倒錯した愛情

去年の夏、僕はとある男性に恋をしていた。
何を隠そう、僕はゲイである。

初めて彼に出会ったのはTwitterである。
彼のアカウントがおすすめに表示されて
ほんのちょっとの好奇心で覗いてみた。

彼は僕と同じ大学生で、同じ都内に住んでいるという。
年齢や血液型、趣味やタイプの人まで同じらしい。

僕はさっそく彼にコンタクトをとった。

彼から返信が来るのは決まって夜であった。
それも、遅めの夜。大体いつも深夜2時くらい。
僕はいつもその時間帯は翌日に備えて寝ている。

だから僕と彼がリアルタイムで接触をとれることはなかった



僕は急激に彼に会いたくなった。
恋愛感情を超えて、嫉妬というどす黒い感情までもが芽生えた


そのうち僕は彼とTwitter以外でコンタクトをしたくなり
思い切ってある日の夕方、彼にLINEを聞いてみることにした。
たぶん返信が来るのはいつも通り深夜だろう。
僕はその返信が楽しみなので、夜更かしをすることにした。


どれだけまったであろうか。
返信はまだこない。

とっくに時計の針は3時を回っている。
なにか彼の身にあったのだろうか。

結局朝まで粘ってみたが、彼からの連絡は一向に来ず、
いつのまにか僕は深い眠りについていた。



気が付くと、空はほんのりと明るい。
ひょっとするとと思ってケータイの時計を見る。
日付が変わっていた。
僕は24時間もの間、意識を失っていたのだ。
正気に戻ると、僕はすぐにTwitterを確認する。


返信があった。
「ごめんね。昨日は連絡できなくて。なんか僕おきてなかったみたいだね。あとこれLINEだよー」
確かにそこにQRコードが添付されたあった。

夢にまでみた彼とのLINE交換。
うれしくて、でもなんだかやるせなくて。
ちょっと胸を高鳴らせた僕は、コップについだ水一杯を飲み干すと
緑色のアプリアイコンをタップした。


QRコードを読み取る画面を開く。
…彼はどんな子なのだろう。
どんなアイコンなのだろう。
どんなステータスメッセージなのだろう。
はやく声を聴いてみたい。いや、はやく会ってみたい。


僕はその画面でTwitterのDMで保存された彼のQRを読み取る。


おかしい。

…これは…

いや、見間違うはずもなかった。

だってこれは…

「僕」だったから。


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