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地球のはなし 定年退官1ヶ月
38年間の勤務を終えて、定年退官の日を迎えてから1ヶ月が過ぎた。「毎日が日曜日」の状態になったわけだが、現実には、期待していたほどには時間の余裕は無く、半ば現役の気分を引きずっている。
なぜかというと、長年の間に溜まった資料類を整理するために、週に2、3日ほどは研究所に行くからである。退官の前から少しずつ整理してはいたのだが、半端でない量を目の当たりにすると気力が萎えて遅々として進まず、こういう仕儀に相成ったという次第だ。
とは言え、勤務時間にしばられないのは大きな違いである。展覧会にも病院にも、好きな時間に行くことができるのはありがたい。と思っていたら、久しぶりに38度を超える発熱をして、寝込む破目になった。退職するとあちこちにガタが出てくると聞いてはいたが、これがそれだったのなら軽くて結構である。
現役気分を引きずっているもう1つの理由は、電子メールである。これまで電子メールは頻繁に使ってきたが、もちろん大学のものだったので、個人のものに変更する作業をしたからである。パソコンのマウスをクリックしたり、キーをたたいたりしていると、その間の気分は現役と少しも変わらない。
さて、設定に成功したが、メールを送受信する頻度は、当然のことながら激減している。その代わり、インターネットのいろんなページを開く余裕ができたのは嬉しい。
そんなこんなで、気楽な旅行をしたいという望みは、まだ果たせないでいる。
(2004.5.8)
別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介しています。--