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女ま館日誌20220924 「ひっこめ!全ガキ連」「燃えろ!スパイク」「6月4日月曜日」

昨日9月24日土曜日は女ま館一般公開日。

ご来館くださったかたがたのお話を書きまーす。

まずは、先日のEテレ放映「スイッチインタビュー」(片桐はいりさんと当館館主のひとり・中野純の回ですね)を見て、ここならあるかも、とご来館くださったTさんご夫婦。「ひっこめ! 全ガキ連」(あべりつこ)をお探し。

「『週刊マーガレット』(集英社)で1974年か1975年に連載されていた作品で、ずっと読みたかったけれど、単行本になっていなくて、国会図書館に行けば読めると言われたけれど、そこまで行くのもなんだか……でも、ずっと読みたかったんです」と、おっしゃる。

わたしめ、「ひっこめ!全ガキ連」(あべりつこ)を、さっそくインターネット調べ(わたし脳内では一瞬「突っ込め全学連」と変換されていた……)。すぐに判明しました(ありがとう!インターネット)。『週刊マーガレット』1974年11月10日号(46号)~1975年1月1/5日合併号(1号)連載。女ま館にぜんぶございました。祝。

「あ、「燃えろ!スパイク」(志賀公江)もある。これも、好きだったんですよ。でも、やっぱり、単行本になっていないらしくて……」と。


「燃えろ!スパイク」(志賀公江)は、『週刊マーガレット』1974年10月20日号(43号)~1975年8月24日号(35号)連載。「ひっこめ!全ガキ連」と同時期の作品でした。こちらも、全号あり、女ま館1階の入り口より左手側〜中程の本棚に並んでおります。祝。

(女ま館は基本的に開架式の図書館です。どれも自由に手に取ってお読みいただけます。ただし、もとの場所に戻しておいてくださいませ。また、丁寧にお取り扱いください……ということなどを、入館時に口頭で説明させていただいております)


奥さまは1965年生まれとのことで、9〜10歳、小学校3〜4年生の頃に読んでいたことになります。当時の雑誌を手に取り、その作品を再読できた。よかったよかった。

だんなさまは1963年生まれで、高校生の頃は『別冊マーガレット』ファン。とくにくらもちふさこ(先生)が大好きだったとか。電車の中で読んでいたとのこと。

また、西日本方面からおひとりでいらっしゃったある女性(1965年生まれ)は、「里中満智子先生の「7月4日に生まれて」が読みたいんですけど、ずっと、探していて」と。

はて? そのタイトルは、トム・クルーズが主演の映画のような気がする。里中作品には「6月4日月曜日」があるが……と、大井は思いました。

「あ、これこれ、これです、「6月4日月曜日」。これだと思います。子どもの頃に読んだので、タイトルもうろ覚えで……すごくうれしい」と、入り口すぐ右側の本棚に並ぶ講談社コミックス棚から、自ら探し出してくれました。作家あいうえお順にコミックスが並んでいるため、里中作品は何段にも連なって一覧できる状態なんですね。

玄関入って左の講談社コミックス本棚。棚の歪みは重みではなく、日の出町時代に湿気のため生じたものです。
中段あたりから里中満智子作品がずらり。ありもので工夫するアイディア溢れる仕様の本棚(中野純担当)
最下段に「6月4日月曜日」がありました。
玄関入って右側の本棚、上段から里中満智子作品は続きます。5棚分。


1975年4月発行の講談社コミックスなかよし版。初出は『なかよし』1973年6月号付録のミニ別冊。


タイトルさえわかれば……電子書籍にもなっております。

短い滞在時間だったけれど、全ページ読むことができたとのこと。涙ぐんでおられました。

「子どもの頃、『なかよし』(講談社)を買ってもらっていたので、付録の小さい別冊で読んでいました。何度も何度も読んでいたんだと思います。どのシーンも覚えているし、わたしの潜在意識に染み付いている。アイデンディティのひとつになってるかも。びっくり。家族観とかね。トイレを出るときは(便器を)きれいにしてから出よう、とか……。ここまで潜在意識に入っているとは……。大人になって、いつのまにか、無くしてしまって、でも、読みたくなって、ほんと、ずっと心に引っかかっていて……探していて。よかった、ここなら、あるかも、と思って……うれしい、ほんとに」と。

わたしも、その話を伺って、うれしゅうございました。そのかたは、8歳、小学2年生の頃にこの作品と出会い、以後、傍に置いて、よく読んでいらっしゃったのでしょう。「6月4日月曜日」は、以前にも、お探しのかたがいて、心に残る作品だったとおっしゃっていた記憶があります。

里中満智子作品は、まさに少女まんがの大本流、大量膨大で、主に歴史ものが有名です。めちゃくちゃ人気がありましたから、当時(1960年代後半〜1970年代)の少女たちの心に深く染み込んだ作品がたくさんあるのだと思います。「6月4日月曜日」は、まさにそのひとつ。

講談社系少女まんがファンの多くは、お年頃になるとリアルな現実世界に目覚め、まんがから卒業してしまうかたが多いように感じます。だから、まんが作品にあまり思い入れがなく、語ることがない。けれど、心の奥に、きちんと持っている。たとえば、里中先生の少女まんがの世界を……。

子ども(少女)のころ、つまり8〜10歳だったころに触れた少女まんが作品が、40年以上たっても忘れられない心象風景として残っている。タイトルも作者名もわからなかったり、うろおぼえだったりするけど、ここ(少女まんが館)で探せば、もしかしたら、わかるかもしれない……そして、探し出せた、再会することができた……また、読むことができた……その、幸福感たるや、欠けたピースがはまって完成したパズルのような、そんな、充足感……心が潤っていく感じ……のお手伝いができたのではないかと思うと、来館者のかたのよろこびが、わがことのように、うれしかったりします。

そして、あべりつこ、志賀公江、里中満智子各先生方の表現力にひたすら感謝の気持ちがわきます。

最近の里中先生のお姿はこちらから見ることができます。


お昼時、開館準備のころは大雨で、閉館作業のころは、曇り空。夕方には空気が一変、すがすがしくなりました。18個の扉や窓を閉めて、覆いをして館内を暗闇に戻し、鍵をかけて、女ま館の一般公開日が終わりました。

あ、Tさんご夫婦は、帰り際、「すごくいいところですね。すばらしい。また、来ます。このあたりに住みたい」と、おっしゃっておりました。ありがとうございます。だんなさまは、女ま館まわりを散策されていたようで、この辺りの自然溢れるワイルドな雰囲気が気に入った模様。奥さまは、ひたすら、『週刊マーガレット』をお読みになっていました。

また、この日は、遠方から常連のかたが来館くださり、のこりものオンパレードでしたが、雑穀米やお味噌汁、おつけものと餃子ハンバーグなどを準備して、母屋でいっしょにご飯を食べつつ、少女まんが話ほかいろいろを話し込んだりしておりました。

郵送で、寄贈グッズもひとつ届きました(ありがとうございます!)。

お賽銭やおみやげなどもいただき、ありがとうございます!

少女まんがでつながる人々との交流による、心豊かな一日を過ごしました。

女ま館にいろいろなかたちでご協力くださったかたがたに、深く御礼申し上げます。

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少女まんが館(東京)
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