倒錯した愛情
去年の夏、僕はとある男性に恋をしていた。
何を隠そう、僕はゲイである。
初めて彼に出会ったのはTwitterである。
彼のアカウントがおすすめに表示されて
ほんのちょっとの好奇心で覗いてみた。
彼は僕と同じ大学生で、同じ都内に住んでいるという。
年齢や血液型、趣味やタイプの人まで同じらしい。
僕はさっそく彼にコンタクトをとった。
…
彼から返信が来るのは決まって夜であった。
それも、遅めの夜。大体いつも深夜2時くらい。
僕はいつもその時間帯は翌日に備えて寝ている。
だから僕と彼がリアルタイムで接触をとれることはなかった
…
僕は急激に彼に会いたくなった。
恋愛感情を超えて、嫉妬というどす黒い感情までもが芽生えた
そのうち僕は彼とTwitter以外でコンタクトをしたくなり
思い切ってある日の夕方、彼にLINEを聞いてみることにした。
たぶん返信が来るのはいつも通り深夜だろう。
僕はその返信が楽しみなので、夜更かしをすることにした。
…
どれだけまったであろうか。
返信はまだこない。
とっくに時計の針は3時を回っている。
なにか彼の身にあったのだろうか。
結局朝まで粘ってみたが、彼からの連絡は一向に来ず、
いつのまにか僕は深い眠りについていた。
…
…
気が付くと、空はほんのりと明るい。
ひょっとするとと思ってケータイの時計を見る。
日付が変わっていた。
僕は24時間もの間、意識を失っていたのだ。
正気に戻ると、僕はすぐにTwitterを確認する。
…
返信があった。
「ごめんね。昨日は連絡できなくて。なんか僕おきてなかったみたいだね。あとこれLINEだよー」
確かにそこにQRコードが添付されたあった。
夢にまでみた彼とのLINE交換。
うれしくて、でもなんだかやるせなくて。
ちょっと胸を高鳴らせた僕は、コップについだ水一杯を飲み干すと
緑色のアプリアイコンをタップした。
…
QRコードを読み取る画面を開く。
…彼はどんな子なのだろう。
どんなアイコンなのだろう。
どんなステータスメッセージなのだろう。
はやく声を聴いてみたい。いや、はやく会ってみたい。
…
僕はその画面でTwitterのDMで保存された彼のQRを読み取る。
…
おかしい。
…これは…
いや、見間違うはずもなかった。
だってこれは…
「僕」だったから。