港区 ふれあいの湯
2020.10.06
赤羽橋で仕事を終え、さてどうすっかなあ?と家人にLINE。「この時間に仕事が終わったけえ、二軒行くかもしれんてえ」なんて連絡すると、「ご自由に」とのこと。しかし、約束は約束なので、一日一銭湯でしばらくは凌ごう。
ということで、訪問先からも歩けるこちらに。ビル型の公共浴場で、暖簾がなければおそらく地域センターと間違えてしまいそう。例によって回数券でお支払い。受付の方は愛想がよいとはいえない。いずれも港区だからかな?どうやら区営の施設のようで、受付、女湯、男湯、休憩スペースと、4階までそれぞれ分かれている。規模の小さい萩の湯みたいなイメージ。
脱衣所は小さく、大小ロッカーが並ぶ。小ささのイメージとしては、体重計に乗ったらメモリが誰からでも見えてしまう広さといっていいだろう。浴場も小さく、これまでに入った公共浴場で一番の狭さだ。湯船ひとつ、マッサージはふくらはぎ丈、膝裏丈で四箇所パワフルな噴射が1箇所からのみ、お風呂自体も8人入ったらぎゅうぎゅうなサイズ。洗い場も6箇所。この近くに銭湯はないとはいえ、ここにくるモチベーションは何なのだろう、備え付けのボディソープとリンスインシャンプーで洗いながら、入浴中の私も入れて5人の理由を考えてみた。
考えても仕方ないので、マッサージを「どうぞ」と譲ってくれた常連さんらしき方に「こちらは区営なんですか」と聞くと「10年くらい前にできたんですよ」と。別のお客さんも入ってきて「区営だからか知らないけど、受付の感じが悪いのよ、掃除もしないし」「近くのお風呂屋さん、田町のあたりにあったバンザイ湯も閉まっちゃったし、あそこは感じよかったのよね、学生さんもくると賑やかで。遅くに行っても少し延長してくれたりね」「家でお風呂を洗うのが大変だから、もう5年くらい自宅で入ってないの、他のお風呂が閉まっちゃったから、ここは毎日15分歩くために来ているんです」とのこと。そうか、この辺りもかなり減っているのだなあ。もっと早くに取り掛かるべきだった。
サービスや施設も満点ではないが、近くに選択肢がないから、ここにくる。なんとも寂しい理由だけれど、区営だからこそ続いていくのかもしれない。駅から少し離れているとはいえ、赤羽橋まで徒歩10分、浜松町ならもっと近い。このいい場所で、何か一つでも工夫すれば、人気のお風呂になるのではないかなどと、これまでに廃業になった銭湯を思いながら考える。港区内の公共浴場は、清水湯、竹の湯、三越湯とここ。ここ以外の三箇所はとてもバラエティ豊かなお風呂で、いずれも再訪したい施設だ。区営か民営かは関係なく、何かできないものか。例えばビールサーバーを置いてみるとか、休憩スペースのよくわからない選書を見直してみるとか。
さて、常連さんのうち、おひとり姉御肌の方がおり、清水湯などもご経験があるとのこと。そこも建て直して繁盛してからは、フロントの方の態度が変わってしまったと感じているそう。「前は杖をついたお婆さんにも優しかったのに、今は、中では杖つかないで、汚れるから、なんていうのよ」「サウナでもさ、友だちが行ってちょっと喋っていたら、飛沫が怖いからしゃべらないで、っていわれたんだって。アタシがいたら強くいってやるのに」とのこと。まあ、おしゃべりはTPOもあるし、特に今は気になる人多いからねえ。でも、未来の自分を見ているような力強さだった。姐さんのように強くいきたい所存!なんて思っていたら、すごく美しく、姿勢もピンとしていて50歳ちょっとにしか見えないのに、すでにお孫さんも何人かいるようで、びっくりした。スーパーおばあちゃんだ。ひとは見かけによらない。