e-温泉マイスター「前田温泉」
e-温泉マイスター講座の終了レポート「あなたの勤務する旅館・ホテルの温泉分析書を見て、源泉名・泉質名およびPRポイントをPRして下さい。」から
e-温泉マイスター 円城寺健悠
源泉名:別府市温泉供給事業鉄輪線渋の湯上
泉質名:ナトリウム-塩化物温泉
PRポイント:
私がPRする温泉は「前田温泉」である。本温泉は、別府市上人本町にある共同温泉である。この付近は、もともと山林・田畑の続く地帯だったが、戦後急速に都市化した場所である。浴場は地域人口の増加にともなって、昭和35年(1960)8月5日、有志の寄付によって創設された市有組合営の浴場である。近年は、運営する組合員の高齢化や後継者不足によって、運営難の状態に陥り、昨年の9月末に閉鎖する予定だったが、近隣の住民から「なくなると生活に不便だ」という声が多くよせられ、市がNPO法人別府八湯温泉道名人会に管理・運営を依頼した。同団体は、別府大学で行われた講義「温泉学概論」にて、現状を説明したところ、「住民の人たちにとって、共同温泉は生活の一部である。若い私たちが守ろうじゃないか。」という強い意志を持った学生たちが集まった。ちなみに、私もその一人である。そして、10月から、学生たちが番台や清掃を務め、鍵の開け閉めまで行っている。現在は、私を含め10名を超える学生が管理や運営に携わり、新たな歴史の1ページへ向けて着々と歩み始めている。
さて、成分や泉質についても記していきたいと思う。本温泉は、含有する試料1kgあたりの陽イオン・陰イオンの成分が、陽イオンは、カリウムイオン7.61、カルシウムイオン3.21と低い数値が多いが、ナトリウムイオンが86.53と圧倒している。陰イオンは、硫酸イオンが11.18あるものの、塩化物イオンが88.45と驚異的な数値である。したがって、泉質名は「ナトリウム-塩化物温泉」となる。
また、源泉の温度が81.7度であることから「高温泉」、溶存物質の合計が、4.487であることから「低張性」、pH値が4.2であることから「弱酸性」であることが分かる。
そして、泉質が「ナトリウムー塩化物温泉」であることから、一般的適応症の他に、泉質別適応症として、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症などがある。
皆さんも、ぜひ「前田温泉」へお越しください。その際は、番台に座っている私に一声かけて頂けると嬉しいです。
【参考文献】
・「泉都の文化、共同温泉を守りたい 別府大生が前田温泉の存続に一役」大分合同新聞
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2020/11/24/JIT202011240994
・別府歴史資料デジタルアーカイブ
http://www.beppu.biz/furo.page/maedaonsen.htm
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