藪椿とメジロとこども
女の子がふたり、藪椿の木を見上げて指差していた。
「何かいるの?」と尋ねた。
「ホラ! あそこに緑色のスズメがいるの」
「緑色のスズメ?・・・・ああ、あれはメジロだよ。目が白いでしょ」
「目が白い?・・・・目じゃなくて、目のまわりみたい・・・」
もうひとりの女の子が重ねるように言った。
「目じゃなく、目の周りが白いんだよ、オジさん。白いめがねをかけているみたいだね」
「アッ! 逃げちゃった!」
ジジィとこどもの会話にあきれたのか、チーチーと二声鳴いて飛んで行った。
それにしても、「おじいさん」と呼ばれなくてよかったのかな?
こどもは正直だからまだオジさんで通るのかも・・・・・
それは甘いよ。孫のいる年寄りのひとりよがりだよ。