あのM6が帰ってきた! Shanling『M6 ver.21』をだいせんせいがレビュー!
みなさんこんにちは。だいせんせいこと工藤寛顕です。今回はShanlingのハイレゾ対応DAP(デジタル音楽プレイヤー)の『M6 Ver.21』をご紹介いたします。
Shanling(シャンリン)は、中国・深センのオーディオメーカー。かつてはパワーアンプなどの据え置き系の製品を多数発売しておりましたが、近年では2016年に発売された「M2」「M5」といったDAPを皮切りに、ポータブルオーディオ分野においても広く認知されるブランドとなりました。
物理ボタンを搭載していた初期の製品は使い勝手に少々クセがありましたが、DAP界隈におけるタッチパネル搭載機への転換期を迎え、今ではコストパフォーマンスに優れた使いやすい製品に定評にあるメーカーとして人気を博しています。そんなShanlingのM6 Ver.21、さっそくチェックしていきましょう。
製品概要
M6 Ver.21は、製品名に「Ver.21」と付いている通り、2019年に発売された「M6」というDAPのマイナーチェンジモデルとなります。
基本的にはM6を踏襲した製品となっており、取り回しやすい4.7インチのサイズ感、Android搭載による使い勝手の良いシステム周りなどは前モデルのまま。6万円台というお求めやすい価格も大きな魅力のひとつです。
そんなM6、最大の特徴は出力端子(イヤホンの差込口)が充実していること。一般的な安価なDAPには3.5mmステレオミニのシングルエンド、少しグレードが高い物だとそれに加えて2.5mm4極、もしくは4.4mm5極といったバランス接続用の端子が搭載されていますが、なんとM6 Ver.21にはこれら3種類の端子がすべて搭載されているのです!
これにより、近年のDAP業界の課題ともいえる「2.5mmか? 4.4mmか?」という問題に頭を悩ませることなく、好きな種類のイヤホンケーブルを使うことが可能。「気になっているケーブルがあるけど、2.5mm4極のモデルしか発売されていない」「今まで2.5mm4極のケーブルを使っていたけど、4.4mm5極に移行してみたい」といった、両対応ならではの利便性を備えています。
この「両対応」という特徴はハイエンドな製品には搭載されることも増えてきているものの、6万円台というミドルクラスで採用されるのはなかなか珍しく、DAP選びの際の大きなポイントとなるでしょう。
そしてM6 Ver.21の変更点としては、搭載DACの違いが挙げられます。M6にはAKM製『AK4495SEQ』がデュアルで搭載されていましたが、M6 Ver.21にはESS製『ES9038Q2M』がデュアルで搭載されています。その他にもアンプ回路部のパーツが変更されていたりと、細かい部分が刷新されているのもポイント。このあたりが音質にどのように影響してくるのか楽しみですね。
美しい仕上がりの筐体デザイン
それでは外観をチェックしていきましょう!
筐体はガラスパネルとアルミニウムで構成されており、素材と素材の間も一体感のあるスムーズな仕上がり。なかなかのビルドクオリティです。
手に持った際の手触りも良好で、収まりの良いサイズ感もM6のままです。筐体の左右が凹んだ形状なので、握りやすいのも良い感じ。ちなみに外観上の寸法はM6と同じとのことで、ケースなどのアクセサリもそのまま使用できるようです。
外観上の(おそらく)唯一の変更点としては、ボリュームホイールが金色になっている点。M6は筐体同様に黒いホイールが採用されていたので、好みは分かれるところかもしれませんが、個人的にはラグジュアリな印象で嬉しいですね。ちなみに、こちらのボリュームホイールは電源ボタンも兼ねています。
反対側(画面に向かって左側)には3つの物理ボタンとmicroSDスロット。
本体上部には何もありません。エッジの加工が立体的でクール。
裏面も表面同様にガラスパネルが採用されています。ツルツルとした光沢のあるデザインで、(ケースに入れずに使うのであれば)手に吸い付くような質感です。
下部に見えるイヤホン端子は、先述の通り3.5mm/2.5mm/4.4mmの3種類。オーディオの入出力も可能なUSB Type-Cポートも搭載されています。
使い勝手をチェック!
Android 7.1 + Qualcomm Snapdragon 430という組み合わせの恩恵か、サクサクキビキビとスムーズに動作します。タッチパネルのレスポンスも良好で、まさにスマートフォンを操作しているような感覚です。
プリインストールされているプレイヤーアプリ「Shanling Music」。シンプルで使いやすいインターフェイスです。
画面解像度は720x1280のHDサイズですが、発色の良さもあってかなり鮮やかに映ります。お気に入りのアルバムアートワークもバッチリ映してくれるでしょう。
Google Playはインストールされていませんが、アプリストア「APKPure」により外部アプリのインストールは可能。上の画像のように、Spotifyなども問題なく動作します。
※Google Playの開発者サービスがインストールされていないため、YouTubeなどのGoogle製アプリは起動できません。
音質レビュー
それではお待ちかねの音質チェック。今回はイヤホンにnewspringのNSE1000-Gを使用しました。
ひとまずシングルエンドで聴いてみた印象としては、線が太めで密度感があり、特に中低域の重めな感触はグッと聴き応えがあります。TAKU INOUE「3時12分」では、ディープな低音と細やかなリズムパターン、ボーカルのニュアンスなどを巧みに表現してくれました。
音場感はやや狭めながら、fhána「愛のシュプリーム!」では男女ボーカルや背景のにぎやかなサウンドをしっかり描写してくれます。
手元にM6があるわけではないのでしっかり比較できたわけではありませんが、M6はもう少しモニターライクというかスッキリしていたイメージでしたので、色味が強くなったように感じました。
そしてバランス接続もチェック。今回は同等の環境で比較したかったので、newspringの同じ線材のケーブルをプラグ別に用意してみました。
ちなみに、プラグの端子の噛み合わせはかなりしっかりしていて安心感がある反面、やや固めなので、2.5mmプラグのような細い端子だと少し不安に感じるかもしれません。お取り扱いの際は丁寧に抜き差ししましょう。
2.5mmバランスで接続してみると、シングルエンドでは少しぼやけていた部分がグッと繊細になりました。音のニュアンスの表現が一段階細やかになり、音源のディテールがより明確になったような印象です。
4.4mmバランスに切り替えてみると、2.5mm同様の細やかな描写力になるが、一歩引いたような感じになり、全体にまとまりが生まれたように感じました。よりダイレクト感が強いのが2.5mmで、若干俯瞰的なのが4.4mmという印象でしょうか。この辺りは使用するケーブルやイヤホンによってまた違ってくると思いますので、お試しの際にはぜひ複数の環境でバランス接続を試してみてください!
終わりに
以上、Shanling M6 Ver.21のご紹介でした。
全体的にやや濃いめな印象がベースとしてありつつも、抜くところはちゃんと抜いてくれるというか、硬軟をしっかり描き分ける実力を持った1台です。
DAPは音質はもちろん、アプリなどの機能面の良し悪しも重要なポイント。購入前にONZOでのレンタルをご利用いただき、使い勝手を試してみるのもよいのではないでしょうか。
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お相手はだいせんせいこと工藤寛顕でした。