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どこからか風鈴の音が聞こえてきた。
夏の日差しを避けて、路地裏に入った。
天の方から、かすかな音が聞こえてきた。
陽射しの中に消え入りそうな音である。
見上げると、すだれの横に風鈴が揺れていた。
チリン、チリンと・・・。
一瞬涼気を感じ、思わず微笑んだ。
久しぶりに聞く音色だ。
わが家には風鈴はない。そのようなしゃれたもんはござんせん。
でも、子供のころにはあった。ふるさとの茅葺の軒下に、短冊がゆらゆらと揺れると、チリン、チリンと鳴った。切ったばかりのスイカに黒いタネが浮かびあがっていた。
なぜ風鈴の音は涼しさを感じさせるのか。クーラーの音を聞いても別に涼気は感じない。
アフリカの人たちが風鈴の音を聞いて涼気を感じるとも思えない。日本人だって、この音は涼気を感じさせる音だと学校で教わったわけではない。
専門家のよると、「風鈴がなれば風が来る」という一種の反射条件が脳内で進むのではないか、という。
そうだ、風鈴でも買ってこよう。
どこで? 百均で。
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