三霊泉五名泉投票・終盤戦S5.6.30

昭和5年6月30日の新聞より

三霊泉五名泉投票

勝敗は旬日に迫る

更に飛ぶ六万の巨弾

日を逐うて熾烈を極める本社温泉投票は締切期日の切迫につれいよいよ熱狂的数字を示し殆ど天井知らずの状態にある、各地の作戦もここに初めて露骨に現はれ二十九日到着の投票数は約20万に達しこれが整理に係員多数は汗ダクの大努力である、勝敗の運命はここ旬日にして決する訳だが二十九日10万を突破するもの三温泉、カルルス根崎の両温泉は遂に洞爺温泉を一蹴一位カルルス二位根崎という番狂わせ、この日鹿部温泉は一擧に6万余を得て五位に進む、投票戦は果然茲に猛烈なる白熱戦が現出するであろう。二十九日正午までの分左の如し

 1位(↑1 +24016)109503 幌別  カルルス温泉
 2位(↑1 +19943)107250 銭亀沢 根崎温泉
 3位(↓2 +11033) 102153 洞爺  洞爺湖温泉
 4位(↑4 +38402) 99989 音更  雨宮温泉
 5位(↑5 +59333) 93646 鹿部  鹿部温泉
 6位(↓1 +9974) 81725 登別  子宝湯
 7位(↓3 +2614) 74630 豊富  豊富温泉
 8位(↓2 +4)       71490 南尻別 昆布温泉
 9位(↓2 +521)   64790 軽川  光風館
10位(↓1 +941)   42695 士別  瀧不動霊泉
11位(→0 +284)  31632 鴛泊  利尻冷鉱泉
12位(→0 +0)    24008 留寿都 及川温泉
13位(→0 +0)    22358 岩内  堀株温泉
14位(↑1 +1385)   22020 歌棄  歌棄温泉
15位(↓1 +12)     20821 小樽  山屋温泉
16位(↑4 +12920) 19571     弟子屈温泉
17位(↓1 +9)    18569 留辺蘂 温根湯
18位(↓1 +18)     15899 舌辛  雄阿寒温泉
19位(↓1 +400)  12064 幾春別 神仙閣
20位(↓1 +0)    10842 上富良野吹上温泉
21位(→0 +316)  6814 和寒  塩狩温泉
22位(→0 +0)   6403 蘭越  新見温泉
23位(→0 +0)   6102 倶知安 二世古温泉
24位(↑1 +257)  5178 椴法華 恵山温泉
25位(↓1 +1)    5045 寿都  湯別温泉
26位(→0 +120)  4339 上士幌 糠平温泉

(以下省略)

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投票期間が残り一週間を切ってきたところで、トップ5の毎日の票の増え方がとんでもない状態になってきました。遂に6桁突入!もう、どう表記したら見やすいのか分からなくなってきました…まさかここまで票が伸びるとは予想外。なんとしても首位を掴もうとする執念、凄まじいですね。

今日の温泉小ネタは、圏外に落ちてしまいましたが…富良野の松壽園。
どうしても気になって、どこにあった温泉なのか調べてきました。
場所は通称「島ノ下温泉」でした。

島ノ下温泉には数軒の温泉宿がありましたが、住所的には芦別市と富良野市にまたがっているという面白い場所でした。その中で松壽園は富良野市側にある宿だったそうです。
富良野市史には「吉本千代市がここに松寿園をたてたのは、昭和3年4月であって、第七師団指定により傷病軍人が療養のために滞在し、一時盛大に営業したが、経営者の死亡によって閉鎖した。鉱泉の水源に不動尊、薬師如来、弘法大使を設けたのは昭和4年10月である」。また、その周辺に他に2軒の温泉宿があったことも書かれています。

画像1

昭和3年に建てたと書かれてはいるのですが、そこに載っている宿の写真には昭和2年と…これは絵葉書のようですが、現物はあるんでしょうか。謎が解けたようで、謎が増えました。

ちなみに、芦別市側にあった島ノ下温泉「みゆき荘」の女将さんに、数年前にお会いしてお話を伺ったことがあります。立ち話していたらご主人が帰ってこられたのですが、「20年ぶりにみゆき荘にお客さんが来てくれたわよ」と言ってくださり、とても感慨深いものがありました。JRの線路の掛け替えに伴ってトンネルを掘ったら源泉の水脈に当たってしまったようで温泉が湧出しなくなり、それが原因で宿は20年以上前に廃業。それでも、女将さんはいつまでも女将さんなんだなぁと。今思い出しても嬉しい一言でした。

※この投票は90年前に終了しています!

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温泉なんでも屋さん 髙野 紀康
温泉経営者だった経験を生かし、北海道の温泉をさらに盛り上げる活動をしていきたいと思っています。サポートしていただけたら嬉しいです!