人気DACチップPCM1702を搭載したR2R2000(RED)をナカタクレビュー
教えて!ナカタク先生「HIFIMANとは?」
HIFIMANはナノケミストリーの専門家で博士号も取得したDr.Fangによって2007年に米ニューヨークで設立されたオーディオブランドです。
2011年には中国国内に2つの工場を設立し、その後本社も同じく中国の天津へ移動させています。
現在でもポータブルオーディオ機器全般の開発を続けており、オーディオプレイヤー(DAP)の分野でも音質面で評価の高いブランドです。
ナカタクのちょっとマニアックなDACの話
オーディオプレイヤーが発売される際によくセールスポイントとして紹介される「DACチップ」の種類ですが、R2R2000(RED)には高性能マルチビットR2R DAC PCM1702がデュアル構成で搭載されています。
また、PCM1702をデュアル構成で使うことで、バランス接続時の音の分離や定位の安定感に効果が期待出来そうです。
このPCM1702は、R2R2000にも搭載され伝説となっているBurr-Brown社製DAC「PCM1704」の20bit版。共に生産終了後も人気のDACチップで、主に据置機で使用されています。そんなDACチップがポータブルオーディオプレイヤーに搭載されているというだけでも「聴いてみたい!」と思うオーディオファンは多いでしょうね。
ナカタクチェック①「R2R2000(RED)のスペック」
HIFIMANオフィシャルページからR2R2000(RED)のスペックを見てみましょう。
■サイズ 縦97.4mm / 横56mm / 厚さ13.1mm(min) 18.8mm(max)
□重量 142g
■バッテリーライフタイム Hi-Fiモード / 約8時間 省エネモード / 約35時間
□周波数応答 20Hz〜40kHz
■S/N比 115±3dB
□拡張メモリー 最大256GBまで
■出力端子 3.5mmアンバランス 4.4mmバランス
□再生対応フォーマット FLAC/DSD/mp3/Wav/ALAC/AACなど
本体サイズが非常にコンパクトながら、最大35時間再生可能というのは非常に魅力的ですね。メーカー独自の技術により消費電力の95%が直接オーディオ出力に送られ、効率的にバッテリー容量を使っているようです。
USB-C接続することで急速充電に対応していてるのも嬉しいポイントではないでしょうか?
ナカタクチェック②「デザインと機能性」
厚みはありますが、ほぼ名刺サイズの小型なボディは手のひらにすっぽり収まります。表面の傾斜によって液晶モニターも見やすいのでとても使いやすいです。
昨今のポータブルオーディオプレイヤーのUI(ユーザーインターフェイス)はAndroidを搭載するなど凝った作りのものが多いですよね。
しかしR2R2000(RED)は、電力の殆どをオーディオ出力に使っているためか、非常にシンプルなUIが採用されており派手なエフェクトなども一切なく、アートワークすら表示されません。
操作はモニター下部の6つのボタンで行います。マニュアルを読んでいなくても直感的に音源を再生することができましたが、親切かと言われるとなんとも言えないかな、、、と言うのが正直なところです。
今まで多くのオーディオプレイヤーを触った経験がある方や、オーディオマニアの方なら気にならないかもしれませんが、(最近の)Astell&Kern AKシリーズやSONY WALKMANシリーズからハイレゾプレイヤーデビューされている方はややストレスを感じるかもしれません。
ボリュームダイヤルノブには適度にクリック感があるので、細かい音量調整もストレス無く行うことが出来ます。誤ってポケットの中でダイヤルを触ってしまい爆音になってしまう、、、なんて事故も防げそうですね。
ナカタクがHIFIMAN R2R2000(RED)を聴いてみた
まず、Hi-FiモードでJ-POPを聴いてみました。最初にいいなと感じたのは低音の厚みと、派手さのない安定した音づくりです。
楽器で言うとベース・バスドラムあたりの帯域の密度がとても高く、これにより楽曲全体が地に足のついた安定感を感じることができます。
解像度の良さが前に出ていないものの、この低音の厚みにボーカルが埋もれることもなく、綺麗に再生されるので好感が持てます。
【定位感】
さらに数曲聴いてみると定位も非常に良いことに気づきました。上下左右にきちんと整理されて音が配置されており、モニターライクに楽曲を楽しむことが出来ました。
グループアイドルの様にボーカルだけで多トラック使用している様な楽曲でも、一人一人の歌声を識別しながら追うことができるので、各トラックの配置をしているエンジニアの技術を改めて評価できるはずです。
【万能で鳴らせる出力】
続いて、少し鳴らしづらいヘッドホンで聴いてみましょう。ナカタクの私物で長年愛用しているULTRASONE Edition8をR2R2000につないで何曲か聴いてみました。
このヘッドホンは一般的にポータブルヘッドホンに分類されていますが、プレイヤー側の出力が足りないとドライバーが動ききらないせいか中域のアタック感が前に出過ぎて低音の表現力が今ひとつという特徴があります。
しかし、結論から言うと全く問題なかったです。音量を上げても中域に潰されることなく上品な低音が響き、全帯域でバランスの取れた本来の実力で音源を再生してくれました。ボーカルのピークもザラつかず、芯のある伸び方でEdition8とR2R2000双方の余裕を感じます。
【省エネモードで楽しむ】
最後に省エネモードで聴いてみたいと思います。連続再生時間が極端に伸びるので、出力がかなり下がってしまうではないか?と懸念していましたが、音作り自体がマイルドになる印象で、これはこれで僕は好きかもしれません。
定位感はそのままに、くっきりしていた音像が少し曖昧になることでリスニング寄りな音作りへと変化し、肩の力を抜いて楽曲を楽しむことが出来るようになりました。
確かにHi-Fiモードのモニターライクで緊張感のある音がR2R2000本来の実力だということは分かっているのですが、イヤホン直刺し、ポータブルでの使用なら僕は省エネモードがメインになりそうです。
ぜひ手に取った際は、まずHi-Fiモードを楽しんでから省エネモードに切り替えて、音質の違いを感じてみてください。
ちなみに高出力を必要とするヘッドホンには不向きなので、省エネモードはイヤホンで楽しんでもらえたらなと思います!