シアトル #CHOP 自治区での殴打事件に関するステイトメント/大袈裟太郎=猪股東吾
2020年6月21日、現地時間午後8時半ごろ。
シアトル、CHOP自治区内で起こった殴打事件について。
■前提として
・CHOPとは?Capitol Hill Organized Protest の略称。ジョージ・フロイド殺害事件の後、Capitol Hillの警察署の前に訪れた群衆を警察が催涙ガスなどで排除、しかしその暴力的な方法に抗議し、より多くの人が集まったことで警察は市長との協議の末、撤退。もぬけの殻になった警察署の周囲6ブロックを市民が占拠し自治区にした。
当初は市長との交渉も前向きに行われていた。
CHOPの要求
1、シアトル警察の予算の削減
2、その予算を貧困対策へ充てる
3、逮捕されたプロテスターの解放
・私がCHOP自治区内に入ったのは、何が起きているかをこの眼で確かめ、取材をし広く世の中に伝え残すため。可視化を目的としたもの。
・この殴打事件の夜も自治区に対する銃撃があり、その前日前々日も銃撃があり、19歳の少年が死亡している。(犯人は現在も逃走中)
現場は異様な緊張状態であった。
■事実関係
・21日シアトルのキャピトルヒルに着いた私は、地下鉄の駅から宿泊先まで歩く途中で一度、CHOPを通過し、
その後、取材の体制を整え再度CHOPへ(8時過ぎ)。市民がオキュパイしているゲートのボランティアスタッフと会話し、取材や撮影についての了承を得て留意事項などを確認し内部へ。この時に、撮影禁止箇所があることを知ったので生配信はせずに一眼レフカメラのみの機材で取材を開始。内部を歩き、写真を撮る。もちろん顔を撮る場合は被写体の許可を取りながら。
・男性数名がふざけ合っている(戯れているのか本気なのかわからない様子、すでにそこで揉めていた可能性もある)横を通過しようとすると、いきなりその中の黒人男性に呼び止められ、5秒、リアクションを取る間もなく殴打。
・顔面の右左、そして防御しようとした左腕を殴打される。
・大声を上げ走って、CHOPボランティアスタッフの元まで逃げ込む。
ボランティアの男性女性など複数名が駆け寄り、事情を話す。
氷を持ってくる人や病院へ行くことを薦める人など、丁寧にケアしてくれた。混乱している僕を安心させるためにハグしてくれる男性もいた。
申し訳なかったと、謝ってくれる人ばかりだった。apologizesなどの言葉が自分にかけられた。
・すぐに宿泊先へ帰った。帰り際、往路で会話した数名が、どうしたの??と話しかけてくる。事情を説明するとやはりみんな謝ってくれた。マスクなどくれる人や、連絡先を渡してくれる人もいた。ゲートのボランティアスタッフもとても心配してくれて、ここにはいろんな人が集う。なかには薬などでインセイン(狂気)になっている人もいる。本当にすまなかった。あらためて謝罪される。私はたぶん明日、また来るよ。と言って現場を離れた。
・警察にはいっていない、自治区を取材するものとして、その在り方を尊重するため。
■その後の取材でわかったこと、現場のリアクション
翌日も現場に向かう。取材を続ける。私に対して暴行した本人を探しに行く。その人物は見つからなかったが、取材を続ける中で今回の不幸な事件は、CHOP自体の意志によるものではなく、一部の人間、フリーライダーによる突発的な暴力だったのだろうと推測している。(アルコールや薬物などの中毒であった可能性もある)
自治区の人々は誰しも、暴力を肯定する者はいなかった。
むしろ私にな対して謝罪をする人ばかりだった。
また、一部で囁かれているようなアジア人への差別でもないことは、この自治区内に多くのアジア系市民が訪れていることからもわかるし、何より私をアジア系かどうか断定する糸間も無く拳は飛んで来たのだ。
■国際的な報道機関のフェイクニュース
まず日本のネトウヨまとめサイトが騒ぎ、高須クリニックの医院長や元ライブドアの田端氏などが私の事件を嘲笑う。果ては「射殺されればよかった」などの言葉も投げつけられる。
1日に500件ほどのリプライが寄せられるが、間違っている点がある。
・私は左翼活動家ではない。と言うこと。
・平和な活動だとの決めつけを元にCHOP入りしたわけではないと言うこと。
「窒息しそうな世界は今、風穴を求めている」
大袈裟太郎のアメリカ現地レポート①ミネアポリス
この原稿にもある通り、私は暴動にまで発展した今のこのプロテストの実状とその背景に迫るために渡米したのである。
「平和的な活動に同調し現場入りした日本人が殴られたざまあ」という論調は大きな誤りである。
私が「このプロテストが暴力を肯定するものではないと証明するために戻った」と発言したのはこの事件後、この事件を踏まえての発言であった。
・ロシアトゥデイ、さらにはトランプ派ニュースサイト、もこの時系列を違えているので誤報と言っていい。フェイクニュースによる印象操作。このプロテストを潰したい人々のプロパガンダに利用された。
・ネオナチサイトに至っては「I haven’t seen a nip get japped like this since Hiroshima! Y I K E S !」と書いている。
(日本人がぐちゃぐちゃにされたのは広島以来だぜ!)
ジャップという言葉を使い、広島への原爆投下まで引き合いに出し、私を人種差別の対象にしている。
やはり、人種差別を肯定し、人権を既存し社会を不安に陥れているのはトランプ派、#blacklivesmatterを潰したい人々なのだ。
■今思うこと
・原爆まで持ち出し、日本人への差別にまで発展した今回の事件に対し、なぜ日本の愛国者を気取るネトウヨたちは怒らないのだろうか?それどころか、ネオナチやトランプ派と意見を同じにし、私を誹謗するのだろうか?
これはネトウヨが愛国や右翼を自称して己の利益を追求するだけのビジネス保守だということの重要な証拠ではないだろうか。
・事件から1週間、私は毎日CHOPを訪れ取材を続けている。危険な目にはその後、合っていない。
この自治区に対するレッテル貼り、印象操作はトランプ大統領が始めたものだ。ANTIFAや極左、アナキスト、テロリストだとする印象操作を鵜呑みにしてはいけない。もちろん私はCHOPのすべてを美化するわけではない。肯定するわけでもない。しかし、
歪められた現実、間違った認識を元に行動をしていくことこそが、社会を混乱させ危機に導く。
私はこれからも現場からフェイクニュースにあらがっていく。
心ある人々はどうかそれを受け取ってほしい。
こちらは向坂くじら氏の私に対する擁護の記事。
現実を見ようとするとは。大袈裟太郎さんに向けられた誹謗中傷への応答
現場の状況はこの1週間でさらに変化した。市長のサポートが得られなくなったことや、白人至上主義者からの襲撃の予告もあり、多くの人が去ったが、別の層が流入してきているように感じる。それは #blacklivesmatter の本来の目的とかけ離れた人々、対立や混乱好む人々のような気がしてならない。差別されてきた当事者である黒人コミュニティの意志をないがしろにした騒乱が起こるのではないか?そしてそれをトランプ大統領は煽っている。
この場に留まるかこの場を去るか、私は今、頭を悩ませている。
大袈裟太郎=猪股東吾