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新宿区 万年湯

2020.0924

大久保通りからの曲がる場所がわかりにくいが、ローソンとキャンドゥの間の暗い道をまっすぐいっていただきたい。

吉原の大門よろしく、振り返らずにくぐるとそこは、まごうことなく今井健太郎さんの設計だとわかる。八王子市松の湯に近いかな。東京の銭湯サイトによると、平成28年8月21日リニューアルオープンしたとのこと。松の湯とも時期も近く、今井さん自身の時代によっての傾向を追いかけるのもオツかも。

例によって番台のおばちゃまに回数券を支払い、無料で小タオルをお借りできる。中に入ると脱衣所のロッカーが素敵すぎておのののかもびっくりだ。床ともカラーリングが調和しており、秋のお風呂という印象。実物は是非、自身の目で確認してほしい。

浴場は、手前のカランとカランの脇に20度くらいの水風呂、奥には山種美術館のエントランスの陶板、加山又造『千羽鶴』の今にも飛び立ちそうな鶴のモザイク画が美しい。圧巻。モザイク画の下には、マッサージ風呂、電気風呂が1席ずつとバイブラ湯、隣の湯船は白い熱湯なだけではない、高濃度炭酸泉のシルク湯だそうだ。42度で水風呂と交互浴がめちゃくちゃ気持ちいい。

お湯をじっくり楽しんだのち、生きていれば私の母と同じくらいとお見受けする、電気風呂に浸かる方に強さを事情聴取した。結果的には、この方とのおしゃべりが楽しかったので、いい出会いとなった。彼女曰く「どこも同じように強いよ」とのこと。日本の方かと思ったが、中国語出身の方のようだ。電極版の両脇に近づくほどに強く中央へ離れるほど弱い、という我々の期待を裏切る、どこも満遍なく電力の強いお湯だそう。「効果あります?」と聞くと、即答で「わかんないね!」とのこと。もう、電気風呂にビビる必要もないし、入る必要もないね。
彼女は、大連から学芸大に留学した方で、来日して昨日で32年だったそう。そして、娘さんは日中バイリンガルの弁護士さんだそう。「困ったことがあったら、娘に連絡してね」といい、名刺をくれた。暫く頼ることはない、と思いたいが、大事に取っておこう。

私を一目見た時、自分の若い時にそっくりだと思ったんだだそう。そう言われてみれば、私の母にもちょっと似ているかも。なんだか感慨深いなあ。母に会いたくなるよね。木曜日はジムがお休みなので来てるそうなので、またおしゃべりしに来たいなと思った。

ちなみに、脱衣所でお風呂上りにボーっとしていたら、小枝くらいのものが落ちている。あれ?ゴミかなと思ってみると、なんと!ナメクジがにょろり。ぎょっとして、今入ってきたばかりの70代のおばさまに「ナメクジ!なんとかできませんかね!」と声をかけると、老眼鏡をかけてシミーズというのですかね、下着姿で近づいていく。「そこ!ほら!」と声をかけると「あらまあ、立派ねえ」といって、また服を脱いでお風呂に行ってしまった。なんだよ、助けてよ。

仕方がないので、洋服を着て、番台へ。おばちゃまに「ナメクジがいるので、なんとかできませんかね」と同じお願いをすると、「やだあ、いやよう!私も怖いわよう」といい、もう「どうぞどうぞ」状態。まずは番台を出てもらい、脱衣所まで連行。「あそこ!」「ほら、進んでる!」と、死体の第一発見者のように指をさし、体をクの字にしている姿を見て、浴場の皆様もなんだなんだとザワザワしている。おばちゃまがクイックルワイパーにやっこさんをひっかけて、屋外まで出してくれて何とかセーフ。「次回、ゴキブリだったら私がやりますから!」なんつって、楽しくご挨拶。お礼もかねて、かわいいオリジナルエコバッグも買ったので、肉まんにでもあげようかね。

帰路には明洞のり巻きでキンパとトッポッキを買って、家人にお土産を。新大久保の隠れた秘湯でした。

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