二日酔いの許し方
あなたにとっての最大の敵は誰ですか?
僕にとってはお酒です。
お酒は無防備な姿で目の前に現れ、気づいた時には僕を骨抜きにしている。
奴とは何千回と戦ってきたが、一度も勝てたことがない。
毎度、気が緩んだタイミングを突かれる。
最近は開き直って、二日酔いの日は何もせずにグダグダと過ごす。
Uberでケンタッキーを注文し、映画を観たりして、負けてなんかないよ顔でどうにかプライドを保っている。
二日酔いで自責するのも疲れたので、気にせずに同じミスを繰り返し続けている。
「仕事が出来ない人はミスをする人ではなく、同じミスを何度も繰り返す人だよ」
と頭の良い人が言っていた。
一度のミスはシステムエラーだが、二度目はヒューマンエラーらしい。
なぜヒューマンエラーを起こしてしまうのか。
僕の場合、酔っ払うと楽しくなっちゃうからだ。
堂々と当たり前のことを言ってしまったが、これ以外に何がある?
あるなら教えてほしい。
ただ、楽しくなっちゃうってどういうことだろうと考えると、
それは、フロー状態に近いのでは?
と、長年の自問自答による研究で導いた仮説がある。
フロー状態について、詳しくはググってほしいが、
「仕事とかゲームとかしてて、知らぬ間にめちゃくちゃ没頭し、気づいたら数時間経っていた」という経験はないだろうか?
それがフロー状態だ。
酔っ払うと、酒と場の雰囲気にのめり込み、フロー状態に突入する。
だから酔っ払って記憶が飛ぶのは、アルコールによるものだけでなく、フローによるものも含まれている。
フロー状態の時は無限にお酒を飲める。
フローを抜けてもキャパオーバーの飲酒量により、引き続き記憶が飛んでいる。
そして気づいたら、絶望の朝をベットで迎えている。
ちなみに仕事ではフロー状態に入れたことがない。
仕事でフローに入れたら、その先には報酬が待っているだろう。
酒では突き進んだ先に崖しかない。
それっぽい言葉を並べれば、それっぽい言い訳になると思ったが、ただ二日酔いへの解像度が上がっただけで終わってしまいそうだ。
毎晩のように飲み散らかしてると思われても心外だから、一応言っておきたい。
実は、昔と比べたら二日酔いになる回数は減っている。
それはお酒の飲み方を覚えたのではなく、単純に飲みに行く回数が減ったからだ。
二日酔いになるくらい楽しく飲める友達がいる。
学生の頃は飲む友達がいることが当たり前だと思っていたが、そんなことはないらしい。
二日酔いをネガティヴに考えていたが、実はとってもありがたいことなのかもしれない。
コロナと二十代後半という時期が重なり、たまにそんなことを考える。
これからも二日酔いなるたびに自分を恨み、酒を憎み、を繰り返しながらもどうにか呼吸を整え、歪な年輪を重ねていくのだろう。
酒の飲み方を覚える前に自分の許し方を知ってしまいそうだ。
しかし、それが二日酔いへの正しい受け身の取り方であり、余裕のある大人になるための一歩なのかもしれない。