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これが見たかった、その11『カレッジダイアリー』(勝田美代子)、『墓場グループの誕生日』(もとやま礼子)

9月から賛助会員さまの臨時開館リクエストをスタートいたしました。

9月27日金曜日、最初のお客さまはIさん、中部方面から。長年探し求めていた少女まんがを見つけるために、ご来館。あきらめていたけれど、もしかしたら? と、一縷の望みをもって。

作者名、作品タイトルともにわからない。けれど、絵は覚えている。絵を見れば、わかるとのこと。

ひとつは講談社のコミックス。
女子寮に住む女子大生の話で、オムニバス形式?
コミックスの最初に載っていた話で。
主人公の女の子が先輩の代返にある授業に行くと、かつて好きだった男の子がいた。だから、また、代返したいと先輩に言ってみたりする。
先輩は体調が悪いからと言って、後輩の主人公の女の子に代返を頼んだものの、寮ではポーカー?トランプ?をやって遊んでいて、というあたりで話が進んでいく。

たぶん、中学生のころに読んだもの。
1963年早生まれなので、1962年生まれの学年で。
萩尾望都とかSF、白泉社・集英社・小学館系の少女まんがが好きだった。そんな自分の本棚の中で、ポツンとそのコミックスだけ講談社だった。なぜかわからないけど、自分で買ったらしい。

もうひとつは『別冊少女コミック』。
絵しか覚えてない。
サンタナ、音楽グループ? 最後のシーンをよく覚えている。
小学生のころ?

以上が、探すよすがでした。

では、と、Iさんがさっそく、『別冊少女コミック』棚の1970年代をチェック。ほぼすぐに、

「作者名、わかりました。この絵です」と。

「もとやま礼子」さんでした。

当時としては、ちょっと劇画調で色っぽい、少年まんが風の絵柄で、少女まんがの世界では異色の作家さんでした。

次、大井がネットで調べます。
下記サイトのリファレンスページに、もとやま礼子さんが載っていました。

「依頼No.22 もとやま礼子・『墓場グループ・シリーズ』について」と。

https://www7a.biglobe.ne.jp/~comic/


さらにネットで調べるとコミックスが出ています。

少女まんが館では、コミックスは、コミックス別の作家あいうえお順に並べてあるため、フラワーコミックス棚の「も」を探しました。
と……3冊ありました。

その中の一冊、『やったぜ!墓場グループ』(小学館、1977年)を手に取り、ぱらぱらとめくり始めたIさん。

「これです、これです。この最後のシーン、これをよく覚えてます。うれしい」。

そのコミックス最初のお話『墓場グループの誕生日』が、お探しの作品でした。

40年来探していた作品が収録されていたコミックス(左/フラワーコミックス、小学館、1977)と、絵柄から作者名が判明した70年代後半の『別冊少女コミック』(右)。西側のキャビネット本棚最下段に並んでいたため、すぐに手に取りやすかった。


なんと、40年来の探しものが、ものの20分足らずで判明しました。

『墓場グループの誕生日』、初出は『別冊少女コミック』1974年8月号。この雑誌で、Iさんはお読みになったということですね。女ま館には残念ながらありません(70年代前半の『別冊少女コミック』はあまり揃っていないのです)。

「(わたし)11歳だったのね、小6の時に読んだもの……宇宙的な感じがしてよく覚えているのかも。男はバンカラで、女は女らしくて。なんかよかったんですよね、とくに最後が」とのこと。

* * * * *

さぁ、あともうひとつ。こちらが本命。
講談社コミックスは玄関脇からずらりと並んでいるため、Iさん、一冊一冊「あ」の作家名さんから調べ始めました。

1時間後ぐらいでしょうか。大井がIさんに声をかけると、

「わかりました、このかたの絵です」と。

カバーのないコミックス(トップ画像)、
『あなたにはじけてサウンド通り』勝田美代子( フレンドKC、講談社、1979)を手にしていました。

おお、くらもちふさこ先生の絵柄に似た、ちょとふわりとした80年代風の絵柄……。よくわかったなぁと感心しました。

大井、出動です。
ネットで勝田美代子作品を探します。

くだん書房さんの雑誌目録一覧へ。


勝田美代子先生は「さよならメモリィ」がデビュー作、
『週刊少女フレンド増刊』1977年11月25日号掲載。
『週刊少女フレンド』棚からこの号を発見し、その作品を見たIさん曰く、

「絵が、まだ、ちょっと違う」(同じ作家さんでも、デビュー当時から経年で絵がかわっていくので)

次。
『別冊少女フレンド増刊号』(1978年4月号増刊)
勝田美代子「ようこそ 真理先生」 読切。

「ちがう、絵がまだ」と、Iさん。

『ハローフレンド』1980年12月号
勝田美代子「星の降る日」 読切

……

『週刊少女フレンド』 1980年14号 7月20日号
勝田美代子「こもれ日はささやく」
「これ、コミックスにはいってた」と、Iさん。

……近づいてきた……。

『週刊少女フレンド』 1980年24号 12月5日号
勝田美代子「彼のわすれもの」
「この作品とは、違う」(Iさん)

……

『週刊少女フレンド』 1980年 4月5日号 
勝田美代子「カレッジダイアリー」

「これかも……」(Iさん)

女ま館内で、この実物1980年の『週刊少女フレンド』がどこの棚にあるのか、探し回り(あちこちに点在している……)、やっと見つけて……。

「これ、これです!」と、Iさん、にっこり。
じっくりとお読みになっていました。

その間、大井、さらにネット検索を続け……
『ガール・フレンズ』 勝田 美代子 (フレンドKC、講談社、 1980年)を発見。短編集で、最初の収録作品が「カレッジダイアリー」となっています。

……ついに、Iさんの本命、判明しました!!!!!
アマゾンで中古品として売っておりました。


「高校生のころに読んで、大学生への憧れがあったんでしょうね。すごく心に残っていて……もう、思い残すことはない、きた甲斐がありました」(Iさん)


夜、女ま館玄関に常備してある「思い出ノート」を見ると、上記のように書いてありました。

こちらこそこちらこそ、女ま館をずっとやってきた甲斐がありました。

40年来の探しものが見つかる瞬間に立ちあえて、わたしも、楽しかったし、しあわせでした。

どうもありがとうございました。

(のちに、Iさんはこのコミックスを入手したのこと。よかったよかった)


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