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HIFIMAN SUNDARA レビュー とっても身近になった平面駆動型ヘッドホン
HIFIMANについて
HIFIMANは2007年、Dr. Fangがアメリカで立ち上げたブランドです。現在は中国天津を本社とし、ヘッドホン、イヤホンやオーディオプレーヤーなどのオーディオ機器を製造・販売しています。
http://www.hifiman.jp/
HIFIMANといえば、最近はBluetooth対応ヘッドホンアンプHM1000が話題になりました。個人的にはアンプカードが交換可能なポータブルプレイヤーと、今回レビューさせていただくSUNDARAをはじめとする平面(磁界)駆動型のヘッドホンが真っ先に頭に思い浮かびます。
HIFIMANが2008年に発売したHM801はアンプカード交換、ハイレゾデータの再生(96k/24bit)が可能な先進的なポータブルプレイヤーでした。現代のDAPの祖とでも言うべきでしょうか。残念ながら、操作性にはいろいろと難があったようですが。
Astell&Kern AK100の発売日が2012年10月発売、SONY Walkman XシリーズやS-Master搭載のWalkman Aシリーズが2009年、ZX1は2013年発売ということからも、HIFIMANの先進性がおわかりいただけるかと思います。2008年ごろといえば、iPodやiModにiBassoやRSAのアンプをケーブルで接続して、というのがポータブルオーディオの定番だったので、ずいぶんと時代の最先端をいっていたのだなと思います。
HIFIMANのヘッドホンは、2009年にリリースされたHE5をはじめ、ほぼ全て(HE-R10 Dynamic version以外?)平面駆動型のヘッドホンです。平面駆動型のヘッドフォンは高額、開放型であることや音質的にクラシック音楽向けというイメージがあり、自分がメインで聴くジャンル(メタル)には合わないと思っていたので、今まで試聴することはありませんでした。
そういった背景もあり、自宅でじっくりといろんな曲を試すことができる今回のレンタルはとても興味深いものでした。
本体・附属品
附属品は6.35mm変換プラグとヘッドホン・ケーブルです。ヘッドホンとの接続部は3.5mmプラグ。ケーブルが着脱式なので極性に注意する必要はありますが、色々とケーブルを交換して楽しめそうです。
附属のケーブルはビニール被膜(ビョンビョンする感じ)で、あまり使い勝手はよくなさそうです。開放型のヘッドホンなので、ポータブルで使用することは無いと思うので問題ないかもしれません。
また、長さが1.2mなので、ポータブルではなく、自宅等で使用するにはもう少し長いケーブルの方が使い勝手がいいように思います。
本体はあまり飾り気がなく、色も真っ黒です。質実剛健というイメージで、個人的にはカッコいいなぁと思っています。作りもしっかりしているというか、金属製のハンガーにドライバーユニットと合皮のイヤーパッドを付けて、あとは頭頂部保護のためのヘッドパッドを付けただけというシンプルなデザインです。
ドライバーユニットの外側は網目状態で、いかにも開放型というデザインです。ハウジングが回転してフラットになったりしないので、コンパクトに収納することはできませんが、可動部が少ないことは故障等の心配が少ないかもしれませんね。イヤーパッドは柔らかく、装着感も悪くなさそうです。
スペックなど
SUNDARAのスペックは下記のとおりです。
周波数帯域 : 6Hz-75kHz
インピーダンス : 37Ω
感度 : 94dB
重量 : 372g
価格は発売当初は54,000円でしたが、価格改定により、現時点では定価37,950円となっています。平面駆動型のヘッドホンもずいぶんと手頃になりましたね。
平面駆動型のヘッドホンと言えば鳴らしにくい、強力なアンプが必須というイメージがありますが、インピーダンスが37Ω、感度が94㏈ということで鳴らしやすいとは言えませんが、DAP単体でも鳴らせるかなという感じです。
中域が充実したオールマイティーなヘッドホン
試聴環境は下記の通りです。
PC: VAIO S11 Windows10 Pro
DAC・アンプ:Fiio Q5s TC
ケーブル:Beat Audio Emerald MKII Digital Adapter Cable USB Type-C to USB Type-C
再生ソフト:Amazon Music HD
アンプのボリュームは13~14時ぐらいで十分な音量が得られました。
また、せっかくなので同時に借りていたCarot One ERNESTOLO 10th Anniversaryで聴いてみましたが、ボリュームの位置は同程度でした。音質的には、Fiio Q5s TCに比べるとやや高域寄りかなとは思いましたが、基本的には大きく印象が変わることはありませんでした。
芸能山城組『Symphonic Suite AKIRA』から「金田」
迫力があるとは言い難いですが、思っていたより繊細すぎることもなく、ケチャのリズムの力強さも十分に感じられました。
ドナルド・フェイゲン『Nightfly』から「I.G.Y.」
軽快なリズム、グルーヴ感、流れるメロディ、特に問題なく表現し、他の機器で試聴する時と変わらず名曲を楽しめました。
ペンデュラム『Immersion』から「Watercolour」
さすがに迫力ある低音は無理ですが、思っていたよりも不満は少なく、締まった低音でそれなりに聴くことができました。
カラヤン指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団『シベリウス 管弦楽作品集」から「フィンランディア」
かなりこじんまりとして、ややのっぺりした感じに聴こえ、雄大さが感じられず残念な印象でした。
平面駆動型ということで構えすぎていたのかもしれませんが、中域が充実しているためか、多くの曲が普通に楽しめました。量は少ないものの締まった低域で、迫力があるとは言えませんが、メタルを聴いても大きな不満は感じません。
開放型ということで音場が広いかと思ったのですが、窮屈さは感じないものの、あまり広さは感じられませんでした。また、若干奥行きや立体感に欠ける印象で、クラシックを聴くには物足り無かったのも意外でした。
本体重量は372gでイヤーパッドがしっかりとヘッドホンを支えてくれていて、イヤーパッドが柔らかいこともあり、装着感は悪くなく、長時間の使用も可能だと思います。
総評:普段使いできる平面駆動ヘッドホン
通常のヘッドホンにも高域の伸びが心地よいものや低域特化の迫力満点なものがあるように、平面駆動ヘッドホンにもいろんなタイプがあるんだなぁと感じました。
SUNDARAはコアなオーディオファンというよりも、価格的に「気楽に使える平面駆動ヘッドホン」という趣旨で作られたヘッドホンなのだろうと思います。
据置きのヘッドホンアンプが必要なほど鳴らしにくい訳ではないですし、ジャズやクラシックなどのマニアックなジャンルではなく、多くの洋楽やJ-Popを聴いて不満を感じないボーカル曲がしっかりと楽しめるヘッドホンです。
HIFIMANの平面駆動ヘッドホンのラインナップ上でのSUNDARAの位置づけ的に、エントリークラスでオーディオシステムのレベルアップや聴く曲の変化に伴い、ヘッドホンもランクアップしていくことになるのでしょう。