これが見たかった、その10 『ルミちゃん教室』つのだじろう(『りぼん』昭和33〜37年)
今日は、昨年春のある定開日のことを。これは書き残しておかねば、と。
しばし横道。またもやNHK朝ドラ『虎に翼』の話で恐縮ですが、今日(9/2)放映の時代背景は、ちょうど昭和34年、35年。『ルミちゃん教室』が『りぼん』誌上で大人気だったころです。それもあって、今日、とにかくまとめて投稿しようと思い立ち……。
さて、2023年春、『ルミちゃん教室』を読みたくて、というかた(K.M.さん)が来館されました。子どもの頃に『りぼん』(集英社)の付録小冊子で初めて読んで、なぜか好きで、ずっと手放さずに持っていたそうです。そして大人になって、あるとき、ハマった、4歳のルミちゃんが純真無垢でとにかくかわいい、とおっしゃっていました。
『ルミちゃん教室』は、昭和33年(1958年)から昭和37年(1962年)までの4年間ほど『りぼん』に連載され、当時の少女たちに絶大に大人気だったという作品です。
かなり以前、『ルミちゃん教室』が大好きというかたが来館され、当時、すさまじい人気ぶりだったということを力説されていて、「まぁ、そうなんですか、つのだじろうといえば『恐怖新聞』『うしろの百太郎』だと思っていました。全然知りませんでした」というしかなかったooiです。
どれほどの人気だったかというと……たとえば、『ルミちゃん教室』の連載が昭和37年9月号で終わり、続編として、『ルミちゃん、がんばれ!』というタイトルで『なかよし』昭和38年1月号から新連載が始まるときに、雑誌も違うのに、新連載なのに、あらすじ的な説明がほとんどなかった、と。つまり、当時の少女たちはみーんな『ルミちゃん教室』を読んでいた(知っていた)ってことなんです! と。なるほどー。少女たちの世界の常識に「ルミちゃん」が生きていたらしい。
ウィキペディアの「つのだじろう」項目によると、
「1958年、『りぼん』連載の『ルミちゃん教室』がヒットししばらくは少女漫画を主に描いていた」とあります。つまり、「ルミちゃん教室」は、つのだじろうさんの出世作なんですね。
内容的には、マンガぺディアさんを参照……
舞台となるボロアパート「荒間荘」が、実は、「トキワ荘」がモデルではないか? と、あるとき気づいたと、K.M.さん。入り口がそっくりなんだそうです。
そう、つのだじろうさんは、トキワ荘に住んではいなかったけれど、近くに実家があったため、ほぼ毎日のようにトキワ荘に通っていたという、伝説の「トキワ荘」のメンバー。『ルミちゃん教室』には荒間荘の間取り図もあって、たしかに「トキワ荘」とよく似ています。
画風として、少女まんが的ではないし(でも、とてもかわいいと感じます)、話も児童文学的というか、人情厚いというか、ユーモラスというか、「つのだじろう」さんの作品!と思います。
K.M.さんいわく
「部屋の背景、街の風景、が、どんどん世相を反映して変わっていくところが、すごくおもしろい。昭和30年代の生活の変化が目に見えてね。あるときから電気炊飯器や電気冷蔵庫が登場したり、とか。最初のころにはなかったのに、とか。そもそも、4歳の女の子が、小学5年生のとなりのおねえちゃんと一緒に小学校へ行く、という設定がすごいですよね」
ん、そういえば、ジブリ映画『となりのトトロ』にもそのようなシチュエーションがあったかも。
『ルミちゃん教室』、女ま館にある『りぼん』で拝読してみると…………昭和30年代、保育園などそうそうない時代、ひとり家にとりのこされる小さな子供を小学校の教室で、みなで見守る、という……当時のゆるやかな優しい人情があったであろう社会的雰囲気を感じて、心が温かくなります。荒間荘の人たちも、家族同様の交流が描かれていて……。
『ルミちゃん教室』は、昭和30年代の少女まんがの世界に、力強く存在し、その後の少女たちの心に残っていった傑作のひとつだと思いました。
【ルミちゃん教室】
●『りぼん』昭和33年(1958年)8月号~昭和37年(1962年)9月号に連載
本誌はもちろん、増刊号などにも掲載されていた
付録小冊子:昭和33年11月号
昭和34年02月号
昭和34年05月号
昭和42年12月号(りぼんカラーシリーズ56)
●『小学三年生』昭和41年1~3月号
●『小学四年生』昭和41年4月号〜昭和42年3月号
(単行本)
●集英社少女漫画文庫15『ルミちゃん教室』昭和34年
●曙出版『ルミちゃん教室』昭和38年9月
●曙出版『ルミちゃん教室 2』昭和38年10月
●サンコミックス『ルミちゃん教室』昭和43年9月初版
●虫コミックス『ルミちゃん教室』昭和46年10月初版
(電子書籍)
●ebookjapan
https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/103850/A000007008/
(2005年6月より提供開始)
ほか
●『ルミちゃん がんばれ!』(続編)
『なかよし』昭和38年(1963年)1月号~同年12月号?
虫コミックス『サムライの子』(昭和44年)巻末に一部収録
●『20年後のルミちゃん』
『小学四年生』昭和42年1月号
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リスト制作にあたっての参考サイト(どうもありがとうございます!)
つのだじろう作品リスト
http://www1.megaegg.ne.jp/~natsumantaro/__HPB_Recycled/tsunodazirou.htm
メルカリ
ウィキペディア
マンガぺディア
くだん書房
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