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バッハの音楽パワーでコロナに勝つ!by バッハ研究会 木藤さん
バッハの音楽に込められた、時代を越えて人の心を動かすパワーで、新型コロナウィルスに勝つ方法を模索します。
バッハの音楽は「聴くワクチン」
新型コロナウィルスの感染が一向に終息の兆しの見えない中、皆様いかがお過ごしでしょうか?
ワクチンや特効薬が開発されて多くの医療機関にまんべんなく行き渡る日が来るまでは、各個人が手洗いうがいの徹底、マスク着用、「3密」を避けるなどの対策を続けなくてはいけないような状況です。
このようなウィルス感染に怯える生活を続けていると、どうしてもストレスが溜まってしまいます。
ストレスが溜まると他人に攻撃的になって様々なトラブルを起こしたり、果ては自分自身の健康を害することにもなりかねません。
そこで上手にストレスを発散する方法が求められるわけですが、ストレス発散には音楽がかなり有効です。
古代から「音楽療法」は行われていて、多くの効果をあげています。
自宅で音楽を聴くことは同時にコロナ感染のリスクからも逃れることになり、一石二鳥です。
では、どんな音楽を選べばいいのでしょうか?答えはもちろん、自分が好きな音楽を選ぶべきです。
ジャズが好きな方はジャズ、ロックが好きな方はロック、アニソンが好きな方はアニソンを聴いている時が最も心地いい気分になって身体的にも最もいい状態になるそうです。
私はバッハの音楽が大好きなので、バッハの音楽を聴けば大抵のストレスは発散できます。
もう32年もバッハマニア・バッハオタクですので、そういう身体になってしまったんですね。
特に好きな音楽はないが、これからストレス発散できる音楽を見つけたい、という方には、私はバッハの音楽を聴くことをおすすめします!
バッハの音楽が他のクラシック音楽と違う点は、大まかに言って、
①ポリフォニーを極めた音楽である
②1曲が比較的短く、サクッと聴ける
③際立ってシリアスで、宗教心を刺激する
この3点であると、私は個人的に考えています。
①ポリフォニーを極めた音楽である
バッハが生きていたバロック時代(17~18世紀)の音楽は、各声部(メロディライン)が独立した動きで対等に渡り合い、総合的な響きを作るポリフォニー音楽が主流でした。バッハが得意とした「フーガ」という音楽技法は、ポリフォニーを極限まで追求したものです。
バッハの晩年にはポリフォニーに変わって、ホモフォニーという主旋律に従旋律が従う現代まで続くスタイルの音楽が主流となり、バッハは時代遅れの作曲家と思われていました。しかしバッハはポリフォニーを追求し続け、「音楽の捧げもの」や「フーガの技法」など神業的な作品を生み出しました。
そのようなバッハの音楽は、聴いて美しいだけでなく、構造的にもまるで計算し尽くされた建造物のような美しさがあります。
その上、バッハは作品に数の象徴を組み込んだり、歌詞と音・リズムをシンクロさせるなどの高度な職人芸を惜し気もなく使っています。バッハの音楽は聴く人の知的好奇心を大いに刺激する音楽で、ストレスを吹き飛ばす魅力があるのです。
②1曲が比較的短く、サクッと聴ける
バッハの音楽だけでなく、ヴィヴァルディやヘンデルなど他のバロック時代の作曲家の作品も同様ですが、この時代の音楽は大体の曲が全曲約15~20分で終わるので、サクッと気軽に聴ける便利さがあります。
ベートーヴェン以降の古典派・ロマン派などの作品はどんどん演奏時間が長くなって、1楽章だけでも20分くらいかかる曲が多いのですが、バッハの音楽はサクッと気軽に短時間で聴けるところが忙しい現代人のリラクゼーションに適しています。
バッハの作品の中にも例えば「マタイ受難曲」など全曲約3時間かかる作品もありますが、これは全部で68楽章もあるからで1楽章は大体10分以内で終わるものばかりです。
③際立ってシリアスで、宗教心を刺激する
バッハはライプツィヒ・聖トーマス教会のカントル(音楽監督)として半生を過ごしたので、教会の礼拝のための作品~宗教曲を数多く作曲しました。
バッハの宗教曲の作風は他のバロック時代の作曲家に比べると際立ってシリアスで心に響くものであり、300年という年月を越えて私たち現代人の心を揺さぶるものです。
バッハが生きていた時代は医療も現代ほど発達しておらず、ペストや天然痘などの疫病の脅威も現在の新型コロナウィルスの比ではないほど大きなものでした。
バッハの両親はバッハが子供の頃に亡くなり、バッハの子供も20人という数ばかりが注目されますが、半数の10人は成人になる前に亡くなっています。
常に死と隣り合わせで生きていたバッハだからこそ、人の心に染み込むような宗教曲が作曲できたのでしょう。
バッハの宗教曲は宗教・宗派の違いを超えて、宗教心がある人ならば心を動かされずにはいられない力があります。
新型コロナウィルスに苦しむ現代の私たちにとって、バッハの音楽は私たちのストレスを発散し、心を癒し、気持ちを奮い立たせる「聴くワクチン」としての効能を大いに発揮してくれると私は信じています。
木藤悟史(バッハ研究会)