づいたのかを継続的に開示し続ける事が必要なのです。
「えー、めんどくさいー」「そんな工数取れない」って声が聞こえてきそうです。
はい。SDGsは面倒です。手もかかるし、実施者の負担も少なくありません。でも世界のTopがやるぞ!って決めたんです。我が国のTopも国会で決議して、国連へコミットしてるんです。
日本が世界にSDGsやります、達成します!って約束したんです。
日本だけじゃなく、世界中のTopも同様です。やるんです。
その前提があって、さっきの「そんな工数取れない」に戻ります。
工数とれない、スタッフがいない、でもSDGs活動したい。どうする?
Q:SDGs活動をしたいが工数が取れない。どうしたらいいかな。
A1:(個人・グループ)必要工数の必要費用を明確にして収益化する。
A2:(会社)事業収益をSDGs推進を予算計画に入れて管理する。
参考:ユニリーバ社のSDGs活用PR
Gole6 安全な水とトイレを世界中
指標6.2.1 石鹸や水のある手洗い場等の安全に管理された公衆衛生サービスを利用する人口の割合
この指標にを活用して自社石鹸での手洗いを推奨
子供の下痢発症が36%から5%まで減少。(と同時に大量に石鹸販売実績が・・)
参加者の環境意識や社会課題への高い関心をモチベーションにSDGsを推進する事は悪いことではありませんし、もちろん否定しません。
ただ、それでは圧倒的にゴールに間にあわないのです。
SDGsを経営課題の解決策として取り組む例
SDGs推進には環境意識や社会課題への関心は必要ですが、SDGs活動は必ずしも高い意識を必要としているわけではないと考えます。ゴールを目指す過程で意識が浸透して行くともとらえることができるからです。
また、営利企業団体での取り組みにおいては
SDGs≒社会貢献 ではなく SDGs≒経営ソリューション
と考えて取り組むことをお勧めします。
参考リンク:「今日から儲かるSDGs」日本青年会議所
(1)SDGs活動をすると、いいことがある
(2)いいことがあるから活動する
(3)(1)に戻って循環
この循環をいかに作るかがポイントです。
その活動、利益は出てますか?(運営はSustainableですか?)
いろいろな方からご質問や相談をいただく際に私のほうから質問することは決まって「活動に関する収益計画」についてです。
・どれぐらいの金額が必要か?
・どこからお金持ってくるのか?
・活動のKPI/KGIは?
・三方良しで考えた際のステークホールダーの利害設計
これでピン!ときた方も多いかもしれませんね。
ここに書いたSDGs活動計画を立案するのに
169のターゲットは非常に役立ちます。
日本政府のSDGsアクションプランも大変有用
SDGsは国連でまとめたものである事は説明は不要だと思いますが、国連のものとは別に、国連のSDGs達成に向けたアクションプランを各国政府が作成しており、もちろん日本政府が作成したアクションプランも公開されています。
参考:日本国首相官邸 SDGs推進本部
日本国内での活動においては日本政府のアクションプランが地域ニーズが明確であり、なにより原典が日本語ですので役立ちます。
ちなみに、日本国内では17のゴール、169のターゲットで見ると既に達成しているものもあります。
日本政府のSDGsアクションプラン(2020年)
日本政府SDGsアクションプラン2021での4つの重点事項
1,感染症対策と次なる危機への備え
2,よりより復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略
3,SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出
4,一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速
※上記4点は2021年に政府が取り組む重点事項に位置付けられている。
国際的な課題の解決に向けた活動であると同時に、身近な国や地域の課題を解決するものとしても有効なSDGs。
おもいつきSDGsとおもいやりSDGsまとめ
■おもいつきSDGs(参加者リソースは無償だと考えているのかな)
※明確な目標設定がない中で実施するSDGsを標榜する活動
活動結果評価
●終わった時の気分楽しかったぁ。勉強になったぁ。(定性的、非科学的)
+
●ビジネスではなく、ホビー(趣味)的取り組み
から一歩前進して
■おもいやりSDGs(参加者、実施者すべてが嬉しい事がある)
※明確な目標設定の後、効果測定可能な状態でのSDGsを標榜する活動
活動結果評価
あらかじめ定めた目標値との差異で判断。(定量的、科学的)
+
ビジネスとしてのSDGs推進
参考:たかまつななさんのブログ
◼️大企業がSDGsに力を入れる理由。
◼️SDGsに本気で取り組まないのはリスクなのか。
◼️あなたの活動は「SDGsウオッシュ」になっていないか。
https://ameblo.jp/takamatsu-nana/entry-12423718549.html
「おもいつきSDGs」と勝手に命名しましたが、スポット的な活動を否定しているわけではありません。
スポット的活動でも何らかの目的があると思います。
・SDGsについて知る
・SDGsに関するゲームやワークショップで意識づけをする
・エコ活動やフィールドワークを通じてSDGsを学ぶ
など
まとめ
せっかくの活動が「おもいつきSDGs」にならないためには
それぞれの活動を行う運営が活動の目的、到達目標、結果を数値で計測できるようにして、ステークホルダーの同意が取れる範囲で公開できるようすればよいと考えます。
SDGsにつながる活動なのであれば、どのゴールにどれだけ貢献する(できたのか)、どういった指標で計測したのか?など、そこで得たノウハウを共有することでSustinableにつながってくると考えます。
おもいつきSDGsの次ステップとしてでも良いのでおもいやりSDGsが増えればいいなぁーと感じた今日この頃です。
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