伯父の事

伯父（父の兄）は私をたいへん可愛がってくれた

自分に子供が居なかったというのもある（実際は女の子が一人いたが、難病で他界した）

伯父は放蕩生活の果てに多額の負債を残し失踪した
その伯父から私は麻雀・競艇・チンチロリン・花札を教わった
中でも麻雀は子供ながらに1番面白かった
伯父は私にルールの他に、サイコロの目出しのコツやイカサマを教えた

『イカサマ』ってやつは、勝たなければならない時にするもので、バレてはいけない

なんて言っていたが、ズルには違いない

どこで覚えたのか知らないが、積込みは圧巻だった...
また、私への配牌を有利にする積込み、左手芸の配牌のすり替え...

映画、麻雀放浪記そのまんまだった

注意深く見ていても、その所作に不自然なところが無く文句をつけられない素早さとしなやかさがあった

私への配牌を有利にする積込みなど、なにをどうやったらこうなるのだろうか？
色々教わったが、子供の私には理解できず、子供の小さい手では難しい部分があった

やってはいけない事というのは分かっていたが、それを偶然にしてしまう力が凄い

伯父の失踪後、父も祖母も伯父の話をいっさい口にしなかった...

携帯アプリの麻雀ゲームをするたびに、伯父を思い出してしまう...