![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/33464653/rectangle_large_type_2_11ed4485964f21dea2a701e5d69b15ea.jpg?width=1200)
奥日光戦場ヶ原ハイキング その2
竜頭の滝は、ご存じのように土産物屋の中のベランダから見学する。
例年なら、何十人もの見学者いて写真も満足に撮れないのに、今年は驚き、誰のいないのだ。
みやげなどの買い物に興味ない私は、引け目を感じながらカメラのシャッターを押していると、一組の客が入って来た。
そのタイミングに合わせて、店を出た。
滝上から石楠花橋に向かい、美しい湯川に沿って歩く。
笹の原のなかに林立するミズナラやシラカンバの中を歩いて行くと、ゲートの前で婦人がふたり、戸惑ったように立っている。
「すみません、ここから先は行けないんですか?」と尋ねてきた。
「それは鹿の門で、人間は入ってもいいですが、鹿は入ってはいけないんです。鹿語で、<鹿、通るべからず>と書いてあるでしょう」。
「ほんとですか。鹿語で・・・?」
「冗談ですよ。鹿語なんてあるはずないでしょう」。
二人の女性は、大笑い。
二人は鬼怒川温泉に宿をとり、そこからタクシーで来て、3時間後に赤沼まで迎えにくるとのこと。
鬼怒川からタクシーで往復するなんて、少なくとも俺より金持ちだ。
軽井沢にも別荘を持っているらしい。
雑談中に若い方の女性が、もう一人の女性に対して「お母さん」と呼んだ。
「えっ、お母さんですか? ちっともそうは見えません。まるで姉妹かと思いました」
再び二人は大笑いした。特にお母さんは大喜び。
別にお世辞を言ったわけではなく、ほんとうにお母さんとは見えなかった。
歳を取ると女性に対する鑑識眼も衰えるものか(?)
赤沼分岐で、二人と別れた。
それから私はひとりで、ミズナラやカラマツの森を小田代ケ原に向かって歩く。
木漏れ日が、誰もいない山道を縞模様に映し出していた。
竜頭の滝
湯川の流れ
倒れた大木
木漏れ日の路