中野区 マジック温泉 昭和浴場
2020.09.18
昭和ブギを知っているだろうか。新宿の大ガード脇の歌って暴れる、大衆カラオケ施設だ。私はそこがとてもとても好きなのだが、例によって家人はカラオケも嫌い。流石にここには一人では・・だが、今や取引先以外で仲間ができた!
さて、こちらのお風呂はTAJIMAGICさんが経営している。キワモノ系かなと思いつつ、仕事帰りに。例によって回数券でお支払い。
脱衣所に行くと、上がりたての常連さんが「貸切だよ、よかったね」と。すかさず「こちらでマジック見たことあります?どうですか?」と聞くと、「事前に伝えておくとやってくれるよ、結構上手。毒蝮三平もショーに来たりね」と。三平じゃないだろ、三太夫さんもまだまだだな。でもすごいじゃん!と思っていると「もう飽きたけどね」と手厳しいが「ごゆっくり!」とついに一人に。
浴場は座湯、寝湯、泡湯、電気湯、水風呂、サ室と広々設計。とある風呂を避けつつ、一人考える。今日こそ電気湯チャレンジではないか。先ずは電力板のないところに足を入れてお座り。既に何かが忍び寄っている。
二巡目、足を電力の上方にチラっとつけるために、へりを両手で掴み、仰向けタイプの四つんばい。わかりますか、あーた。熱湯風呂のポーズだよ。おや、腕の運動にもなるわねえ。押すなよッ押すなよッ!チラッチラッとつま先をお湯につけるが、1m幅の湯船の真ん中につけているだけなので、何も感じないが、既に何者かの包囲網にいる。本当に、押すなよッ!
しーん。誰もいないと、誰も押してくれない。誰も押してくれないと、誰も落ちない。誰も落ちないと、それは・・
さて、サ室も貸切で78度。気持ちよく汗をかき、こちらも二巡目。常連さんらしきがタオルを置きに入室。先ほどまでのチキンを無かったことに「こんばんは!」というと「温度、熱くないよね」と険しい表情。「はあ」とあぐあぐしていると「上げていい?」「え?できるんですか?」「言ったら上げてくれるのよ、90度くらいまで」とのこと。これは、ヌシだ!電気風呂で落ちなくてよかった!ということで、番台裏まで前を隠し向かうヌシを目で追う。「言ってきたよ!」と笑っている。すごいな。自在だな。
そうはいっても、まだ私含め三人の浴場。魑魅魍魎が現れる前に、今後の身の振りを考えつつボーッとしていると、ヌシとも知り合いらしき別の常連さんが、鼻に白い詰め物をしている。なんなのだろう。聞きたかったが、ちょっとコワモテ。鼻毛の色を抑えるペーストということで手を打とう。
うだうだとダチョウ倶楽部が三人いる理由などを改めて考え、最大の理由は、押す人、落ちる人、指差す人が必要だからという考えに至った。あれ、今も三人じゃない! サウナのヌシ、眉毛タトゥーのヌシ、私。この三人でやり遂げる。
先ずは電気中の眉毛さんに電気湯について質問。足と腰で突っ張り棒のようにはじからはじまで当てている。「ピリピリですか、ビリビリですか」「そんなに強くないよ。身体のいろいろ、当てるのよ、効くかもしれないじゃない?」「えっ!足の裏は?」「よさそうじゃない?」と。
先ずは中に座り、利き手側の右足を電気板の中央で、上げたり下げたり。「あなた、こわがりねえ」と。眉毛さんにお願いを申し出る。「私に何か起きたら、助けてくださいね、ね。ねっ」「はいよ、頑張って」
あんまり熱湯風呂ちゃんと観てなかったけど、落ち方も美醜ある芸。醜く落ちたくないな。見てる人がいいな。まだ1回目なので、常に平行線で上げ下げ。少しずつ電気板に近づけていく。「もっと近く!」「1cmずつ近づいてますう」「もっと!」「ふぁいっ!」のコールアンドレスポンスがつづく。
電源まで30cm。ここまでか。 期待にお応えできず、生き恥を晒し申し訳ございませんッ!忸怩たる思いで慙愧にたえず、口にするのもはばかられ、甚だ決まりが悪い日々でございます。
ヌシお二人にご挨拶。「出直してきます!また電気に当たりに」「またね!」と。
5セット