まだ出ないんかい⑦
16日17:30
そんな時に再度先生が内診に来てくれた。
「もう一回和痛とブスコパン入れよう」
と言いながら。
やった!また和痛になる!楽になる!
心は踊ったが内診は痛かった。
そして先生は
「ほとんど1時間前と変わってない」
と言い、どうするか、、、と考えている。
私の心が折れそうだった。もう無理だ。明日もまたここに座るのか。今日もまた陣痛と共に眠るのか、と。
私はとうとう泣いた。泣き喚いた。内診による痛みと今日終わらないかもしれないことに。
言葉は「痛い」だったけど、痛みだけじゃなかった。
16日17:40
お産はいきまない。そう助産院では教わった。だから私は力を入れないことに努めていた。
でももう出て来て欲しい。
だから初めて陣痛と同時にベイビーを押し出した。すると、先生が「お!開いて来てる!」と。
ベイビーもきっと一緒に頑張ってくれたんだろう。
再度、麻酔をしてくれたが、陣痛と内診とが痛すぎて泣きながら「痛いーーー!!!!」と渾身の力で叫んだら子宮口が全開に開いた。
先生が
「よしいける!全開!今日絶対出るから!お産の準備して!」
とお産の準備が始まった。
やっと、やっとだ!私は痛さで大号泣しながら夫に電話して
「今から産まれる!!!!6階にきて!!!」
とだけ言って
「わかった!」
の声を聞いたらそのまま電話を切った。
この時、もうすぐに産まれるんだと思った。でもまだ遠かった。(ほんとこのパターン何回あるんかな。笑)
ここからいきみのコースに入る。
助産師さんからいきみのやり方を教えてもらった。足はパカーンと開き足台に上げる。私の両サイドにレバーが登場し、ここを握ってと言われた。そして陣痛の痛みが来たら2回深呼吸をし、その後息を止めレバーを持ったら上半身を少し起こして赤ちゃんが出るように下腹部に思いっきり力を入れる。高速で息を吐ききり吸ってまた止める。そして同様にいきみ、呼吸。いきみ、呼吸。脱力して息を整える。また陣痛がきたら深呼吸からスタート。この繰り返しだ。
正直これやるのに、3分の繰り返しはキツかった。
いきみ終わったら、放心状態で息をすることを忘れていたり、ぼーっとしてたらすぐ次の陣痛が来る。
毎回、いかんいかん!息せな!
と思いながら意識を集中させるようにしていた。
息するの忘れるなんて人生でそうそうない出来事だった。
だけどこのいきみ、しんどい割に何度やっても一向に進んでる気配がしない。
「どれくらいかかるんですか?」
と聞くと
「初産婦さんは大体2時間くらいですね」
と返事が帰ってきた。
ベイビーが道なき道を作らないといけないからだそう。
まさかの2時間コース。ほんまに2時間なのかも怪しい。私は
「え?!知らんやん!夫にもう今出るみたいな勢いで電話したんやけど」
と内心思った。時計で確認し、今17時40分、、、早くても19時40分まで。まじか。
でも幸い、いきむと不思議と痛みは出ない。麻酔のおかげもあり、陣痛より断然マシだった。
しかし、陣痛が始まってからもう42時間経過している。いきみ終わるたびに、息も絶え絶えだが目の焦点まで定まらなくなって来た。
内心、これさドラマみたいじゃない?とコウノドリを思い出していた。
「本当にこんなことあるんやなぁ」
とぼやーと考えながらいきんでいた。
16日18:40
いきみを初めて1時間。
麻酔は切れ、3分おきにくるお腹の張りと恥骨周りの痛み。いきむタイミングがズレるとモロに攻撃を喰らう。
助産師さんが
「赤ちゃんは0.5cmずつ進んでいますからね」
と言ってくれていたが、実感がわかなかった。
(後で助産師さんに聞いたらこの時、ベイビーは少し進んで後退してを繰り返していたらしい。それ言われてたら心折れてたかも。言わないでいてくれてありがとうと心から思ったよ)
いつまで続くのだろう。
その時に先ほどの先生とは別の先生が内診にきた。そして一言
「あれ?変わってなくない?」
と。
いつのタイミングと比較されているのかわからなかったけど、
「え?これだけいきんでるのに?まじかよ!」
と思いながら、それでもいきむしかなかった。もうやるしかない。進んでると言ってくれた助産師さんを信じることにした。
でないともうやってられない。笑
16日19:30
そしてやっと2時間来そうなところで、ベイビーの頭に触れることができた。
「手を出して」
と言われて股に触れるとふにゃふにゃの湿った頭が股に挟まっていた。
「やっと!!やっと!!終わり見えて来た!!」
めちゃくちゃ嬉しかった。
「本当に私のお腹にはベイビーがいた!もうすぐ会える!」
どんなエコーを見ても腹を蹴られたりしていてもやっぱり実感が湧かないところがあったけれど、もうこれは確実にいた!と思えた瞬間だった。
16日19:45
そこから、15分くらい経ち、夫も立ち会いが許され、中に入ってきてくれた。
「嬉しい」という気持ちより「まじ大変なんですけど!」の気持ちの方が正直デカかった。
「見てこれやばない?!」
と元気だったら言ってたと思う。だけど、呼吸といきみだけで精一杯で声をかける余裕はなかった。夫は何か言ってくれていたけれど、正直記憶にない。ごめんね。ほんま。
ちなみにどこかのタイミングで
「会陰切開(膣の肛門側と内側を切ること)して大丈夫?」
と聞かれ、麻酔と切開されたけど全然痛くなかった。噂には聞いてたけど、本当に痛くないんだな。
続く