三霊泉五名泉投票・終盤戦S5.6.26
昭和5年6月26日の新聞より
三霊泉五名泉投票
獲票に必死の動き
各方面に矢つぎ早の依頼状
栄誉ある三霊泉五名泉の折紙はいづれへ行く！〆切りもあと九日に迫ったがこの天下わけ目の関ヶ原を前にして各温泉とも異様の緊張裏に獲票に必死の有様であるが俄然全戦線に大波乱を巻き起こした即ち洞爺２万２千余票の驚異的得票にて豊富、雨宮、光風の三強敵を一蹴して第四位に躍進し天晴れその実力ぶりを見せ昆布また１万票の巨弾をもってカルルスの虚をつき破竹の勢いで子宝の牙城に迫るの図は物凄いばかりでここ子宝党の度肝を冷やす一方野付牛運輸事務所では管内各駅長保線区員に対し地元留辺蘂温根湯温泉に極力応援の依頼状を発し必死の活動を続けていると なお二十五日正午までの成績左の如し
１位（→０ ＋5099） ６５１３０ 登別 子宝湯
２位（↑１ ＋9806） ６４２１０ 南尻別 昆布温泉
３位（↓１ ＋4673） ６２１５３ 幌別 カルルス温泉
４位（↑３ ＋22400） ６０７２４ 洞爺 洞爺湖温泉
５位（↓１ ＋0） ４９４８５ 軽川 光風館
６位（↓１ ＋473） ４６２５１ 音更 雨宮温泉
７位（↓１ ＋800） ４５６３８ 豊富 豊富温泉
８位（↑１ ＋8806） ３４２８７ 鹿部 鹿部温泉
９位（↓１ ＋0） ２９８３４ 鴛泊 利尻冷鉱泉
１０位（→０ ＋254） ２３９９６ 留寿都 及川温泉
１１位（→０ ＋0） １９１３９ 歌棄 歌棄温泉
１２位（→０ ＋0） １８５１８ 留辺蘂 温根湯
１３位（→０ ＋340） １７７５７ 岩内 堀株温泉
１４位（→０ ＋1197） １６７３１ 小樽 山屋温泉
１５位（→０ ＋620） １５８８１ 舌辛 雄阿寒温泉
１６位（→０ ＋71） １２１９８ 銭亀沢 根崎温泉
１７位（↑１ ＋1033） ９６４３ 上富良野吹上温泉
１８位（↓１ ＋359） ９６１１ 幾春別 神仙閣
１９位（→０ ＋1352） ８１６４ 士別 瀧不動霊泉
２０位（→０ ＋0） ６６３９ 弟子屈温泉
２１位（↑３ ＋1000） ５２９０ 蘭越 新見温泉
２２位（↓１ ＋0） ５０９６ 倶知安 二世古温泉
２３位（↓１ ＋0） ４９４６ 和寒 塩狩温泉
２４位（↓１ ＋0） ４４７４ 寿都 湯別温泉
２５位（→０ ＋0） ３７９９ 上士幌 糠平温泉
２６位（→０ ＋0） ３４８５ 落部 銀婚湯
２７位（↑２ ＋1654） ３３７４ 椴法華 恵山温泉
２８位（↓１ ＋0） ３２３７ 支笏湖 大川原温泉
２９位（↑５ ＋1698） ２９４？ 野付牛 若松冷泉
３０位（↓２ ＋150） ２３５６ 上湧別 富美温泉
３１位（↓１ ＋0） １６４５ 富良野 松壽園
３２位（↑外 ＋141） １５８９ 支笏湖温泉
３３位（↓２ ＋0） １３９５ 定山渓 薄別温泉
３４位（↓１ ＋100） １３９５ 壮瞥 辨慶温泉
３５位（↓３ ＋0） １３０７ 定山渓温泉
３６位（↓１ ＋0） １１６１ 下生田原温泉
（以下省略）
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泣いても笑ってもあと９日、投票合戦が激しくなってきました。
きっとたくさんの方が毎日新聞が届くたびに、順位を確認したんでしょうね。新聞記事も戦争に見立てて煽る煽る…これを読んだ関係者は、何としてもトップ８には残りたい、少なくとも紙面で紹介される１２位までには入りたいと躍起になったはずです。
今日の小ネタは幾春別の神仙閣。中盤の順位で健闘している温泉宿ですが、現在の三笠市にありました。三笠ジオパークのサイトに見学コースの一つとして神仙閣が載っていますが、グーグルマップでは何も見えないので、そのうちに実際に現地に行ってみようと思います。
大正8年の「北海道鉱泉誌」には、「明治41年斎藤由松なるもの発見し43年鉱泉場を開設し、大正5年5月現営業者斎藤次郎作に譲渡せり。／ 鉱泉場を神仙閣といい客室５、浴室男女を分かつ、宿料1日1圓、80銭、30銭の三種にして飲食物の供給便なり。／ 春秋の候もっとも多し、最近一ヶ年の浴客数720、滞在延べ日数80 来浴者の主なる者は銀行会社鉄道職員幾春別炭鉱社員にして単に飲食を目的に遊ぶもの頗る多し ／ 1日の湧出量１２石（約2165リットル＝毎分1.5リットル）」と書かれています。
なお、泉質は書かれていません。効能だけが書いてあります。
このランキングの5年後の昭和10年に廃業ということですが、こうやって今でも情報を追うことができるのはラッキーですね。
ということで、明日のランキングもお楽しみに！
※この投票は90年前に終了しています！
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