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東京マラソンでわかったのは日本のマラソン競技者(トップ層)はぬるま湯環境にいるということだった
3月3日 東京マラソンでは約34,000人のランナーが走った。
男子ではパリ五輪への切符の最終戦。
女子では新谷選手の日本記録更新チャレンジ。
そして海外招待選手もキプチョゲ選手、ハッサン選手をはじめ実力者が揃い一視聴者として非常に楽しみなレースであった。
男子の方はキプチョゲ選手が序盤にまさかの後退はあったものの、30㎞地点までは世界記録更新するのかというほどの高速レース。
最終的には及ばなかったが、それでも日本国内最高タイムをたたき出すほどレベルが高かった。
日本男子の展開も3枠目の条件である2時間50分50秒を切るのかという当落線上タイムが終盤まで続き、手に汗握る展開であった。
市民ランナーとして見どころ満載の東京マラソンはレース展開として非常に楽しく視聴することができた。
だからこそ次のような発言は非常に残念に思う。
もちろん記事のため、PV数稼ぎのために文脈を端折っての切り抜き発言としている部分もあるであろう。
それでも誰かのせいにするような発言はトップオブトップの選手としてはあってはならない。ペースメーカーのせいにするような言葉を発すること自体がありえない。
ペースメーカーに委ねると判断したのであれば、ペースメーカーは自身にとってレースでのパートナー的存在だ。
そのパートナーをレース後に苦言を呈することなどあるだろうか。
野球で言えばバッテリーが不調のピッチャー(もしくはキャッチャー)に対して苦言を呈するところは見たことがない。
テニス、バドミントン、卓球などのダブルスでパートナーに対して不満を言うところを見たことがある人はいるだろうか。
西山選手、鈴木選手、新谷選手がペースメーカーに対して一言でも苦言を発していること自体がいかにぬるま湯環境にいるのかを物語っているだろう。
五輪に出場すること(記録更新)がゴールとなってしまっている
今回の東京マラソンを見ていて思ったのは、五輪に出場することがゴールになってしまっていることだ(女子の場合は記録更新)。
ペースメーカーについていけばそのタイムが切れるというのではなく、その日の自身の体調などと走りながら相談し、自分でレースを作るのか、もしくはついていかずに後半にためておくのかなど即座の反応が求められる。
ペースメーカーが遅いと思うのならばなぜ自分から仕掛けるないのか。
本番の五輪ではペースメーカーはいない。
周囲のレース展開に合わせるのではなく、自分自身で自分のレースを作らないといけないのだ。
代表を決する大事な場面でそのような判断でできない選手が、五輪本番でできるわけがない。
要するに五輪に出場することがゴールになってしまっていて、五輪で走ることはご褒美ランのおまけ程度にしか考えていない。
五輪でも戦うマインドがあれば、その前哨戦の代表決定戦でペースメーカー云々の発言はそもそも出てくることがない。
代表決定戦ではペースメーカーは不要
1月に投稿した記事でペースメーカーはいらないという発言をした。
観るものにとってもつまらないし、何よりも選手のマインド育成にも悪影響を与えている。
代表決定戦はいかにして早く走るかだけではない。
どうやって順位とタイムの両方の勝負に勝つかに重きをおかないといけない。
まずはMGCの会見で「2位以内狙い」と発言し、MGC本番で川内選手に良いように翻弄された多くの有象無象の誰の記憶にも残らなかった選手たちのマインドを改善することが急務だろう。
日本のトップを走るマラソン競技者にはもっと海外レースに出て結果を残して欲しい。
海外レースでは自身の思うようにならないことが多々あるだろう。
日本国内のレースは日本の選手たちにタイムを出してあげようと手厚いサポートがある。
海外レースにはそれがほぼ皆無であろう。
そういった海外レースでの展開が自身の基準になりさえすれば、日本国内レースは非常に快適に感じ、より安定したマインドでレースに挑めるのではないだろうか。
日本国内レースの環境が自身の基準となってしまっていてはいつまでたってもこのぬるま湯環境からは脱することができず、世界からとの差は縮まるどころは開く一方なのである。