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世界の温泉分布地図 — 火山国・日本とヨーロッパの温泉文化

世界一の温泉大国は日本、2位はイタリア

日本は世界の7%の火山を有する火山国であり、同時に海洋資源も豊富な島国。

このような条件がそろう場所は世界中を見ても日本だけ。

恵まれた環境にある日本!!

源泉の数は約2万7000を数え、そのうち宿泊施設を有する温泉地になっているものは3000を超えます。

2位のイタリアの温泉地は200か所程度!

にもかかわらず、日本の温泉文化は観光・歓楽目的が主で、医療としての温泉利用は明治時代の頃からすでに遅れており、現在でも廃れる一途をたどっていることは前回も述べました。
https://onsendr.com/2019/05/11/onsen-dr/

わが国での現状について詳しくご覧になられたい方はこちらもご参考にどうぞ。
https://www.spa.or.jp/onsen/547/
日本温泉協会温泉名人 温泉療法医について 海外と日本の温泉専門医

一方、ヨーロッパにおける温泉はギリシャや古代ローマ帝国の時代から療養・保養目的で利用されてきた歴史があり、ドイツ・フランス・イタリアなどの温泉を有する国々では温泉療法専門医の指導の下に長期間滞在するのが今でも一般的となっています。

温泉が歴史上に現れたものとしては、紀元前500年頃に、ギリシャで硫黄泉に入浴していたという記録があります。ローマに有名なカラカラ大浴場をつくったローマ人は、温泉を好み、古代ローマ帝国時代にヨーロッパ各地で温泉を開発し、傷病者に温泉療法を広めたといわれていて、有名な映画「テルマエ・ロマエ」もこの時代の浴場・温泉の設計技師が主人公で、時代背景を上手く表せていると思います。
(あくまでもエンターテインメントですが)

現代においては、特に温泉療法の先進国といえるドイツにおいて、温泉療法は健康保険の適用対象となっており、国としてもその効果を認め、多くの人が利用しています。1)


世界の温泉分布

こちらに興味深い地図があります。

世界の温泉分布を赤い点で表したものです。本当はもっとたくさんの小さな点が付くのではないかと思われますが、おおよそ、本日お話させていただきたい内容を表現するには十分ですので、ご覧いただければと思います。

下の図で見てみると、温泉は世界各地で湧出していますが、その分布にはかたよりが見られるのです。

世界の温泉分布  出典:神奈川県温泉地学研究所 2)
https://www.onken.odawara.kanagawa.jp/modules/study/index.php/content0006.html

日本列島は確かに温泉がたくさん分布していますが、北へカムチャツカ半島およびアリューシャン列島を経てアラスカへ、アメリカ大陸では西海岸のロッキー山脈に沿って温泉が集中し、さらに、環太平洋の中央アメリカから南アメリカのアンデス山脈に沿って、多く分布しています。

環太平洋地域として、南半球のニュージーランド・フィジー・ソロモン諸島、そしてフィリピン諸島を経て、台湾にも温泉が多いことが読み取れます。3)

これは、環太平洋造山帯・火山帯・地震帯とも一致しており、温泉現象は第3紀以後の新規造山帯の火山活動が活発な地域に主にみられることを物語っています。

同様に、アルプス・ヒマラヤ造山帯に沿っても温泉が分布し、ピレネー山脈からアルプス山中・アペニン山脈・カフカス山脈・ヒマラヤ山脈を経て、マレー半島・インドネシアのスンダ列島に特に集中しています。

東西ヨーロッパ諸国の温泉地群もこの延長にあるといわれ、火山島のアイスランドもその一部です。3)

このマップは、日本人の温泉愛を高めるためのようにあるかのような図と思いませんか?
私はそう思います。

惚れ惚れするような、日本中心の分布図です。

地震の危険と隣り合わせでありながら、自然とともに生きる私たち。

世界一を誇る日本の温泉資源。

日常的に触れているとありがたみを忘れてしまいそうなほど、どこのエリアにお住まいでも身近な存在ではないでしょうか。

世界では珍しいのです!!精一杯、享受したい気持ちになりました。

本題に戻って。

マップに戻るとおわかりいただけると思いますが、世界では現在も地殻運動が続いている火山帯に関係ない地域にも温泉は見られ、例えば、アフリカ東部の地溝帯に沿う温泉は古い時期の火山活動に関係しているものです。また、火山があまり見られないアジア大陸の内陸部などにも温泉の湧出が見られます。3)


海外での温泉利用と有名な温泉地

この地図に見られるように、海外ではヨーロッパ諸国をはじめ、南北アメリカ、ニュージーランド、中国、韓国などアジア諸国において温泉が湧出し、利用されています。

国により、利用方法は違うようですが、基本は入浴と飲泉、中には足湯のみなど体の一部分のみを浸す設備があるだけの温泉療養施設がある温泉地も存在するようです。

設備というか、僻地の田舎にある源泉を竹で引湯して使用する浴槽があるようなイメージでしょうか…。
(インドネシアの高温な温泉「タンクバンプラク」など)

ヨーロッパではイギリスのバース、ドイツのバーデンバーデン、フランスのエクスレバン、ビジーなど有名な温泉地があります。

最初に述べた通り、療養目的がメインではありますが、近年では観光地としても栄えているようです。

以上、今回は世界の温泉分布と温泉利用方法についてご紹介致しました。
歴史的側面を鑑みても、温泉療法、日本では広まらない……、

ご覧いただけ、とても嬉しく感じます。

身近な温泉について、より理解を深める機会をご提供できていれば幸いです。

これからも、温泉療法医としての目線で様々な温泉をご紹介していきたいと思いますので、また、お立ち寄りください。

本日はご訪問・ご拝読頂き、誠にありがとうございました。
今後とも、よろしくお願い致します。




参考文献

1)医者が教える最強の温泉習慣(2018)一石英一郎 p.5, p.7
2)神奈川県温泉地学研究所 温泉を知ろう I−3世界の温泉https://www.onken.odawara.kanagawa.jp/modules/study/index.php/content0006.html
3)世界の温泉地(1990)山村順次 p.1-3




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